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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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第108話 いざ、9Fへ

ご無沙汰しておりました。ことぶき、生きております。

日間ランキングに入っていたことから気合入れて毎日更新していましたがランク落ちしたと同時に緊張の糸がぷつりと切れた模様です。おかげさまで仕事以外の時間はぐったりと養生しておりました。

というわけで今日からまた再開でございますよ。


前回までのあらすじ

・そろそろ流砂洞の乱流砂が治まるんじゃね? と再挑戦に向けてノブサダは自重しない装備強化をやらかした!

 1,2週間で治まるという話だった乱流砂だったが一ヶ月以上続くという異常事態に冒険者ギルドも大慌てになっていた。なんせ上層から行こうが下層から行こうが一向に治まっている様子がないのである。9F中央あたりに位置する冒険者ギルドの出張観測所である『ブーンブーン』も無事であるか分からない。凶暴化するアイアンアントもそうだが食料のほうもかなりギリギリだろうからだ。

 輸送に特化したBランク冒険者パーティへ物資を託し先駆けて出立したとエレノアさんから先ほど聞いたばかりである。


 内部がどういう風になっているか分からないためくれぐれも気をつけてくださいと念を押され皆と共に気合を入れなおす。


 何かあったときのためにかなりの量の食料と薬剤を次元収納へと放り込み準備も完了。

 次元収納だが随分と拡張が進み容量も3トンから入るようになり区分けも5つほどまで増量している。

 合計15トンもの荷が俺一人で運べるという運送業者も驚きの性能だ。区分けの一つに白米号が丸ごと入っているのは余談である。


 装備のほうにも若干の変化がある。

 ミタマの短刀を皮切りにフツノさんの杖、カグラさんの金棒と槍、そしてそれぞれの防具に付与魔法を施した。無論、自重なぞしていない。ミスリルほどではないが品質が向上している。

 弓は硬化をかけることが出来なかったので矢のほうを残さず付与した。ものすごい贅沢仕様らしい。

 試しにミタマに射てもらったら的を突き抜けていたもの。ミタマが珍しく鼻息荒くしていたわ。



 今回の旅のお供はタマちゃん。わかもとサンは『和泉屋』でお留守番だ。




 今回の旅路は9F以降の攻略がメインなので道中はすっ飛ばしていく。具体的に言うとダンジョン内部で白米号を運用した。『高機動兵装フライトシステム』で突き進む様を他の冒険者連中に奇異の目で見られたりするが今更なので気にしない。途中で魔物を轢いたりしたが気にしないったら気にしない。



「ふんふふふん♪」


 フツノさんがご機嫌で歌を口ずさんでいる。横のミタマも結構ご機嫌である。

 なんでかと不思議に思って聞いてみたら例の先発隊の冒険者は彼女らの知り合いなのだという。

 冒険者パーティ『白の運び手』。B級の冒険者たちであり護衛と輸送を主に引き受けている。とはいえ戦闘が苦手なわけでなく単に本人達の好みの問題であるらしい。

 リーダーは剣士のマルチダ。魔剣の使い手。当時弓一辺倒だったミタマに接近戦の心得を教えてくれた恩師のような人らしい。

 マルチダの旦那で盾術士のウッド、シーフのジョブン、狩人のオスカーの4人パーティで堅実な仕事に定評があると言う。


「うちとミタマとクレイ、3人ともあの人らには頭が上がらへんかってん。たしかそろそろ引退するって言うてはったけどな。ようやく店を持つ資金が貯まったらしいんよ。出来上がったらうちらもお祝いにいかんといけへんね」


「……駆け出しの頃、お腹をすかせていたのを見かねて何度もご飯をご馳走になったんだ。最近はグラマダを離れてたんだけど戻ってきたみたい。今度、ノブにも紹介するね」


 この二人がこれだけ懐くってことはよっぽど出来たお人なんだろうな。昔のミタマはなんとなく良い人悪い人ふつうの人を直感で判別しちゃうところがあるので気難しかったらしい。そう考えると初対面の俺はよく受け入れられたものだ。もふもふを助けねばという欲望一色だったもんな!







