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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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第104話 海でのバカンス④


 すーりすりと顔を俺に摺り寄せてくるウミネコ大将。

 懐かれてしまったものを倒すのは無理! なんでまたこんなことになったのか異魂伝心にて契約を結んで確認してみようと思う。


「というわけでボクと契約して魔法猫娘になってくれないか(物理的に)」


 うにゃん?


 首を傾げるウミネコ大将。うん、御免、ちょっとふざけて見ただけぇええええええ? ミタマさん頬を引っ張るのは御止めくだしあ。あたたたたたたた。


 てってれ~♪ ウミネコ大将は服従の意を示した。


 あ、これでオーケーでしたか。

 それじゃ名前をつけてやら無いといけないな。でも、猫らしい名前……タマはもう使っちゃったし。

 うーむ、ニャン○先生とかキ○ィとかは色々と拙いだろうし……なにかヒントが無いか周囲を見渡す。フツノ、ミタマ、カグラ……踊る? 踊るといえば……アメノウズメ?

 ウズメってどうよ!?


 にゃあん!


 てってれ~♪ ウズメがエターニア共通語を習得しました。


 習得早いな!


「ウズメ、喋れるか? どうしてこんなにウミネコたちが大挙して押し寄せてきたのか教えて欲しい」


 コクリと頷くウズメ。やはり賢いねこの猫ちゃん。


「わたし、たち、うみ、むこうでおきないかと、くら、してた……」


 たどたどしく説明してくれたのだがどうやらこのウミネコたちはダンジョン産の魔物ではなく外から住みやすい場所を求めて移住してきた魔物のようだ。

 ウズメが幼い頃にここへ移住してきたのだが住み着いてそれなりにたった頃、クラーケンの幼生体が波打ち際に打ち上げられているところを助けたらしい。そのクラーケンもそれなりに知能があるらしく(ダンジョン産でも知能高いものが稀にいるらしいよ、エレノアさん談)種族を超えた友人関係になったそうだ。

 それからしばらくたちウズメが群れを率いるようになるとクラーケンとは共生関係を続けていた。

 だが、その共生関係にあったクラーケンが少し前から突如乱心し暴れ始めた。今までは生きていくうえで必要な分だけ獲物をとっていたのが片っ端から食い散らかしあげくウズメの群れすら狙い始めたのだとか。やむなく住処を棄て放浪していたところあのマグロッスを仕留めようと奮闘。だが空間転移で逃げ出したのを俺がずんばらりんと斬っちゃったわけだ。獲物を横取りしたものを追い詰め奪い返すためここまで来たらしい。


 たしかに結構やせ細っているウミネコもちらほら見える。飼えない事はないが食費とやんちゃなウミネコたちを押し込めるのは得策ではないと思った。

 となれば原因をどうにかしてくるしかないわけだ。


「その、折角のバカンスなんだがこの子たちを見捨てるのも忍びないのでひとっ走りそのクラーケンをなんとかしてきていい?」


「……ノブならそう言うとみんな思ってた」


「せやなぁ、うちかてこんな円らな瞳を見ちゃったら後にはひけへんもん」


「ただ、ノブサダさんはいつも首を突っ込んでは危ない目にあっているので無理だけはしないでくださいね」


「そうよねぇ、ノブちゃん。危ないと思ったら即逃げていいのよぉ。どうしようもなかったらこの子達をうちで引き取ることも考えているからぁ」


 セフィさんまで……。まったくよくできた嫁さんたちですわい!


 あれ? カグラさんがいないぞ。


「あ、あるじどのぉ……助けてほしいのじゃぁぁ」


 ぶほっ。セフィさんたちの後ろで大量のウミネコたちにたかられて猫玉と化しているカグラさんがそこにいた。


 ウズメの一声でそれは解除されたんだが幼女のカグラさんには危険が多いんだな。







 というわけで遥々きたぜ沖までーっと。高機動魔法一式改め全部ひとまとめにした複合魔法『高機動兵装フライトシステム』を駆使して沖合いにあるウズメたちの元住処まで一気に到着。ウズメは途中から速度についてこれなくなりそうだったので肩の上に担いできた。

 したん、と海上に降り立つウズメ。どうやら例のクラーケンを探しているようだ。

 んじゃ俺も空間把握で辺りを捜索するとしますか。


 いた!


