皇太子はお茶会に強制出席されられました。
不定期更新です。ちょこちょこ更新したいと思います。
母上主催の大々的お茶会が開かれた。沢山の令嬢に囲まれ、朝から昼過ぎまで付き合わされくたくたなった。
婚約者である彼女は出席しなかった。防波堤のない私は、笑顔を顔に貼り付けたまま半日以上も拘束され気分は最低だ。この状況を作り出した本人は参加していないのだから腹が立つ。朝から振り返ると色んな事があった。
「今日開くお茶会には必ず出席してね。エディアルド」
笑顔で母上がお願いしてくるので逃げられない。父も賛成しているようだ。
「分かりました母上、出席させて頂きます」
嬉しそうな母上を見た父上も満足そうな顔をしている。
「そう言えば、婚約者である侯爵令嬢は出席しないそうだな。」
「ええ、自分がいれば遠慮されると言ってましたわ。それに、エディアルドには沢山の令嬢と仲良くして欲しい。と自画像付き招待状リストを渡して下さいと頼まれましたわ」
「ほう、それは変わっているな。あの伯爵の娘だから、自分の地位は不動だと思っているのか?エディアルド」
「彼女の考えは、私には分かりません。他の令嬢と仲良くとは。…自信があるのでしょう」
おそらく、私との婚約を破棄したいのだろう。沢山の令嬢を招待した事からも分かる。自画像付き招待状リストを見せて貰って驚いたが、私好みの令嬢が多く居るのだ。それも、胸のサイズのドンピシャの!私も男だ、好みな女性を見るくらいは許されると思うが、この令嬢達を薦めたのは彼女だと母上に聞かされた私は脱力した。何を考えている!と怒鳴りたくなってもおかしくない。
「ふふ、婚約者の許可があるのだから側妃でも探して見てみれば?伯爵から、リストを渡された時には驚いたけれど」
母上が、おかしそうに私をからかってくる。地味に傷付くので止めてもらいたい。彼女自身は、私に興味ないのだろう、完全に嫌われている。それより聞き捨てならないことを聞いた。伯爵自身がリストを渡したと!
「母上!伯爵がリストを?」
「ええ、貴方にどうぞ、と頼まれたわ」
「それは本当なのか?フローリア」
「そうですわ、私も驚きましたけど。笑顔で渡してくれました」
「それなら、新しい妃候補を探していた方が良いかもしれないな。伯爵は娘を王家に嫁がせる気はないのかもしれない」
父上!変な事言わないで下さい。それが伯爵の望む所でも、今はまだこの間の事件からまだ時がたっていませんよ。
「無理ですね。今は得策ではないですよ。そんな事をすれば、伯爵に悪感情を持たれかねません」
「うむ、そうだな。しばらく様子を見ながら決めよう」
その後お茶会に出席した。目にする令嬢達は、皆私の好みに叶うもの達ばかりだ。良く集めた物だと伯爵に言いたいくらいだ。表に出して好みを伝えた事など一度もないのに、私の事が知られていると思うと冷や汗が出そうだ。どこまで情報を集めているか、聞きたいくらいに詳細まで知られているようで怖い。流石、逆らうと地獄を見ると言われている事は伊達ではないらしい。こうして最悪のお茶会が終わった。生殺しの様な目にあった。