 9Fに着けばすっかりと流砂は治まっており洞窟の様相を露わにしている。天井などの穴からさらさらと砂が流れていることから常時様々なところを砂が流れているのだろう。

 常時発動していた『空間把握』の範囲を広げアイアンアントの襲撃に備える。布陣はミタマを筆頭に周囲を警戒。カグラさん、フツノさんとタマちゃん、最後尾に俺が並んで進む。

 まずは中央部の『ブーンブーン』を目指して進むことにしていた。エレノアさんから「同期の一人が配属されていたんです。行けるなら安否を確認してくれませんか」と頼まれていたのだ。


「……いた。左の通路からそれなりの集団の気配」


 俺が口を出す前にミタマの合図が入る。フツノさんを最後尾に回し全員身構えてもらう。俺がトラップとして魔法を仕掛けた後、下がってそいつらを待ち受けた。


 数分たたずにギギギと耳障りな鳴き声(?)を放ちながらアイアンアントの集団が押し寄せてくる。8匹か……。こちらの存在に気付いているようで一直線に向かってきた。


 パチン


 俺が指を弾くと向かい来るアイアンアントの先頭4匹が爆音と共に弾け飛ぶ。『機人片塵爆雷ボンバーマイン』の威力調整は上々。


 ギチギチギチギギギギギ


 後方に構えていたアイアンアントから魔法で作られた石の矢が放たれた。さほど広くもない通路を大小20本ほどが向かってくる。


「ぬうん!」


 その矢はぶんぶんと振るわれるカグラさんの金棒にて叩き落されている。軽化と硬化が付与された金棒は以前と比べて倍くらいの速度がでているんじゃないだろうか? 風圧が凄いもの。


「……ウェポンスキル『ホーミングアロー』」


「武技『魔刃・絶刀』


 金棒が振るわれる隙間を縫ってミタマのウェポンスキルと俺の武技が放たれる。

 ミタマの放った矢は曲線を描きアイアンアントの眉間の部分に突き刺さり一撃で崩れ落ちる。

 俺が放った剣閃は一直線にアイアンアントに向かっていきその体を真っ二つに切り裂いた。


 残りは……ああ、カグラさんが追い討ちで既に突っ込んで叩き潰しているし。


「うち、なんにもしてへんよ?」


 若干悲しそうにフツノさんがそう呟いたのだった。

 大丈夫、うちもですえと言わんばかりにタマちゃんがフツノさんの肩の上で小さく弾んでいる。



 それからアイアンアントの集団を補足する度に殲滅しながら進む。以前、カグラさんと退治したアイアンアントと比較すれば明らかにレベルが高いしガタイも大きい。そして今までの階層よりも遭遇頻度は段違いに高く感じる。元の状態を知らないから比較は出来ないがなんとなく嫌な予感がするんだな。


「……ノブ、あそこ! 建物の下にアイアンアントが集まってる」


 お!? ってなんか建物に登りかかろうとしているって。まだ距離あるんだぞ。


「俺が先行して注意をひき付ける。背後に回るから追い討ちを頼むよ」


「相分かった。主殿、無茶は……するんじゃろうけど無理だけはせんでくれ」


 さすがカグラさん、よく分かってらっしゃる。


高機動兵装フライトシステム』を発動し高速で回り込みつつアイアンアントの集団へと先制攻撃を仕掛ける!


氷結連装弾アイシクルガトリング!」


 見よ! これがテムロさんにふるぼっこにされてからの修行の成果だ!

 小指の先ほどの氷弾が瞬時に生成されアイアンアントの真ん中へ次々撃ち放たれる。その数たるや秒間40発! 鉄に近い甲殻も楽々打ち抜き、まるで踊るように倒れこむアイアンアントたち。攻撃に気付いて魔法で迎撃しようとする個体もいたのだが詠唱最中に弾幕で沈んでいた。

 張り切りすぎてやりすぎたかもしれぬ。もはや死屍累々の全滅状態である。




「ノブ君……うちの出番……」


 フツノさんに哀愁が漂っている。正直すまんかった。






 冒険者ギルドの9F簡易観測所『ブーンブーン』。高く組み上げられた土台の上に観測所兼住居がある。それにしても常駐しているはずの冒険者の姿も無い。中の人たちは無事だろうか?


 アイアンアントの酸などによって崩れかけていたところをストーンウォールで補強し階段を登って中の安否を確認するべく扉をノックした。

 反応がない。

 扉にしても誰かが抑えているとかそういうこともないのでこれは非常事態だと無理矢理こじ開ける。


 中には……倒れこんでいる人が3人。ギルドの制服を着ていることから職員なのだろう。

 慌てて駆け寄ると衰弱しているがどうにか生きている模様。外のフツノさんに来てもらい他の二人とタマちゃんには周囲を警戒してもらった。

 フツノさんと共に衰弱した三人へリポビタマデラックスをなんとか流し込んでやる。外傷は無い様なので栄養失調による衰弱だろう。

 識別先生の見立てでHPは徐々に回復しているようだ。ただ意識はまだ戻らず衰弱が激しいため復帰には時間が掛かりそうだ。かといって見捨てることもできないため腰をすえて治療に当たるしかないだろう。回復を待ちつつ辺りのアイアンアント共を殲滅しようか。


 それにしても先行したはずの『白の運び手』はまだ来ていないのだろうか? 白米号でぶっ飛ばして来たから追い抜いたんだろうかね??


とりあえず睡眠時間削って書く様な事は控えます(-д-;)

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