 でかいのが一匹。胴体だけで5メートルくらいはありそうだ。足まで入れたら倍はあるだろう。これ、年月を重ねればもっと大きくなるのか? 放置していたら巨大なイカがダンジョンから這い出で来るのを想像してしまった。そこらへんどうなっているのか後でエレノアさんに確認してみよう。


『空間迷彩』と『高機動兵装フライトシステム』の相性が良くないせいか同時使用ができないので速度を制限してゆっくり近づき遠目にでも識別先生に状況を確認してもらおう。


 なんとか肉眼で捉えられる距離へ近づけば真っ白な巨大イカが竜宮城にでも連れて行ってくれそうな大きな亀を雁字搦めにしてその頭を齧っている模様。OH、海獣大決戦! 念のため、ウズメには後方で待機していてもらおう。巻き込まれたら目も当てられん。


 ハイクラーケン

 HP:346/1022 MP:139/388

 状態:魔素欠乏、衰弱

 クラーケンが進化した魔物。進化の先のひとつで一般的なクラーケンよりもサイズが小さいが知能が高く言葉すら理解する。魔法も行使可能で船乗りなどには海の悪魔と恐れられていた。


 なんだこれ?


 明らかに様子がおかしいな。さっきから亀を喰らう度にHPやMPは回復しているんだがそこから徐々にまた減り始める。それの繰り返しだ。食中毒になって点滴されながらも下は止まらなかった時に似ている?

 なにかしらの原因がこの状態異常やら暴れているのを引き起こしているならそいつをなんとかすれば元の鞘に収まるかね。


 早速、原因を探そうと識別先生を駆使しているんだが如何せんちょっと遠いのと海の中から顔を出さなかったりするので分かりづらいったらない。


 もっと近づかないといけないか?


 俺がそう思った矢先だった。足になにやらぬめんとしたものが絡みつく。不意をつかれ瞬く間に絡め取られてしまった。それに驚き思わず制御に失敗した為、『高機動兵装フライトシステム』が霧散してしまう。


 異議あり! 男が触手に絡まれても誰も得しませんよ!!


 力を込めてもがくもぐにんぐにんと伸びるだけで一向に引きはがれる気配が無い。むしろ追加で触手さんご案内って感じだ。だったら覚えたての魔法で!


「リパルション!」


 発動と共に俺を中心に斥力が発生しぐいんとクラーケンの触手が引き剥がされる。うおお、全身ぬめぬめしてるよ、気持ち悪い。

 球状に斥力が発生しているからかぷーかぷかと海の上に浮いている。即座に『高機動兵装フライトシステム』に切り替え触手の生い茂る海域を離脱し一旦距離を取った。


 ぬめぬめの恐怖から落ち着きを取り戻し再び注意深く観察してみれば辺りがなにかおかしい。異常なほど魔素に溢れている。例の小部屋でボスがでるような感じくらい。キラキラと海中が光を帯びているのは海面の反射だけでなく海中に魔素が漂っているせいだと思う。自信はないけどな!


 あわせてハイクラーケンを見ればやっぱり徐々にMPが減少している。


 ということはだ。ハイクラーケンから魔力だだ漏れ、それを回復する為に狂ったように獲物を追い求めたということになる。そうなった原因は……やっぱりあの触手を突破して本体に近づかないと分からないか。


 さてそうなると動きを止めたいところなんだが俺の今までの常套手段を考えてみよう。


 エアバインド→海の中だもの効かないよ!

 グラビトン→海の中に潜られて終わりだよ!


 ですよねー。


 はてさてどうしたもんか……。

ハイクラーケン

ハイ=高

あとは分かるな!?

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