第105話 海でのバカンス⑤
ウズメはイリオモテなヤマネコっぽい子猫の容姿をしています。
ああ、肉球ぷにぷにしたい。
質問にあったマッスルさんですが四つ子設定でした。いずれ再登場するでしょう、たぶん。
※訂正とお詫び
カグラの母親の名前とウミネコ大将の名前がかぶっていました。これは単純に作者がすこーんとど忘れしていた為です。謹んでお詫び申し上げます。尚、母親の名前をウズメ→スセリへと変更したことをここにご報告申し上げます。
結論! リパルションを張りつつちょっぱやで近づいて本体の様子を探る!
はっはっは、鉄砲玉作戦ばっかりだ。もうちょっと使い勝手のいい捕獲魔法考えておこう……。
いよっし、方針を決めたからには動きますか。ぱしんと両頬を打って気合を入れなおす。
空間把握を常時発動して位置関係を把握。リパルションを展開して防御はOK。斥力外に『空気推進』を展開し水飛沫を上げながら高速でハイクラーケンへと近づいていく。うーむ、まるでジェットスキーみたいだ。ちょっと楽しいのは内緒だぜ。
ハイクラーケンのほうはというと……あら、俺が近づいているの無視して何かを捕食中か。食べても食べてもおっつかないんだろうな。反射的に攻撃してくる触手を回避しつつ動き回り観察していく。
ん?
僅かながら違和感を感じる。直感を信じてその場所を集中的に探れば……いた!
なんだありゃ!? 気持ち悪いな。黄色とも黄金色とも言える50センチメートルほどの大きさなアメーバ状のなにか。それがハイクラーケンの呼吸器の辺りにへばり付いている。
寄=?セイ#&%!粘+@菌
???? ????
+`@:。:改&$('”造サレタタタタタタタタ
うあああ、識別先生がバグッた!?
辛うじて読めるところを拾えば寄生粘菌か? たしかにへばりついた先の肉壁は僅かに同化しているように見えなくも無い。
うーん、うっかり触ったら俺まで取り付かれそうで怖いな。何かいい手は……。
ぽくぽくぽくぽく
ちきーん!
整いました!
寄生粘菌! 菌ですわい。アレが有効だったりしませんかね? 一度自爆したときには触っていなくても効果があったし。
準備を済ませたあとは魔力纏の要領でうにょりんと触手状に伸ばしてみる。うむ、思った以上にうまく動かせそうだ。これに魔法を流し込んでっと。
ハイクラーケンの触手は避けつつこちらのは呼吸器へと近づける。こんがらがりそうだな。絡まったら絡まったで纏めてから伸ばせば済むんだけどもね。
シュアアアアっと海上を駆け巡りハイクラーケンの注意を俺へと向ける。同時にうにょりんうにょりんと呼吸器の近くへ進んでいくマイサン、もといマイ魔力触手。ここからは慎重に慎重に。
そろりと寄生粘菌の近くへマイ触手を忍ばせていけば……ヒット!
はっしと触手へと体を伸ばしくっつく寄生粘菌。ほーら吸え吸えこっちの魔力はあーまいぞっと。毒が混じっているがな!
