閑話、侍女のマリーさん
隙間投稿しました〜。
私の名前はマリー ・オブジェルと申します。麗しき伯爵家で、侍女をさせて頂いています。表情筋の動かない侍女と言われております。
実は私、伯爵夫妻を見る事に幸せを感じる、美しいもの好きな侍女です。
伯爵家の宝珠、奥様とお嬢様。旦那様と、ご子息様が、大切にしていらっしゃる2人です。
とある出来事で、お嬢様は記憶を失くしておしまいになられました。おとなしい方でしたが私がお慕いしている、奥様の大切なお嬢様です。
殆どの事を忘れている為に、マナーなどの一般教養から、伯爵家の娘としての心得など多岐にわたる物を、お教え致しました。
しかし、お嬢様は変わられました。ええ、別人の様です。我儘など昔は一度も聞いたことはありませんでしたが、今のお嬢様は自分のなさりたい事をよくお願いされます。
その1番の出来ごとが飴です。お嬢様が料理長に渡したレシピです!
砂糖は高級品になります。チャライル国の特産品で高値で販売されている飴の簡単なレシピを知ってらした事です。
旦那様の話によると、お嬢様が話した秘密を他には漏らさないでくれとチャライル国王に頼まれた。と聞いています。
その見返りに、砂糖の価格を低く国と取り引きが約束され、我が伯爵家にはレシピが流出しない限り、ただで馬車一台分の砂糖が1年に1回もらえると旦那様が話していました。
「本当ですの?ルビィディアが、 チャライル国の秘密のレシピを知っていたのは」
「ああ、本当だ。交渉を殿下と共にしていたのだが、レシピの内容を話していたら、チャライル国王に頭を下げられた」
旦那様が、青ざめていく王や、宰相、大臣の様子は見ものだった、と話されてます。
息子の教育に失敗すると、国が危うくなる心配が出て来るのだと改めて思いました。
私の国にもダメ第二王子がいますが、腹黒……第一王子がお嬢様を大事にしている限りは、旦那様の支援が 皇太子である第一王子を助けるでしょう。
「まあ!王がですか?でも、分かりますわ。砂糖からできた飴の収入が無くなれば、国家予算が激減してしまいますものね」
チャライル国の飴は有名です。私の侍女のお給料でも偶にしか買えません。
「私たちの娘は記憶を失くしたが、前より明るく可愛くなった。あの、出来の悪い王子との婚約も無くなって安心したよ」
旦那様もあの王子の評価は最低でしたか。最低な婚約破棄をされてお怒りですね。
「ふふふ、そうね。おとなしく優しいあの子も好きだったけど、今のあの子はもっと好きだわ」
「しかし、皇太子の妃はあの子には荷が重過ぎる。私の様に愛せる相手を見つけて幸せになって欲しいな」
優しく奥様に、キスを落とす旦那様。ああーっ!萌えますわ〜〜。私の表情筋は動かしませんが、美しいもの好きな私には堪らない光景です。
「ん!……愛してますわ」
旦那様と奥様のやり取りを聞きながら、熱々ぶりは結婚当初から変わりませんね。うっとりしながら美しいおふたりの姿を堪能してます。
そして、私にも春が来ましたわ!美味しい飴を作れる、私を虜にしたペロペロキャンディー料理長!お婿さんにして、一生美味しく愛でていきたいです。
夢が広がります。子供は最低でもふたり、男の子には料理長の様に育て、女の子は私の後を継がせる!旦那様と奥様に相談しましょう〜!
ルビィディア「料理長!逃げて逃げてえええええーっ!」
フラン 「無駄ですよ、お嬢様。旦那様と奥様を味方に付けたマリーに敗北はありません」
ルビィディア「……今日の夕食大丈夫かしら?」
フラン 「そこですか?お嬢様が心配なのは」




