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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第六章 和泉屋繁盛記
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第121話 和泉屋繁盛記その三

ことぶき「ノブサダぁぁぁ歯ぁぁぁ食いしばれれぇぇぇ」


ノブサダ「くっ……」


歯を食いしばったノブサダのボディに作者のリバーブローが炸裂!

汚い! 作者、汚い!!



あ、リクエストがあったので各員の日常編鋭意執筆中でござる。閑話にてお届けする予定。

 次の日からは通常営業の和泉屋。


 セフィさんたち常駐組はすでに営業開始している。

 迷宮組は午前中まったりしてから午後から少しお手伝いするらしい。



 しゅぱああーーーん


 薬草と桃が瞬時に凍りつき砕け粉へと変わる。そしてそのまま下の壷へばさりと落ちた。




 俺はといえば素材を加工しつつ考え事をしていたりする。

 そろそろ化粧水の素材も底が見えつつあるからおたまじゃくし狩りにいかないといけない。あとは従業員。うちの場合は事情が事情だけにもう全員奴隷でいくしかあるまい。そのうち解放するけれどそれまでに心をぐわしっと掴んでおいてうちの腹心候補になってもらいたいもんだ。

 今回予定している分なら問題ないがさらに増やすとなると従業員にはある程度自炊してもらう必要もあるかな。流石に迷宮探索に加工に炊事選択となると俺がしんどい。ある程度はディリットさんにまかせつつも将来的にはそれ専用の人がいてもいいかもしれない。そこらも視野にいれておこう。


 しゅぱああーーーん


 そういやマンドラゴラやまんどらゴルァの加工もせにゃあかんな。試作品のあれはちょいと副作用が大きいのでとりあえず封印しよう。高揚から怒っている筈なのに緊張感の無いセリフなんか放ってしまい地味に落ち込んだぜ。むしろ育毛剤やなんかのほうに力を注ぐべきか。たしか7Fの海の中に髪にいいっていう海草が生えてるとか聞いたな。素材にいいかもしれん。あとでウズメに会いに行くついでに採取しておこうか。


 しゅぱああーーーん


 そうそう鉄蟻の甲殻を加工して魔工などのスキルアップを図らないといけないな。セフィさんに聞いたんだがゴーレムを作成するには魔工、錬金術、あとは素材に応じて鍛冶や彫金術が高くないとうまくいかないって話だ。店の防衛をゴーレムに任せられたら三連娘達とで第二採取部隊を派遣できるかもしれない。少なくとも負担は減るだろう。


 しゅぱああーーーん


 問題は加工した素材の使い道だわな。鉄蟻素材は見た目が無骨だから防具以外だと使い道が限られる気がするんだよね。精々、指輪にするくらいしか今の俺にはできそうにないし。指輪にして付与魔法の修練がてらなにかしら付与して売るってのが一番建設的だろうか?


 おっといけない次はマナポーション用の素材っと。


 しゅぽーーーーん


 鉄……うん? 鉄か。魔工で加工するのだから成分抽出とかできるのかな?

 失敗したやつでやってみよう。うまくすれば鉄蟻の甲殻から鉄が採れるかもしれない。そんなに期待はできないのであくまで失敗したときの補填だけどね。


 しゅぽーーーーん


「……のーぶくーん……」


 しゅぽーーーーん


 あとはそう、オークのゴールデンボールも加工せにゃならんなぁ。あれの見入りは半端無くいいのでこの素材作成が終わったら即やってしまうか。俺もそうだがテレビやパソコンがあるわけでもないこの世界、夜になったら本を読んだり寝たりする以外は嫁とイチャイチャするしかないのである。そら旦那さん方はハッスルせざるを得ない。その為にはお金を惜しまない人は多いのだよ。


 しゅぽーーーーん


「……ごはんできたんやでー……」


 しゅぽーーーーん


 あ、そういえばドルヌコさんのほうの売り上げ結果も来ていたな。順調に伸びているようで安心である。

 それとは逆に販売を中止したのはレベリット神殿のレベリンゴジャムだ。季節が夏になったことで素材のリンゴを入荷することもできなくなり在庫のリンゴも使いきった。一時は桃などを使って別なものと思っていたのだがベルの治療院の方が軌道に乗ったため販売中止に踏み切った。あとはあいつの頑張りに期待することにしよう。


 しゅぽーーーーん


 一番度肝を抜かれたのは和泉屋の売り上げ。ドルヌコさんのところに卸したのやら俺が作った装飾品やら全部ひっくるめて6,737,500マニーもの売り上げをあげている。これはエルフ親子へのお給金やら掛かった経費を抜いた純利益だ。そもそも現時点で素材代は桃と薬草分くらいしか掛かっていない。比率的には新商品である化粧水の売り上げが大きいかな。試しに使ってみたって人も含まれているだろうから今後はもう少し落ち着くとは思うが恐ろしいほどである。警備の人員も増やしたほうがいい気がしてきた。


