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新説・のぶさん異世界記  作者: ことぶきわたる
第五章 そうだ! ダンジョンへ行こう!!
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第94話 幸せのおすそ分け

没ネタ集


セフィ「おかえりノブちゃん、ミタマにする? フツノにする? それともワ・タ・シ?」


カグラ「また妾だけ除け者じゃぁぁぁぁぁ」



気晴らしに短編の小説を書いているでござる。近いうちに形になったら投稿するなりよ。

「「「「「ただいまー」」」」」」


 意気揚々と我らが自宅へ戻る。


「「「「おかえりなさい(ませ)」」」」


 そこには三つ指ついて帰りを待っていたティノちゃん+三連娘の姿があった。

 ちょっと待て、誰だこんなの教えたの。恐らく元凶であろう人物を探すと……あ、いた。陰からこっそり覗き見しているのが見えてますよ、セフィさん。


 あれ? そういえばと四人を改めて見てみる。おお! 普人族の姿になっている。識別先生で確認すればレベル1ではあるが全員『変身』のスキルを習得していた。不真面目そうに見えてやっぱり不真面目ながらセフィさんはそこらへんは教えていたようだ。


「ご主人様、わたくしたち変なところはありませんか?」


 ちょっと顔を赤らめながら問うガーナ。


「ノブにいさん、どうよ。しっかり普人族っぽくなってるしょ?」


 誇らしげににっかり微笑むオルテア。


「ぶい」


 ビシリとVサインを突き出すマーシュ。まともに起きていることに驚いている俺は平常運転のはずだ。


「ノブお兄ちゃん。みんな頑張ったんだよ。えへへ、褒めて褒めて」


 満面の笑みで俺を迎えるティノちゃん。エルフっていうよりワンコみたいになっている。


 全員の頭を撫でながら一人一人良く頑張ったねと褒めてあげる。ご褒美にあとで甘いお菓子を作ってあげようと言ったら全員飛び上がって喜んでいた。四人とも随分馴染んだようでまるで姉妹のようである。


 そんな四人をほほえましく見守るディリットさん、生暖かく見守るセフィさん。


「ディリットさん、留守の間お疲れ様でした。子供たちの面倒見てもらって助かってます」


「いいえ、娘も姉妹ができたようにはしゃいで随分と楽しそうでしたから。皆、いい子ですから私が何をしたということもないんですよ。ふふふ、種族の違いなんて子供にはそんなに関係のないことなのかもしれませんね」


 たしかにディリットさんの言う通りなのかもね。大人には変に凝り固まった考えがあるから余計に拗れる。

 年相応にはしゃぐ四人を見てるとそう思えるわ。




「ノブちゃぁぁん。私にはぁ?」


 全員、居間に移動して寛ぎだしていたらちょっとだけ恨みがましそうな声でセフィさんがにじり寄ってきた。


「セフィさんもただいま。というか子供たちにあんな出迎え方教えたのセフィさんでしょう? 変なこと教えないの!」


「だってぇ、ノブちゃん前に私がアレやったときすごく喜んだじゃない。それをポロっと洩らしちゃったらあの子たちもやるってきかないんですものぉ」


 そら、裸エプロンであれやられたら男は理性を無くしそうに喜ぶさ。うーむ、まぁ変なとこまで教えてなければ大丈夫なのかな?


「まあ仕方ないですかね。それとあの子たちに『変身』の仕方を教えてくれてありがとう」


「それなんだけれどちょっとコツを教えたらあっという間に覚えちゃったのよぅ。何かの加護でもあるのかしらねぇ」


 ああ、ありますあります、駄女神のが。ふむ、これから作るお菓子はあれにもお供えしようか。少しだけ優しくなれそうだ。


「ああ、それと今回は8Fまでしか行けませんでした。どうやら9Fで『乱流砂』っていうのが起こったようで進むに進めなかったんですよ」


「あら久しぶりに聞いたわぁ。それじゃあしばらくは進行できないわねぇ。どうするの?」


「そうですね依頼を受けたり上層で鍛えたりですか。今までとあんまり変わりませんね」


 ふと何かを考え込むセフィさん。およ、珍しく真面目な顔だ。


「それだったら人気の無い時間にでもあの3人をダンジョンで少し鍛えたらどうかしらぁ? 変身を覚えたばかりだけれどこれで外は歩けるでしょう? あの子達には自衛の力を持ってもらったほうがいいと思うのよねぇ」


 ふむ、進行も出来ないし丁度いいっちゃいいか。人気の少なくなる夕刻から夜に浅い階層で鍛えるってのはありだね。


「分かりました。時間が空いたら一緒に行きますよ。今回の戦果ですが蜂蜜やなんかを獲れたんで今晩のデザート楽しみにしててください」


「わぁ蜂蜜大好きなのよぉ。どんなのが出てくるか楽しみだわぁ」


 それからここ一週間の商品の売り上げ状況などを引き継ぎしていた。

 栄養剤、化粧品の売り上げは上々で出かける前に俺が作っていた在庫は完売しそうな物があるほどである。精力剤のほうは完売。これは10F到達するまでは欠品となってしまう。素材が素材だけに仕方が無いね。

 それと伝手の会った貴族から高級化粧品に発注が増えているらしい。いい手ごたえである。


 ドルヌコさんに預けていたほうの結果もいい感じだ。ただし高級品設定した化粧品のほうはいまいち。あれは使ってみないと差が分からないし庶民には高すぎる。ま、徐々にってことでいいだろう。


 対して低価格のものは口コミで広がり行列が出来るほどだったらしい。一過性のものだと思うからすぐに収まるであろうがリピーターは多いとのこと。

 短期イービルタッドポールツアーを組まないといけないかもしれないな。嬉しい誤算である。

 ただし、予想以上に売れた分を増産する為に屋敷に居残った全員フル稼働だったらしい。


 売り上げ総額なんと497,000マニー。


 内訳だが


 大豚医散20袋完売。(一つ5,000マニーだが予想以上に下半身市場は白熱しているようだ)

 リポビタマデラックスが増産込みで300本完売。

 リポビタマアゲインも増産した分入れて130本売れた。

 美肌水が510本、極美肌水は38本。

 もうこれだけで食っていけそうな勢いである。


 こりゃあ居残り組を労う為にも今晩の食事は手が抜けないな。






 厨房に立った俺はなぜか鉢巻をして気合を入れる。


 まずはメインの料理から!


