お父様そっくりなお兄様が帰って来ました。
遅くなりましたが更新しました。次回更新は7月26日です。
ニワトリ聖獣様に、殿下の話が伝わらないように、努力と言うなの誤魔化しやってます。流石、鳥!噂も頭の中から飛んで行ったよ〜。ニワトリ聖獣様の頭の中は記憶の幅が狭い。別の話題と美味しい食べ物を進めると、お仕置きの話を忘れています。穏便に婚約破棄したい私としては、ハゲも丸焼けも避けたいよ〜。
そんな毎日を過ごしていた私の元に、ひとつの報せがもたらされました。お兄様が、久しぶりに家に帰って来ると連絡があったそうです。お母様が嬉しそうに話してくれました。1番上のお兄様だそうです。
知らない人に会うのは緊張します。前と違う私を、不審に思われない様にしないとダメだよね。
心の中だけ偶にお嬢様言葉をやめ、素に戻って考える。普段はお嬢様言葉頑張ってますよ。
失敗も多いけど。ははは、マナーも板に付いて……ませんね。努力します?
お兄様の帰って来る時刻に、玄関で待っていた私達の前に馬車が止まります。御者が扉を開けると、降りて来た人を見て、びっくりしました。
えっ?ええーっ!お父様が若返った!口をぱくぱくさせていたら、もの凄い笑顔で私の名前を呼び両手を広げて、さあ、おいで!と言う感じです。
「ルビィディア!マイスイートエンジェル!」
お兄様を見て固まっている私を、ルビィディアー!そう言って抱きしめたのは長兄です。
そう、お兄様が帰って来ました。
前世の記憶を思い出してから、会うのは初めてです。
そう、は、じ、め、て、な、ん、で、す!
普通の兄妹は、マイスイートエンジェルとは言わないですよね!ね!
シスコン?重症?気持ちが重い。お兄様恋人いますか?妹ラブ過ぎると恋人に逃げられますよ。
でも、お父様に似てイケメンです。最強お父様に、性格も一緒だとお母様が話してました。
「お、お兄様?お帰りなさい」
顔がお父様そっくりですから、兄妹なのは間違いないですが……頭のてっぺんとか、髪の毛に口付けとか恥ずかしいです!イケメンの眩しさに、なれない私はドキドキします。
「ルビィディア、身体はもう大丈夫なのか?」
「はい。お兄様も長のお仕事お疲れ様でした」
「君が、馬車ごと池に落ちたと知らされた時は、心臓が止まりそうになった。もう、無茶をしてはダメだよ?」
私の手を胸に抱き込み熱く語るお兄様に、違う〜それは妹にする態度じゃない!若くなったお父様に言われているみたい。うー、ドキドキする。
「し、心配してくださって、ありがとうお兄様」
「お土産を買って来たんだ。ルビィディアに似合いそうな宝石を見つけたよ」
服の内側のポケットから、宝石箱を出し見せるお兄様。私が見ても、すご〜く高そうでゴージャスな感じのキラキラしたネックレスが私の目の前で揺れています。
「え?宝石を私に?もらえませんお兄様。宝石は好きな方に贈ったほうが…」
妹に光り物をプレゼント?シスコン拗らせてますか?イケメンなお兄様は婚約者くらいいますよね。
貢ぐなら婚約者の方にしてください!私小姑にはなりませんよ。
「これは、ルビィディアの物だから他の人にはあげないよ。私の送る物はルビィディアは受け取ってもらえないと?哀しいよ私は、兄からの贈り物を妹に受け取ってもらえないとは」
哀しい顔して、膝が崩れ座り込んで落ち込むお兄様。え〜っ!私が悪いの?周りの侍女さんとか家令とかがジーっと見て、受け取っての身振り手振りで応援?してる。
そこに、ニワトリ聖獣様がお兄様にキックをかました。
さっと避けるお兄様。わああーっ!すごい!気がついてたんだ!
「避けるなコケー!」
「不審者コケー!」
いきなり来て、キックを背中にしようとしたが、失敗してお怒りの聖獣様です。
「聖獣様!違います!私のお兄様です」
聖獣様に説明すると、ニワトリ聖獣様が驚いていた。
「「兄妹コケーか?」」
「はい、兄妹です」
私が間違いないと頷くと、お兄様がニワトリ聖獣様の前に来て膝をつき自己紹介を始めた。
「偉大なる聖獣様、お初にお目にかかります。ルビィディアの兄、フランシス・ガンバードです。妹を加護してくださり、ありがとうございます」
「兄ーは、礼儀を知ってるコケー」
「兄〜は、良い子だコケー」
爽やかな笑顔を浮かべ、頭を下げ礼を言うお兄様だった。ニワトリ聖獣様も崇められて気分が良くなった様で、胸を張っている。
初めて会ったイケメンのお兄様とは、仲良くしてもらえそうだとルビィディアは思ったのだった。




