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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第一章 ノブサダ大地に立つ
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第15話 降臨! 隣の駄女神様

本日らすとぉ!

 イヤ~ラシ~イア~サガキタ~ キボ~ウノ……アァァァァァァサァァァァ♪

 どうも、朝におっ建てたテント、この肉体のあまりの若さに精神がちょっとついていかないノブサダです。

 暴れん坊すぎます、この体。

 なにはともあれ、今日も頑張りましょか。



「お、ミネルバちゃんおはよう!」


「あ、ノブさん。おはようございます」


 今日も元気な娘さん。こっちも元気が沸いてくるね。


「すぐ朝食だせますけどどうしますか~」


「ああ、すぐいただきます」


 昨日と同じ席が空いていたのでさっさと席につく。朝食だが楽しみだな。


「はい、お待たせしました~」


 そう言って運んできたメニューはエッグベネディクトっぽいものとサラダにハーブティー。黒パンとスープだった一昨日とは大違いである。

 切り口を入れたポーチドエッグからとろっと黄身が滴りマフィンへと降り立つ。口に含むと濃厚な黄身とソースの味が口内に溢れ出す。美味すぎる。なにこれ、もう口の中がファンタジーである。

 今日も朝からご堪能でした。ああ、幸せだ。美味しいご飯は人を幸せにするな。


「今日も美味しかった。親父さんにありがとうって伝えておいて」


「はい、分かりました~。あとお父さん昨日のお肉すっごくよろこんでましたよ。今晩の夕食は気合が入ってましたから楽しみにしててくださいね~」


「それは楽しみだな。んじゃいってきます」


「いってらっしゃいませ~」


 非常にいい気分でギルドへ。今日は洗礼とできるなら依頼をこなしたいな。


「おはようございます、エレノアさん」


「はい、おはようございます。ノブサダさん。早速ですが昨日の買取にでていたイノシシ等の代金がこちらになります」


 代金として25,000マニーを受け取る。フツノさんやミタマに感謝である。落ち着いたらお礼も兼ねて会いに行こう。


「そして洗礼の件ですがこちらに地図を描いておきました。この印をつけておいた所がギルドと神殿になります。神殿の神官様が常駐していらっしゃるはずですのでこの紹介状をお渡しください」


 おそらくエレノアさんの手書きであろう地図と紹介状を受け取る。色々と準備してもらって助かる。今度、何か差し入れでも持ってこよう。


「ありがとうございます。なにからなにまでお世話になって申し訳ないです」


「いえ、冒険者のサポートをするのがギルド職員の役目ですからお気になさらずに」


「それじゃ早速神殿へいってみます」




 ふう、いよいよ洗礼か。どうにも不評な神様だけど俺の成長スタイルならきっと有効だと思うんだよな。ま、予測が外れたとしても生活魔法だけでも覚えられるならそれでいい。

 そんなことを考えつつ地図を頼りに歩を進めるとそこには荘厳な神殿が……神……殿……?

 あれ? ありえないほど掘っ立て小屋っぽい建物なんだけど……。道、間違えた??

 さっき通ってきた道から見えたアーレンとかオルディスの神殿はよくあるファンタジー的な神殿だったぞ?

 いくら人気ないからっておかしいだろうこの落差。


 恐る恐る小屋の戸を叩く。


「ごめんくださーい、神官様いらっしゃいますか?」


「は、はぃぃぃ、こ、今月分の利息はお支払いしたはずですがぁぁぁ」


 すっごく頼りなさげなか細い声が聞こえてきた。っていうか利息!? 借金にまみれてるの、神殿が!?


「えーっと、ギルドから紹介されて洗礼を受けにきたノブサダといいますが」


「あぁぁぁ、すいませぇん。たしかに連絡はうけてますぅぅ。久しぶりの洗礼ですがしっかり勤めさせていただきますぅぅ」


 目の前に現れたのは小柄な少女の神官? しかし、洗礼自体久しぶりなのか……。


 名前:ベル 性別:男 種族:ハーフエルフ

 クラス:神官Lv13

 称号:レベリットの信徒

【スキル】

 生活魔法 神聖魔法Lv4 水魔法Lv2 歌唱Lv3 動植物知識Lv3 家事Lv2 交神


 おとこ!? しかもハーフエルフ!? ショタっこ好きには堪らないのかもしれない。

 BL? いえいえ、俺はノーマルだ! それよりも交神ってなんだろ?


