魅了の力が、解けたのだと知った聖女様は、怖くなり引きこもりになりました。
更新しました〜。次回更新はお盆とお盆準備の為の二週お休みで8月23日になります。ごめんなさい。
何?何なの⁉︎どうして!エディアルド殿下たちから、逃げて来た私はパニックになっていた。涙が溢れて、がちがち震えながら、何を間違えたのかを。
そして、さっきの事を思い出す。
そう、私は王城でいつも通りエディアルド殿下の側に居て甘えていた。抱きついておねだりしたの。
「エディアルド、私、新しいドレスが欲しいわ。ダメ?」
最高の物が欲しい。誰もが羨ましくなる様なものが。
「聖女ハルカの望むドレスを贈るよ。好きな物を選ぶといい」
私の魅了に掛かったエディアルド殿下が、私を見て微笑み、愛しいのだと、優しく抱きしめられる。私を1番に大事にしてくれる。元の世界のあの子に負けない位に大事にしてくれている。
そうよ、幸せになるの。私は沢山の人たちに愛される存在なの。
「まあ!素敵!うふふ、嬉しいわ。一緒に付ける宝石も贈ってくれる?」
ふふ、素敵な王子様の愛は私の物。ここでは私の願いが叶わないことはないの。
「聖女ハルカには敵わないな、似合いそうな物を贈らせてもらうよ」
「聖女ハルカ、僕もドレスを贈るよ。絶対君に似合うと思う!」
「私が贈る物の方が似合うはずだ!君にこそ下がりたまえ!」
「私が贈る物が一番似合う!そうだろう?」
「私が贈るジュエリーの方が聖女ハルカには似合うはずだ!聖女ハルカ、私の選んだ物を付けてくれ」
「うふふ、みんな、ケンカしないで。私、全員がくれた物を大事にするから」
「聖女ハルカが言うならケンカはしない。それよりも、早くこれを付けてくれ」
「わあ〜っ!綺麗ー。いいの?こんな素敵な物をもらって」
大神官のくれた物は、聖堂に納められている宝石のひとつで、滅多に現界に姿を披露しない教会の宝珠のひとつに当たる物だと教えてくれた。
「君が付けてこそ価値がある。あるべき場所にあってこそ、美しく輝くのさ」
前にこっそり見せてくれた時に、欲しいわ、と言う呟きを、彼は覚えていて私に捧げてくれる。あはは、楽しいわ。誰もが私の為に動く。こんな気持ちのいいことはないの。
宝珠を髪に飾りみんなに見せる。
「似合うよ。君の輝かせる為にある物だな」
「本当に似合ってる。殿下より私が先に言う積もりだったのに」
「幼馴染とは言え、一応不敬だぞ、カーチス。聖女ハルカ、綺麗だ。君をより美しく見せる為の物だな」
「私が持って来た物だ。似合うに決まっている」
頷き、優しく言う殿下。横から我先に褒めてくれる人たちに笑みがこぼれる。
王子様も、宰相子息も、近衛騎士も、宮廷魔道士も、大神官も、身分の高いイケメンの男たちは全員私に跪く、私は誰からも愛される聖女だわ。
楽しくお喋りをしてお茶している時だった。部屋の中に眩しい光が溢れて目を瞑った。
パリーン!!と音が聞こえた。
次の瞬間、みんなの顏が蒼白になっていった。
私がどうしたのか聞こうとした時に、乱暴に腕を振り払われた。
「痛い!どうしたの?」
殿下に、痛くなった腕をさすりながら聞いたわ。
「私は今まで何を?……あっ!」
殿下が頭を抑え苦しそうにしていた。私を見る目が冷たく変わる。
「くぅー!いてーっ!……俺は」
近衛騎士のジェルが痛さに蹲っている。
「痛いですね。……私は何を」
大神官の顏が愕然としていた。
「痛い!ふう、……はっ!馬鹿な!」
周りを見て、私を見た宮廷魔道士のノバが、呆然として立ち尽くす。
「大丈夫?今の光が眩しかったわね」
光の話を彼らに話しかけた。私の方に視線を向けた彼らの目には、冷たい光が宿っていた。
その目を見て怖くなった私は、震えて来た手を握りしめ逃げてしまいたくなったわ。
「……聖女様?いったい何を私たちにしたんだ!」
怒鳴られた……怖い!助けて欲しくて、他の人に手を伸ばそうとして、できなかった。
冷たい目が全員から向けられた。
「あっ!あ、あ、いやあああーっ!」
私を振って、あの子を選んだ彼みたいな視線が集中して、怖くてその場から逃げてた。
城の与えられた部屋のベットの中、シーツに包まって暗くなるまで動けなかった。
ルビィディア「聖女様、全員じゃなく殿下1人を攻略して欲しかった。それなら上手く誤魔化してあげたのに」
フラン「聖女様には、無理でしょう。異世界の一般の方が王妃と成るには、強い意志と努力と根性と無ければ」
ルビィディア「⁉︎……フランの王妃様の基準が謎です」
フラン「後宮の闇は深いのですふふふ」
ルビィディア「無理!いやあああーっ!逃げたい!殿下の婚約者はいつか辞めてやるわ〜!」
 




