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プロローグ
しあわせ、半分こ。
独りでしあわせを、独り占めするのは、
私は好きじゃない。
みんなは、自分がしあわせになればいいって言うけど、あの人は違う。
「金箔の王子にならないでね。」
あの人は言った。
みんなに、笑顔をわけてあなたが笑顔じゃなくなるのは嫌だよ。って。
どうしてだろう。
あの人は、私の傍から離れない。
だって、そうだもん。
私は、こんなにも我が儘で嘘つきで。
「しあわせだよ。」
呪文を唱えるみたいに、言った私はいつもの笑顔を作っていた。
嘘つき。
私は、嘘つき。
あなたが傍から離れないから、
私は、呪文を唱えるしかないんだよ。
「しあわせだよ。」
あなたの事が、こんなにも苦しい。