 ふうっ


「うひひゃう!」


 不意に耳元に吐息が吹きかけられた。びっくりして変な声だしてしまったじゃないか。振り返ればフツノさんが傍に佇んでいた。


「ふふふ、驚いたん? 折角うちが昼ごはん作ったんやから暖かいうちに食べてくれなあかんよ?」


「ごめんごめん、作業に集中してて気付かなかったよ」


「ええんよ、ほないこか」


 一旦作業を中断して食堂へ向かう。ふと気になったことがあるので隣を歩くフツノさんに質問してみた。


「さっきのまったく気配を感じなかったけれども昨晩言ってた新型の結界術?」


「あ、分かった? せやねん。新しゅう閃いたのが新式の『潜伏結界』なんよ。これは限りなーく気配を押し殺して気づかれ難くする結界やね。もちろん欠点もあって走ったりしただけで解除されるし効果範囲も狭いんよ」


「それでも使い勝手は良さそうだね。ミタマの戦い方と組み合わせるのに相性よさげだ」


「ノブ君もそう思う!? お姉ちゃんとしてはしっかりと支えてあげんとね」


 ちょっと過剰な愛情かもしれないが仲が良いからいいか。かなりご機嫌なのかフツノさんの尻尾がそれはもうフリフリ揺れている。くっ、いかん。あのモフモフに手が伸びそうになった。落ち着け俺。鉄の自制心で耐えるのだ。はんにゃーはーらーみーたーしきぞくぜーくーぞくぜーしき……。




 お昼のサバの塩焼き定食を平らげ一息ついたら再び加工作業へ戻るのです。キュアポーションの素材作成はさくっと終了。

 続いては新薬の開発だ。

 まずは既存の大豚医散の効力アップを図る。

 素材にまんどらゴルァを漬けた濃魔力水、略して『まゴ水』を適度に混ぜてみる。媚薬効果はこの間のミタマで確認済み。あの程度の量で俺が干からびるまで持続したのだから分量には注意が必要だ。オークのゴールデンボールをフリーズドライで粉へと変え『まゴ水』に溶かし味の調整と融和性を高める為にアルラウネの蜜を少量混ぜる。分量を変えたのを数種類つくりこれを原液とした。

 そこからは中和剤で薄めつつベストな配合比を探るのだがこれが面倒なんだよね。

 こればっかりは少しずつ試しながらやるしかない。識別先生、フル稼働ですぞ。





 ――それからそれから――





 ふ、ふふふ。4時間ぶっ続けでなんとか満足のいくもの2種が仕上がった。最終的に素材を全部使って極上品は石器バケツ特大4個分、廉価品は石器バケツ特大8個分の液量となってしまったよ。以前のものは散薬だったが『まゴ水』を使うことから新薬は飲み薬となっている。また手間が増えました、反省しています。


 てってれ~♪ 錬金術のレベルがあがりました。


 マーラサマ・漆黒

 品質:ご立派 封入魔力:99/99

 ノブサダの手により調合されし異世界の魔王の名を掲げた至高の精力薬。体力回復、精力増強、不能回復、不妊治療に絶大なる効果を発揮する。


 マーラサマ・深緑

 品質:高品質 封入魔力:46/46

 ノブサダの手により調合されし異世界の魔王の名を掲げた高品質の精力薬。体力回復、精力増強、不能回復、不妊治療に多大なる効果を発揮する。


 はっはっはっは、識別先生お戯れがすぎますぞ。何ですかな『ご立派』とは。しかも、なんとなーく考え付いたのがしっかりと名前の欄に表示されていたりしますがな。

 それにしても我ながらとんでもない物を作り上げてしまった。体力回復効果もあるので心臓への負担は少ない。腰に関しては自己責任になるがね。

 これが売り出された日にはグラマダ周辺は出産ラッシュになること間違いなしなのである。『まゴ水』が無くなったからわかもとサンにでも漬かってもらおうかね。さらなる改良の余地があるとはなんとも恐ろしい。


 錬金術がまた成長するほどの難易度だったのだろう。効能だけ見たら多分世界でも類を見ないと思うし。というか朝からぶっ続けでどえらい量作ってるからってのもあるか。なんせ素材保存用のツボ全部満タン。追加で石器バケツ3個、さらにマーラサマ全部含めたら石器バケツ12個分だもんな。


 ちなみにマーラサマシリーズはわかもとサンが刻まれた特製の小瓶で売り出そうと思っている。小さなアンプル程度のサイズで十分な効果を発揮するはずだからだ。



 とりあえず効果は今晩確かめてみるとしようか……。




 果たして俺は生き残れるのか!!!

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