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聖獣の恐ろしさを知ってる大神官様は傍観者になりたい。

時、時間が〜、隙間投稿しました〜!

その日教会の大聖堂に飾ってある聖獣のひとつが光輝きました。それは、昔から聖獣契約が成されると教会の聖獣像から聖なる光が国に降り注ぎ、契約を果たした国を豊かにするものです。


バアアアアーン!!


「わああああああーっ!大神官さまー!大変です!聖獣様の像が輝いています」


大聖堂を掃除していた下っ端神官が大声を出しながら、慌てていたのかドアを蹴破る勢いで入ってきます。あまり勢いが強く開いたドアの取っ手が壊れかけています。


「ふう、慌てた過ぎです。ドアも教会の大切な財産のひとつですよ。大事にしなさい」


冷静に気持ちを保ち、走り込んできた神官に言いました。はっとした下っ端神官は息を整え、もう一度大神官様に言いました。


「大神官様、掃除をしていて聖獣像を磨いていたら、炎の翼と呼ばれる像が光りました」


私は大神官です。驚いた顔をして、心配をかける訳にはいけません。


「良く知らせてくれました。明日王家に報告しなければ。今日はもう疲れたでしょう。早く休みなさい」


そう言って神官を部屋から追い出しました。それから、隠匿聖魔法と防音を使い思いっきり大声で文句を言います。



「くそっ!神は、俺に恨みでもあるのか!ことごとくトラブルを持って来やがって!」


そう、人前じゃあ穏やかで静かな大神官などしているが、本当はガサツで口も悪い男だ。何の因果か、厄介ごとが寄って来やがる。


「一応誰が聖獣と契約したか調べてみるか?」


大神官の部屋は特別だ。昔から、大神官を譲る時の口頭で伝えられる。秘密が漏れない様に神に誓約をしている、破れば死だ。


大神官の部屋の天井には数々の聖獣の壁画がある。特殊な物で、年月が立っても色あせず美しいままだ。光ったと聞いた炎の翼と呼ばれる鳥の壁画に、昔から伝えられた呪文を唱える。


「ジュウシイーダレシオ!示せ契約の光!」


呪文を唱えると壁画に文字が浮かび上がった。それを見た大神官は項垂れた。


「くそおおおおー!やばいじゃないか!あの極悪非道なガンバードの娘とは!俺はとことん付いてない!」


俺とガンバード伯爵との付き合いは長い。元々俺は神官一族では位が低く、本来なら大神官になれる筈じゃなかった。


俺の母親は妾だった。父親とは結婚して正妻になる筈だったが、父親に惚れたお金持ちの貴族の令嬢に一目惚れされ、母親は正妻の座を奪われた。


妾になりたくなかったのだが、父親の懇願に負けたために妾になったそうだ。扱いはひどかった、父親の見ていない所で俺も母親も虐められた。嫉妬深い正妻の側に居て病気になった母親は、遠くの方のに療養に出かけて帰って来なくなった。


小さかった俺を正妻から守る意味もあってか、神官見習いとして10歳から神殿預かりになった。俺の兄(正妻の子)はエリートコースに乗って、下済みなしの神官になっている。


「……炎の翼か、文献にあるのは性格が凶暴で、認めない主人は契約破棄と額に消えない足跡を付けられる。と書いてあるな」


契約が破棄されてないので、成功か?ガンバードの娘は皇太子の婚約者だった。これも頭の痛い話だ。


大中央神殿を無視して聖女召喚をしやがったバカがいる。平和な時代は召喚は基本禁止だ。他の世界の人間の魂を違う輪廻に押し込め、無理やり全てから引き離して連れてくるからだ。


ただ、召喚されて来るのは、神のお告げに寄ると、死ぬ運命の人間が召喚されるそうだ。

しかし、その身体ごと世界の理から引き離した存在が、幸せになる確率が低い、魂が世界を超える時に歪むからだそうだ。


召喚された聖女を調べて見ると見事に歪んでいる、元々の性格もあるのだろうが、この国の王妃になりたいと、聖女に与えられる魅了の力を使って皇太子を狙っている。

神官が、聖女をいい様に誘導している。


王家を、教会の操り人形にしたい愚かな神官一族の考え方は反吐がでる。

ある程度は力もいるが、教会に力があり過ぎるのもよくない。歴史が物語っているのだが、権力に縋った人間は周りが見えないらしいな。


「俺も、本当は大神官になれる身分じゃないが伯爵に捕まったのが、運のつきだったな」




その日は聖堂の掃除を言いつけられてしていた。本当は他の者の番だったが、妾の子で底辺の地位にいた俺に拒否する事はできなかった。


「ああ、いたいた。君で良いよ、神官なんだろう?」


貴族の男に無理やり引っ張られ、俺は聖堂中央の誓いの間に連れて来られた。


「リリス、安心してくれ。神官が見つかった。これで君と結婚できる。さあ、誓いの言葉を!」


綺麗な令嬢が誓いの間で、美しい純白のドレスと上等なレースのベールをしたまま、貴族の男に抱きしめられていた。


「ふふ、良かったわ。これであなたのお嫁さんね」


「愛してるよ、リリス。誓ってしまえば、邪魔される事はない。さあ、神官様続きを」


「へ?僕ですか?見習い神官ですよ。……せ、聖なる者たちに祝福の光を、ここに誓約の言葉を捧げなさい」


怖い!この人怖いよ!睨まれた。見習いの神官の俺が、誓いの間を使った事が知れたら罰を受けるだろうな。


「君に愛を永遠に誓う。頭からつま先まで全てリリスの物だ」


誓いの言葉を変に変えやがったよこの人!


「私の誓いますわ。永遠にあなたの物です」


この令嬢も変わってるよ。それを受け入れやがった。あああーっ!魔法が発動し婚姻の書が教会に刻まれた。これを破棄するには、100の試練を受ける。このふたりはしないだろうが。


話したくはないが、それから色々あった。この伯爵を敵に回した聖女も教会の奴らもどうなっても、俺は味方しないぞ!我が身が可愛い。


その上、聖獣の契約者を敵に回すのは死ぬほど嫌だ。それも、歴代最高の凶暴性を持ち炎の翼。騒動が起きるのは間違いないが、俺は傍観者になってやる。





大神官「バカが、バカが、いっぱいいる」


伯爵「ルビィディアとリリスを、傷づける奴には容赦しない」


大神官「こちらに被害を広げないでくれ」


伯爵「君は私の味方だろう。バカは粛正したまえ」

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