「ノブサダさんですね。えぇと、私はこちらの神殿で神官を務めておりますベルと申します。再度確認しますけれど一度洗礼をすると取り返しがつかないですが本当によろしいですか?」


 ベル、そこまで念を押すのはなんでなんだ?


「いいんですがなぜにそこまで及び腰なんでしょう?」


 おずおずとベルが話し始める。


「冒険者の方がここで洗礼を受けられるのは私がここへ配属されて3年目ですが初めてなんですぅ。クレームがあっても洗礼の解除などは後でできないのでですよぅ。前任の方が以前公爵様のご息女に洗礼をされたんですがこれがご息女の独断だったのです。説明不足と公爵様の周りのお方から大変なお叱りを受けまして……」


 うわあ、それはまた……。神殿(?)が残っているだけでもまだましなんだろうな。二度と変更できないのに公爵の娘さんの独断で洗礼してしまったのが一番の問題だろう。公爵ともなれば各神殿との付き合いもあるだろうし神殿にしても権力争いがあるだろうしな。


「俺の目的に一番適していると思うのでレベリット様を選んだんです。だからこのまま洗礼をお願いします」


「わかりましたぁ。それではまず寄進として2,000マニーいただきます」


 リュックから銀貨を二枚取り出してベルさんに渡す。


「確かにお預かりしました。これで雨漏りする屋根の修繕が……。いえいえ、なんでもないですよぉ」


 おいおい。心の声がだだ漏れだよ。帰りに残っている果物のうちいくつか渡してあげよう。なんというか捨てられた子犬のようだ。


「それでは神像の前にお立ちくださいぃ。そして片膝をついて目を閉じてくださいぃ」

 言われるがままに祈るような格好になる。改めて見たレベリットの神像はなんでだろう、威厳というものがまったく感じられないものだった。愛嬌のある顔立ちでちょっとコミカルな感じのする女の子。そんな風に見えるな。いいのか神像がこれで?



「六柱神が一柱、成長と才能の女神 レベリット様。新たなる信徒となりしこの者に加護と守護を与えたまえ。

 信徒となりし者、ノブサダよ。才能に溺れることなく正しき成長を続けることをここに誓いますか?」

 おお、なんか神官ぽいし、なんか後光みたいなのも見える。何が正しき成長になるかわからないけれど己が信ずる道を進みましょう。


「誓います」


「成長し身につけた力を悪意に任せることなく正しく奮う事を誓いますか?」


「誓います」


 なんか輝き強くなってないか!? トランス状態ってやつなのか?


「『…清く正しく美しいレベリット様に永遠の忠誠と献金を誓いますか?』」


「ちょっとまて、おい!」


「『あー、テステス。アメンボアカイナアイウエOh! どーも、全国二万三千人の希望の星レベリット様ですよー』」


「えー」


「『そこ、残念そうな顔をしない!』」


「腹話術? なにかのイリュージョン?」


「『この子の体を借りて喋ってるのは間違いなくレベリット様ですよ。というかあんまり交神できる時間もないので手短にお願いしたいことが! 3分すぎちゃうとこの子の精神があぼーんしちゃうから』」


「どこの星雲の方だ。なんでそんな危険な事をする」


「『いやぁ、天上から見てたらなんか君ってば特大の特異点になりそうだったから面白そうで、てへ』」


 やっぱりガン見されてたのか!? 


