平和の先に
貴方はその瞳に何を映す?
1章 平和の先に
太陽が最も輝く時間帯(つまりは昼頃)、一つの部屋に日差しが差し込んだ。
シャッ!
カーテンが開かれたが、布団を深くかぶり直す男がいた。
「んー?やっぱり起きないよねー。知ってたからいいけどね、悔しくないもん。(泣)」
部屋に小さく聞こえる泣きかけている声。
もちろん、男の声ではない。では誰か?
モゾモゾ
「んんーー!あぁ、よく寝れたぁー。学校なんて行きたかねぇーなぁ。ん?そんなとこで何うずくまってんだ?香織。」
「うずくまってなんかないもん!ただ、仲良く一緒に学校行きたかったの!なのに、30分前からずっと声かけてたんだよ⁉︎
どうしてなのぅ、リュウくん」
「待てまて、なんで泣いてんだよ⁉︎えっ俺⁉︎俺のせいなの⁉︎てか、どうやって俺ん家入ってきてんの⁉︎何が起こってんのマジ。」
昼の町に響き渡る二つの声。声の主は、男と女だ。まあ、男や女と言っても二人とも16歳の高校生なのだが……
男の名は綺咲 龍夜(きさき りゅうや)、クラスメイトはリュウとかクイーン(綺咲→きさき→妃→クイーン)などと呼んでいる。
龍夜には特技(?)があり、それは目が途轍もなく良いことだ。100m離れたところに書いてある、一文字1センチほどの字が軽く見えるくらいだ。その他は頭が少しキレる以外平々凡々な高校生なのだ。
女は結城 香織(ゆうき かおり)、クラスメイトはゆうちゃんやかおりんと呼んでいる が、香織と呼ぶのは龍夜だけだ。尚、龍夜と香織は幼馴染みなので仲が良い。それもクラスメイトが龍夜に嫉妬するほどに、理由は単純である。香織は誰にでも優しく接し、その性格の良さから頼られることも少なくない し、何より美人だ。成績は学年の1、2を争うほど、簡単に言ってしまえば完璧超人だ。 が、たまにドジを踏むこともあるので、そのギャップに悶える男子や憧れる女子が日に日に増えている(現在進行形)、その点も大きく彼女の印象に関わっている。そんな、彼女がいたって平凡な龍夜と仲良くしているところ見れば、誰だって嫉妬や羨望の眼差しを向けるだろう。ちなみに、龍夜はそれらの視線に気づかないフリをしている(香織は真面目に気づいていない)。
龍夜と香織が通う高校は午後から授業があるが、土曜日も授業があるので他の高校とは少し違っている。準備をし終えた龍夜は香織とリビングへ行くと料理が出されていた。
「あれ、もしかして香織また作ってくれたのか?悪いな。」
龍夜は産まれる前に父を亡くして母子家庭で母に育てられていたが、その母も一ヶ月前に病気で亡くなってしまっていた。それから毎日というもの、香織が龍夜を心配して合鍵(龍夜の母が香織に渡した)を使い料理を作ってくれたり、一緒に話し相手になったりしてくれている。2日に1回は泊まっている。言い忘れていたが、香織が作る料理はプロ並み。
「そんな!お礼なんていいよ、私が…勝手にやってる…だけだし……」
香織が頬を赤くしているのを見て龍夜は心配して、
「香織。顔赤くなってんぞ、毎日作ってくれるのはありがたいがあまり無理はするなよ?
香織は高校生とはいえまだ女の子なんだからな?」
ボソボソ
「お、女の子…これが本心なんだから意地悪いなぁ、もう…この鈍感リュウくん」
と、何やら小声で言っていたが龍夜は聞こえなかった。
「ん?なんか言ったか?」
「な、なんでもないよ!だいじょぶだいじょぶ分かってるから!」
そして、とにかく鈍感な龍夜だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
30分後
龍夜と香織は登校している途中で人だかりを見つけた。
ワイワイガヤガヤ
「あれ?あんなとこに人だかりが出来てる。
なんだろ?行ってみよっ!リュウくん!」
「あ、待て!手を引っ張んな!というか、俺はまだ行くと決めてな……」
「決定事項で〜す!さあさあ、行っきましょ〜う!」
龍夜の発言を遮り押し通す香織。これはいつものことである。
「香織!そんなに急ぐと危ねぇって…
『あっ⁉︎』香織っ‼︎」
転びそうになった香織を抱きとめる龍夜。
二人は少し見つめ合って、
「だから危ねぇって言っただろ?本当に気をつけろよ?」
「う、うん。あり…が……とう。」
俯く香織。その顔は真っ赤な薔薇に負けないほど美しく、とても純粋な赤に染まっていた。
「さて、見に行ってみるか。ほれ」
手を差し伸べる龍夜。
「うん、うん!行こう!」
龍夜の手を取る香織。その顔は喜びに満ちていたが、心の中は穏やかではなかった。
(ビックリしたぁ。どうして平気な顔で抱きとめたりするかなぁ…もう!あのド天然め!いつか絶対私のことを好きにさせてやるんだから!)