 ご飯に片栗粉を少量混ぜ込んだあと麺棒で米粒とつぶれたものが半々になる程度に叩き潰す。それを五百円玉大の食べやすい大きさにひたすら丸める。できたらフライパンで焦げ目が突く程度に焼き上げるのだ。それを鶏肉やネギなどの具材を入れほどよく煮込まれた鍋へと投入。

 味が馴染んだ頃に火から外し『きりたんぽ鍋』の完成である。



 デザートは今回獲ってきたマンゴーとバナナを脱穀魔法などの要領で加工したあと上にザク切フルーツの蜂蜜掛けを乗せた『マンゴーとバナナのスムージー』とお肌に良いと話したら強制的に作らされていた豆乳を使い『蜂蜜豆乳プリン』を準備した。


 助っ人のフツノさんは一生懸命おにぎりを握ってもらっている。シンプルに塩と海苔だけのやつだ。

 その他に匂い消しの香草を混ぜ込んだ熊肉ハンバーグや鶏唐揚げに海草サラダを添えれば本日のメニューが完成である。





 夕刻前に完成したので師匠とエレノアさんの分をバスケットに詰め込んでギルドに宅配したら他の受付嬢に羨ましそうに見られていた。

 こんなこともあろうかと受付嬢の人数分の蜂蜜豆乳プリンは作成済みなのである。しっかりと根回しのためにスイーツ的な賄賂をおすそ分けすれば「一人一個よ!」「ちょっと私の分は!!」と熾烈なる女性の戦争が起きていた。


 俺は何も見なかった事にしてエレノアさんと談笑を続ける。女性の争いに男が口を出して事態が好転したことなどほぼ皆無なのは経験で分かっているのだ。怖いんだアレは。


 そういえば周りの冒険者の視線が以前よりも幾分生暖かいものへと変わっている気がする。あの決闘のせいなのか通い妻よろしく甲斐甲斐しくお届け物する俺の姿をみたせいなのかは分かりかねるが。


 さてと帰って晩飯を並べようか。一応、受付嬢の皆さんには受けがいいようだしみんなも気に入ってくれるといいんだがな。



 ◆◆◆



「それにしてもエレノア先輩。それってあの人の手作りなんですか?」


 ノブサダさんが持ってきてくれたバスケットを覗き込みながら後輩が訊ねてくる。


「そうよ。本当は私が作れればいいんだけれどもあの人がそれでいいって言ってくれるから。その分、ほかの事で支えていければって思っているわ」


 周りからきゃーきゃーと黄色い声が聞こえてくる。以前なら考えられないのだけれどすごく穏やかな気持ちでそう思えている自分がいる。ノブサダさんから私にとある加護がかかっており、それの副作用でどんなに作っても愛情が深いほど酷い効果が現れることを知ってからだ。


 昔、父に料理を披露したとき、そしてあの時ノブサダさんに食べてもらったとき、たしかに二人のことを想いながら料理を作った。二人には酷いことをしたと反省しているが両名に愛情を持っていたと他ならぬその料理が示していたのである。


 子供のときから感情をあまり表さない冷たい子供だと陰で言われたり受付嬢となってからもどこか一線を引きながら相手を見ていた気がする。


 それが今では毎日が色づいているかのようだ。ノブサダさんがダンジョンへ行っている間、心配はあるけれどあの人に会えるのが待ち遠しくにこやかにギルドの扉を開けてくる姿を想像してしまう。


「ああっ、先輩。あの人のこと考えてるでしょ。なんか幸せそうな顔をしてましたよ」


「そ、そうかしら。そんな自覚はなかったんだけれども……」


「ふっふっふー。それにしてもあの人ってぞろぞろと女性とパーティ組んでるものだからいけ好かないのかなぁと思ってたら差し入れとかそこらの冒険者にない気遣いしてくるんですもの。あの差し入れ、私も食べましたけれどつるんとしてぷるんとして甘くてもう……あれが毎日食べられるなら幸せですよねぇ」


 この子ってばこんなに食べ物に対して貪欲だったかしら?


「それに若手の中では飛びぬけて強そうですもんね。先輩がきっと勝つって賭けていたから真似してみれば私のお財布がずっしりですもの。うふふ、今度の休みに新しい服買っちゃおうかなぁ。あ、そう言えば酷い二つ名で呼ばれてたみたいですけどまた変わったらしいですよ」


「そうなの?」


「なんでも『魔獣』ですって。人間離れした動きや魔法だったからですかね」


 ノブサダさんはそういったことに関する運がないのかしら。私はきっとなんともいえないような表情なんだと思う。

 なんと呼ばれようと私はあの人を支え続けるって決めたのだから構わないのだけれども。今はまだ一緒には行けないけれどあの人が並び立てる強さを持ったらその傍らに立ちたい。それまでは裏方で支え続けましょう。


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