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番外編、聖獣様の焼け野原事件に巻き込まれた王子中編

次回は30日更新です。

父上に許可をもらうと、数人の護衛騎士と共に調査に向かった私は、国境に付いた時に驚いた。隣の国の西側が広い範囲で焼け野原になっている。なにがあったんだ!


「殿下、酷いですね。一面焼け野原ですよ。なにがあったんでしょうか?」


「調べて見ないと分からないが、いい話じゃない事だけは確かだな」


「しかし、どうやったんですかね、王都の城から火柱が見えたくらいですから、盛大に燃えたんでしょうが、不思議ですよ、誰かが意図してやらなければ、国境に綺麗に線を引いたようには焼けませんから」


国境付近で大勢の声が聞こえる。多分、隣の国のものだろう。私は共の者たちと一緒に声の聞こえる方に騎獣(きじゅう)を走らせた。


「見てみろ、人が来ている。聞いた方が早そうだ」


「そうですね、殿下。聞けば訳を知ってるのかもしれないですね」


普通なら無断で入る事もあるだろうが、今は人目があるので隣国に許可をもらって入るしかない。


隣国の人たちの、近くまで行って声をかけることにした。より近づくとその酷さが目に映る。どんな魔法を使えばこれだけの広さを、焼け野原にできるのやら。



「隣国の騎士殿とお見受けする。私はガーデン国第一王子、エルドラド・ガーデンだ。国境側迄の、焼け野原の訳を知っているなら聞きたい」


原因が分からなければ、我が国に被害が及ばないとは言えない。紋章のペンダントを手で掲げ、騎士達に説明を求めた。一国の王子を無視できない騎士達の中に明らかに違う装いをした、貴族令嬢らしき人物が私の前に出て来た。


……出て来たのだが、不思議な光景だ。足下に…鳥なのか?鳥なら飛べる筈。こちらに向かって歩いて来る令嬢の側を、ちょこちょこと纏わり付いている。



「話を聞きたい。そちらに行ってもいいだろうか?」


私は、近くまで来た令嬢に声をかけた。


「はい、エルドラド殿下。お初にお目にかかります。フレンドリー国カール侯爵が娘、ナシアナ・カールと申します」


侯爵令嬢が、何故この焼け野原に?


「この焼け野原は俺が作ったぞー!綺麗に焼けだぜコケー!契約者を侮辱した奴は丸焼けだー!コケー」


鳥が喋った!そして、この焼け野原の犯人!信じがたい真実。この小さな鳥が、どうやって燃やしたか、やった方法は?


「結婚詐欺人間の領地なんて、丸焼けでいいのよ、コケー」


結婚詐欺!この領地の持ち主は知っているが、辺境伯自身は妻がいた筈だ。息子が目の前の侯爵令嬢を騙した人間なのか、それで焼かれたと見て間違いないか。


鳥に見えるが、契約者と言った点からもしかしたら聖獣か?


それにカール侯爵と言えば、娘が王子に婚約破棄されたと噂が聞こえたが、この令嬢のことだろうか?聖獣なら対応を間違える事は得策ではない。令嬢の嫌悪を持たれる事は避けよう。


「その神々しいお姿は聖獣ですか?」


下手(したて)に出るのは嫌だが、機嫌を損ない我が国を丸焼けにはされたくない。


「お!俺様の偉さが分かるのか!話が分かる王子だぞコケー、我が契約者の婿になれコケー」


いきなり婿認定!それは……まあ、いいか。婚約者もいない私に、聖獣様の契約者がなってくれるなら、両親の力になれる。


「イケメンよ〜コケー、前の2人より格段上だわーコケー」


聖獣様の言葉に驚く侯爵令嬢とお付きの騎士たちに、苦笑いで答えるしかないか。


「す、すみませんエルドラド殿下!せ、聖獣様の言葉は気にしないでください!」


「いいえ、美しい令嬢を前にして気にせずのいるのはできません。私で良ければ喜んでお相手になりますよ」


性格は悪くなさそうだ。噂が流れて来た令嬢とは思えない。多分、婚約破棄も彼女の所為ではないのだろう。膝をつき令嬢の手にキスを落としながらそんな事を思った。


「え?……あ!」


真っ赤になりながら狼狽える令嬢を見て、噂とは当てにならないと感じていた。


「気に入ったコケー!契約者の嫁入り先も、おまけで守護してやるぞコケー」


「証を送るわコケー、約束を破ると丸焼けよーコケー」


聖獣様が言うと、手の甲が光って、鳥の羽根の形をした金色の模様が浮かんだ。

これが証か。


「わああああーっ!殿下!大丈夫ですか!」


お付きに騎士が慌ててそばに来て、手の甲を見た。痛くも何ともないが金色の模様だな。


「エルドラド殿下、本当大丈夫ですか?」


令嬢が心配そうに聞いて来る。悲しそうな顔しないでください。この様子を体験すると、今までの事も令嬢の所為ではなく、聖獣様の暴走から来た出来事がほとんどだろう。制御が難しそうだが、やるしかないか。


「大丈夫ですよ。それより、貴方の国と侯爵殿に申し込みをしなければいけませんね」


「‼︎……」


言葉が出ないのか真っ赤になりながら、あうあう言ってる姿は可愛い。本当に悪役令嬢と呼ばれた娘なのか?詳しく調べてみるか。








ルビィディア「昔みたいに、私の嫁入り先もニワトリ聖獣様に勝手に決められるのかしら?」


フラン「悩まなくてよろしいかと。ただ、ニワトリ聖獣様の好みは分かりませんが」



ルビィディア「わああーっ!不安になる事言わないで。しくしく」


フラン「大神官様の話ではイケメンだと言ってましたね」


聖獣様「前の契約者はイケメンの旦那様だったコケー」


聖獣様「俺様の希望を聞いてくれた話の分かる男だったぞーコケー」

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