ゾワッ
「⁉︎なんだ?急に寒気が…いや、気のせいだろ。」
近くまで行くと人だかりの中央に倒れている男の人がいた。
「人が倒れてるよ!行こう、リュウくん!」
「ああ、分かった!」
実は、龍夜は倒れている人に見覚えがあった。周囲の野次馬を押し退けて通る二人。
そこには、もう一人倒れている人に必死で声をかける女子生徒の姿があった。
「未葉里!どうした!」
「みーちゃん!どうしたの⁉︎」
「龍夜さんにかおりん!それが、大変なの!
ユーくんが!ユーくんがぁ!」
彼女の名は佐城 未葉里(さしょう みはり)
龍夜と香織の二人しかいない親友の一人だ。
倒れている男の人の名は桐原 雄二(きりはら ゆうじ)、龍夜と香織の二人目の親友だ。その親友の雄二が倒れていた。
「やはり雄二か!どうした!」
「うぅっ、おめぇは龍夜じゃねーか。久しぶりだな親友。」
「今は関係ねぇだろ!何があったんだ!」
「実は、………………」
「なんで黙ってんだよ、早く言え!」
「……………………………腹減った。」
「「「え?」」」
雄二以外の三人が間抜けな声を出した。
香織は無意識におにぎりを渡した。
数分後
「いやー、危うく天に召されるとこだった ぜ!ほんと助かったわ、三人ともサンキューな!んで、改めて久しぶりだな龍夜、結城ちゃん。」
ガスッ!
「いっ⁉︎何すんだ龍夜⁉︎」
「そのまま天に召されれば良かったのに。」
「ハハハハハ!悪い悪い。にしてもほんと久しぶりだな二人とも!」
「まーな。」
「もう、無愛想だよ?リュウくんったら。ユーくん久しぶり!それに、みーちゃんも!」
「うん、久しぶり!龍夜さんにかおりん! 何年ぶりだろ?半年ぶりくらい?」
「ん、久しぶりだな未葉里。鑑賞に浸ってるとこ悪いんだが、学校遅刻するぞ?」
「うん、分かったリュウくん。二人とも行こっか!」
その後はみんなで仲良く登校した。
四人は2-Aで同じクラスだ。いつものように席に着き、先生が入ってくる。
あれ?先生がいつもと違うな。
「おはよう、諸君。この半年怠けてはおらんよなぁ?ちなみに私は性転換手術を受け、男から女になってちょうど2ヶ月くらいだ。」
「「「「「「「えぇ⁉︎」」」」」」」
驚くクラスメイト達、もちろんその中に四人の姿もあった。そんなこんなで授業があ り、今は昼休みだ。龍夜は寝ようと思ったのだが、それを三人が許さない。
「おっ?眠そうだなぁ。筋トレとかして遊ぼうぜ〜。」
「筋トレで遊べるわけねぇだろ。俺は眠いんだ。」
「あっ、寝ちゃダメだよ〜。せっかく四人揃ったのに遊ばなきゃ損だよ〜。」
「「却下」」
龍夜と香織の声がそろう。
「私はリュウくんと二人でいたいの!今日はそういう気分なの!リュウくんがそういう気分にさせたの!」
「?俺がなんだって?」
肝心なところで聞き逃す、これも龍夜の鈍感スキルが発動中だからだ。まあ、随時発動中だが。
「分かったよ。ったく、ほんと結城ちゃんは龍夜のこと好きだよなぁ。羨ましい限りだ ぜ。」
「すっ⁉︎すすす、好きじゃない…わけ…ないもん。」
「どっちなの!いい加減素直になりなよ、かおりん〜。」
「どうした、香織?俺は別にどっちでも構わんぞ?」
「「この男はっ!」」
「リュウくんまで⁉︎」
教室で四人が仲良くじゃれあっていた。
その時、
キィィィィィィン‼︎
「っ!何だ!」
「何これ⁉︎」
「何の音⁉︎うっ。」
「おい、大丈夫か香織!」
四人は雄二、未葉里、香織、龍夜の順に声を上げた。そして、四人の真上に魔法陣が現れていた。次の瞬間、
キュゥン!
四人は次の声を上げることなく、消えた。
その後、この件は集団誘拐として世間で騒がれるのだが、それはまた別のお話。
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作者の感想とか色々
どうも、Mr.メイドです。こんな小説を読んでいただいた読者様にとても感謝しています。実を言うと、初めて小説を書きました。さらに言っちゃうと、 自分は中三です。小説を書かれている方は、だいたい大学とか行かれてる人ばかりだと思います。自分は何も知らない(ガチの方で)、いわば赤ちゃんみたいなものです。ですが、もしも自分が書いた小説を読んで少しでも面白いかな?と思っていただいた方がいたのならば、この小説家の赤ちゃんにアドバイスをいただけたらと思いま す。そのお言葉を参考に面白いくさせていけたらとも思っています!もちろん、いただけなかったとしてもしっかり完結させます。投稿スピードは遅くなると思います。申し訳ございません。なので、この小説家の赤ちゃんの小説を読んでくれた方に幸せのあらんことを。
ありがとうございました!