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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

貴方と永遠に・・・ -ヤンデレ少女の愛情表現-

作者:

ねぇ、どうして?あたしはこんなに貴方を愛しているのに……


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼を初めて見たのは大学の構内。

偶然すれ違っただけだけど、あたしは目を奪われた。

明るい茶色に染めた柔らかそうな髪。均整のとれた顔立ち。笑顔であたしの横を通り過ぎていく彼を見て、運命だと思った。

あたしにはこの人しかいない。きっと彼もそう感じたはず。


それから彼のことをたくさん調べたわ。

父親の仕事の関係でこの大学を受けたこと。

彼の家はあたしの家から歩いて20分くらいのアパートで、一人暮らしをしている。

毎週土曜は一日中バイトで、日曜はスーパーで一週間分の食料を買う。自炊もできるなんて、流石あたしの運命の人ね。

たまに友達と遊びに行ったりするみたいだけど、全員同じ大学の男の子。当たり前よね。

あたしがいるのに他の女と遊ぶわけがないわ。

毎日規則正しい生活で朝は8時に起床、夜は21時頃に入浴して24時には就寝。

まぁざっとこんなものかしら。


彼のことなら何でも知っているわ。

彼に内緒で合鍵も作っちゃった。


彼のことをもっと知りたい。

あたしを愛してほしい………


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



あたしは彼のためにご飯を作りに行くことにした。土曜はバイトのせいで夜ご飯はいつもコンビニ弁当かレトルト食品だもの…

毎日栄養のあるものを食べてもらわなくちゃね。


彼の台所で料理をするのはとてもいい気分。まぁ奥さんになったら当たり前になるのよね。


愛情込めて作った肉じゃがにラップをしてテーブルの上に置いておく。今は午後7時、もうじき彼がバイトから帰ってくるわ…


合鍵で鍵を閉めてあたしは彼の部屋をあとにした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



昨日のご飯をちゃんと食べてくれたか不安で、彼の部屋に来た。盛り付けておいた食器は食器棚にしまわれている。


よかった。食べてくれたのね。


帰ろうとした時、ある物が目に入った。恐る恐る近付くと……

生ゴミの袋の中にあたしが作った肉じゃがが捨てられていた。


…………どうして食べてくれなかったの?あたしが作ったから?もしかして迷惑だった?

いろんな疑問が頭をよぎる。


違うわ、彼はそんなことしない。きっと味付けが濃かったのよ。そうに違いないわ。今度はもう少し薄味にしてみよう…。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


よし、完璧だわ。先週は彼の口に合わなかったみたいだけど、今日は大丈夫。

それに今日のメニューはほうれん草のおひたしに煮魚、厚焼き玉子に豆腐のお味噌汁。


これだけ作っておけば1つくらいは食べてもらえるはず。美味しく食べてもらうために料理教室にも通い始めたんだもの。


あたしは上機嫌で彼の部屋をあとにし、明日になるのを待った。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



どうして…どうしてなの…?なんで全部捨てられているのよ!?


先週と同じように捨てられているおかずを見て、あたしは愕然とした。


…あぁ、そうだわ。きっと彼は友達とご飯を食べてきたのよ。だからお腹一杯で食べられなかったのよね。毎週作りに来れば、いつかは食べてくれるわ。



こうしてあたしは毎週土曜日に必ず彼の家でご飯を作ることにした。


だけど、1ヶ月が過ぎても彼は一度もあたしのご飯を食べてはくれなかった。

無惨に捨てられたものを見るたび、あたしの心は締め付けられるような痛みに襲われた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今日は食べてくれるかな…

不安を抱えながら彼の部屋に行くと、ある異変に気が付いた。


いつも使っているバイクが停められていて、窓のカーテンも開いている。


どうしよう…玄関の前まで来たものの入る勇気が出ずにウロウロしていると、部屋の中から彼の笑い声が聞こえてきた。


友達が来てたのね。それじゃあ今日はやめておこう。

立ち去ろうとしたその時、ある声が耳に入ってきた。



「あはは!やだー、もう!!笑」



何、今の…。


まるでカップルがいちゃついているような台詞。

媚をうる耳障りな女の声。


浮気してるの…?まさか、彼に限ってそんなことはしないわ。きっと女の方が無理矢理迫ったのよね。

許せないわ。あたしの彼を奪おうとするなんて。


今に見てなさい…地獄を見せてあげるわ………



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



彼から女を引き離すため、女の身元を調べた。


サイトウ ユミ 21才

中学高校は普通の公立。成績は中の下。この大学へは親のコネで入った。

彼とは共通の知人の紹介で知り合った。

彼と同じ学部で、かなり男に人気がある。ただ胸が大きいだけのなんの取り柄もない女。


ペラペラの中身のやつなんかに彼は渡さないわ。


それから毎日女の家に行き、“ドロボー猫”“サイテー女”などと書いた紙をドアに貼り付けた。


3日に1回は女の隠し撮り写真をバラバラに切り刻んで郵便受けに入れた。


深夜0時から2時にかけて10分おきに無言電話をかけ続ける。


約1ヶ月が過ぎたところで、女は家に引きこもるようになり、大学にも来なくなった。




ふふ、いい気味だわ………




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



今日は久々に彼の部屋に来た。あの女もいなくなったし、これで彼はあたしのもの。



あれ、開かない…

彼ったら、鍵を付け替えたのね。どうして教えてくれなかったのかしら。



今日のところは出直そうと後ろを向くとそこには………





「お前か、お前がユミを脅迫したのか!?」


物凄い形相であたしを睨んでいる彼が立っていた。



どうして、どうしてあたしをそんな目で見るの?あたしは貴方の為を思って…



「お前のせいでユミは壊れちまったんだよ!!俺の家に勝手に入って飯作ってたのもお前だろ!?いい加減にしてくれ!!気持ち悪いんだよ!!」



彼の口から出てくるのは全てあたしを罵倒する言葉。


どうして、あたしは貴方にそんな言葉を言ってほしくてやったわけじゃない…


ただ貴方にあたしだけを愛してほしかっただけなの。どうして分かってくれないの…



どうしてどうしてどうして…




「もう二度と俺の前に現れるな!!今すぐ消えろ!!」




あぁ、貴方はあたしの思いを受け止めてはくれないのね。でも貴方に嫌われたらあたしは生きていけないわ…お願い、許して…



「ごめんなさい、あたしは貴方が好きなだけなの…もう勝手なことはしないから許して…」



「好きとか気持ち悪いこと言ってんじゃねーよ!!俺が愛してるのはユミだけだ!!」



……どうして、どうして分かってくれないの?

どうして他の女の名前なんか出すのよ…


ねぇ、どうして?あたしはこんなに貴方を愛しているのに…



もう、これしか方法はないわね…こうすれば貴方とあたしは永遠に一緒にいられる・・・



あたしはカバンに入れていた果物用ナイフをそっと取り出した。



本当は今日このナイフでリンゴを剥いてあげる予定だったのに…



………………





「うぐっ…な、ごぷっ…」


彼の胸と口からは鮮やかな赤い液体が流れ出ている。




「大好きよ…これでやっと一つになれる……」




あたしは笑みを浮かべ、勢いよく自分の喉元にナイフを突き立てた………………











翌日、あるアパートの玄関前で、息絶えた若い男女が寄り添うようにして倒れていたのを、近所の住民が発見した。



何故かその女は幸せそうな表情を浮かべていたという…………




end


まだ未定ですが、スピンオフ的なものを書くかもしれません。

読んで頂いて次回作へのご要望やアドバイスなどありましたら

お気軽にコメント頂けると嬉しいです。

よろしくお願い致します。

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