「面白そうって……というか特異点とか不吉だな!?」


 レベリット神の性格はこんななのか! 洗礼先に選んだのを早くも後悔しそうだよ。なんかもう色々とはっちゃけすぎて呆然となってきた。


「『でだ、ノブサダ君、きみ、私の使徒になってみたりしない?』」


「だが、断る!」


「『即答!? もうちょっと考えてみたりしない? お姉さん悲しいわ』」


「創世から居そうな神様がお姉さんぶらないでいただきたい!」


「『ひどいなぁ、レベリット様は永遠の20歳なんですよーだ』」


 「使徒とかそういうのは間に合ってます」


「『年齢はスルーですかそうですか。使徒になったら色々恩恵あるヨー。成長補正とかお得なんですヨー。騙されたと思って頷くだけでいいからーん』」


ベルさんの体でおねだりするレベ神。でも体は男って分かっているから俺の精神は揺るがない!


「騙されるの前提? 成長補正だけなら貰ってあげなくもないです」


「『ひどいぶっちゃけキマシター。むー、あんまり時間もないしとりあえず今日はここまでだわさ。私は諦めないよ。創造神様も諦めたらそこで試合終了だっていってたし』」


「創造神、なにパクってんのよ……」


「『とりあえず色々とけとくから使徒の件は考えておいてねー。たまには神殿にもお供え物を忘れずに。レベリット様は甘いものがお好きですよん。特にドラ焼きが大好物です』」


「わかったよ、ドザ○もん」


「『伏せてるとこちがーう。そして水死体になってるー。もー、それじゃまた、アディオス!』」


 嵐の如く喋繰り倒してレベリットは去っていった。うん、もはや敬う気持ちは塵と消え去った気がする。面白そうではあるが。



「はっ! いま何かが降臨してきたような気が……頭が……割れるように……」


「だ、大丈夫か?」


「……かゆい」


「かゆいんかい!」


 思わずつっこんでしまった。そして、心配して損した!


「続きをお願いします」


「はい、すいません。……今、再び神へと請い願う。 新たなる信徒となりしこの者に加護と守護を与えたまえ」


 周りに浮かぶ光の粒子が収束していく。ひと際輝いたと思ったら俺の体の中に吸い込まれていく。

 その様子になんでかベルさんもぽかーんとしている。あれ? これって通常の洗礼ではないの??

 なんか変化はあったのか自分を鑑定してみる。


 名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?

 クラス:戦士Lv7 状態:健康

 称号:【マリモキラー】

 HP:70/70 MP:82/82

【スキル】

 エターニア共通語 異魂伝心Lv1 魔法改変Lv1 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv2 投擲Lv1 回避Lv1 神聖魔法Lv1 属性魔法適性Lv2 生活魔法(new!) 偽装Lv2 魔力纏Lv2


【固有スキル】

 識別の魔眼Lv3(up!)  レベリットの加護(小)(new!)


 レベリットの加護(小):クラスの経験値とスキルの習得・熟練度の上昇にプラス補正が入る。


 追加称号

【レベリットの使徒(仮免)】

 成長と才能の女神 レベリットの御使いとなった証。でも仮免。使徒となったものの行動如何で神の間での勢力バランスが変わっていく。でも仮免だから大して影響しない。所持しているだけで効果あり。



 あの駄女神……。加護は助かるけれど使徒(仮免)は誤算なことこの上ないな。駄女神にどんだけ目をつけられているんだろう。

 やっぱり神の間でも勢力バランスとかあるのな。生々しい事だ。



「……ちょっと色々とありましたがこれで洗礼の儀は終了ですぅ」


「洗礼っていつもこんな感じなのですか?」


「……いぇ、私もこんなことは初めてですぅ。ノブサダさんはレベリット様に特別に目をかけていただいている方かもしれませんね」


 当たってますよ、なんか変なの勝手につけられてますよ。誰にも言えませんがね。

 その後、ベルさんから生活魔法の使い方などを教わって神殿(?)を後にした。


 生活魔法には


 洗浄の魔法 クリア

 蛍火(着火)の魔法 ポム

 乾燥の魔法 ドライ

 湧き水の魔法 ウォタ


 などがあり消費する魔力も少なく多くの人が使用可能だそうだ。地味ながらすごく便利だね、これ。


 レベ神様のことは極力頭の隅に追いやってギルドへ戻ろう。今からならまだ依頼受ける時間があるはずだ。無心で依頼をこなしたい、そんな気分だ。


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