ってえらい勢いで吸われている。これで効果が無かったら困るどころじゃないな。
やがて寄生粘菌の魔力を吸う勢いが弱まる。むしろ苦しそうにうねうねと体を身悶えさせていた。
その体色が端の方から枯葉のように変化していくとやがてその動きを止めハイクラーケンの体から剥がれ落ちていく。
いよっし、うまくいったぁ。
魔力触手の内側へ管の中を通すかのようにポイズンミストを流し込んでみた。更に追い討ちのため菌だけにカビデストロイヤーの称号の効果が出ないもんかと試みてみたが成功したらしい。
以前、パン生地やらを駄目にしたときに直に触っていないものにまで影響を及ぼしていたため魔力自体に除菌成分でもでてるんじゃないかという思いつきだったんだ。
寄生粘菌が死滅した後のハイクラーケンはいままでが嘘のように大人しく海の中で待機していた。あ、横にいるウズメが事の顛末を説明しているのか。
それじゃということで俺はハイクラーケンの体にハイヒールをかけて癒してやる。突如の回復魔法に驚いたようだが癒されたことは満更でもないらしく触手を左右に振っている。
話し合い(?)は無事すんだようでハイクラーケンはウミネコたちに迷惑をかけたことに酷く狼狽していたらしい。なんでも岩場にて休んでいたところどこからか忍び寄った寄生粘菌に取り付かれた。暴れていた間の記憶が定かでなくただただ死の恐怖から逃れる為に喰らい続けていたと言う。
それから迷惑をかけた、償う為にも戻ってきてほしい。我、不器用故それしかできぬと言われたようだ。ウズメは皆と話してくる、今日のところはお前もゆっくり休んでくれと伝えハイクラーケンも了承した。
浜辺に帰還する頃にはもう夕暮れ時の時間だ。ダンジョンだから夕暮れなんてないんだけれどもね。
「ただいまー、なんとかなったよー」
「「「「「おかえりー」」」」」
海の家に帰れば水着から着替え思い思いの衣装を身にまとった皆が俺を出迎えてくれた。
俺の知らない間にそげな衣装ば買っていたとですか。
「……この間の稼ぎで注文していたの。ノブが好きそうなのをみんなで選んだんだ」
ミタマは眼鏡をかけて女教師風だ。スーツっぽい装いは大人びた雰囲気をタイトスカートとどうやって作ったんだかしらないストッキングがお尻から足までを艶かしく強調している。本当にどうやって作ったんだマニワさん? あ、俺はメガネっ子大好きですよ。
「マニワはんに随分と入れ知恵してたみたいやん。嬉々として注文に応じてくれたで?」
フツノさんは巫女服。狐耳と巫女の相性がノブサダ的にはスバラスィと思うんです。
赤と白の日本でよくある巫女服だ。腋は空いてないからね。さらしは巻いていないみたいでさっきからゆっさゆさとその存在感を強調しております。
「主殿は……その、露出は多いほうが好きじゃろ? 思い切って着てみたんだがどうかの」
通常モードに戻ったカグラさんは体操着にブルマ。マニワさん、あんたぁなんてものを作ってしもうたんや。しゃ、しゃれにならへんでぇ。背が高い分、大人のお姉さんが頑張って着こなしました的な雰囲気が漂っちゃっているがそれもまた良し!
「うふふぅ、ノブちゃんも好きねぇ。神殿の皆さんのとはちょおっと違うけれどこれどこから思いついたのかしらぁ」
セフィさんは修道服。モノクルが厳格そうなイメージを引き立てる、見た目だけだが。
こちらの神殿で使われている修道服は各神殿に対応した色一色に染め上げられたものだが現在セフィさんが着ているのは白と黒をあしらったよくマンガ等で目にするシスターそのものである。けしからん、なんというけしからん。何を見ているかはご想像の通りだ!
「これはノブサダさんの故郷の衣装と聞いたので選んだのですがいかがですか?」
エレノアさんは浴衣。もう夏に入ることだしなんともいい感じだ。
たぶんこの面子の中でもっとも浴衣が似合うんじゃないかな。どこがとは言わない。言えない。
金髪も纏め上げられて簪を使って留められている。ちなみにこの簪は彫金術の練習で作ったものでみんなに渡してある。うん、綺麗だな。うなじがすごく色っぽいぞ。
「みんなすごく似合ってる。俺は幸せ者だなぁ」
多分、今、俺は今まで生きてきた中で1,2を争うほどの笑顔を浮かべているだろう。そしてたぶん一番鼻の下が伸びているはずだ。キリッとなんて出来る訳がない!
いやあ、眼福眼福。
さあ、幸せな気分を保ちつつお返しに美味しい夕飯を作りましょうか!
まずはお刺身。大トロ、中トロ、赤身の三種を盛り付ける。ご飯のほうは中落ちでマグロ丼だ。
かまとろの部分は網焼きでテールの部分はにんにくを効かせてステーキ風に仕上げた。
その他にも飽きさせないようにカルパッチョやワカメの味噌汁、持ってきた果物で盛り合わせとシャーベットをおみまいする。
にゃんこ様たちには小魚から肥料にする予定だった内臓部分やカマ焼きにしようと思っていたカマなどを提供する。
お酒も解禁になっているのでそらもう盛り上がった。暑い暑いと脱ぎだそうとするフツノさんを押さえ込みなんとか阻止する。それはあとで俺が脱がすんです! 楽しみを奪っちゃ駄目なのよ!
食事の後もそらもう盛り上がった。ハイクラーケンにぬるぬるにされた鬱憤から濃い化粧水をこれでもかと使いぬるぬるひゃっほいした。使用済みの衣装はちゃんとワタクシが綺麗に洗濯しましたよ。
てってれ~♪ 性豪のレベルが上がりました。




