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妹と俺が入れ替わった  作者: どんどこどん
第一章◇入れ替わり
7/10

過去な傷



 俺は、叔母さんに頼んで服屋に行くのを辞退した。

 そして、心を落ち着かせるため部屋にこもった。

 行けるわけがなかった。

 なぜなら、俺は気づいてしまったからだ。

 『咲』の体に刻まれている傷に・・・。

 あの糞親父から受けたと思われる、傷は特に腕と背中と下半身にビッシリと入っていた。

 咲がなぜジャージで寝ていたのか。咲がなぜ夏にも関わらず露出の一切ない服を着ていたのか。

 なぜ長袖や長ズボンしかないのか。

 俺はようやく気づいた。

 この入れ替わった状況で、俺はそれにもっと早く気付くべきだった。

 意識して、意識が回ってなかった。


「咲ちゃん?一体どうしたの?」


「咲。何かあったのか?」


 さすがに二、三時間もこもっていたため、不振に思われたんだろう・・・。部屋の外から二人の声がする。

 俺は答える。


「今・・・べ、勉強中」


 俺は頭に出てきた言い訳で、言い訳する。

 あと少しだけ待ってくれ・・・。

 そしたら、落ち着くから。


「あと少しでそっちに行く」


「咲ちゃん。今日何かあったのなら、言ってね」


 叔母さんは、今日の変化を明らかにおかしいと思ったんだろう。

 だけど相変わらず、叔母さんは優しい。


「咲・・・」


 咲は咲で、さっき俺の気づいた時に一緒にいたため、なんとも言えない心境なんだろう。


「・・・」


 二人の足音が遠ざかっていく。

 そうだ。例え糞親父から逃げても、傷は残るんだ・・・。


 この時、俺は少し揺らいだ。

 勿論元には戻りたい。結局は咲だって戻りたいんだって思ってた。

 だけど、本当にそうなのか?

 咲は、この体に戻りたいのか?


 俺は、入れ替わってからの、咲の気持ちがわからなかった。



 ◇ ◇ ◇


「言いたくなったら。言ってね?」


 俺が部屋に入ると、叔母さんはそう言ってきた。

 いい人だ。本当に。


「予定潰して、ご免なさい」


「いやいや。また今度行けばいいよ。ね?」


「・・・うん」


 あと、言わないけどトイレに行くときに音たててフェイントしてご免なさい。

 まだ、慣れてないから・・・。


「じゃ、お風呂入ってきなよ」


「っ!?」


 お、お風呂?確かに時間は今、何だかんだで六時過ぎだ。

 時間的には悪くない。だけど。


「嫌な気分はお風呂で流せ!」


 と、謎のキャッチコピーを叔母さんは語る。

 流せ。じゃトイレだし・・・。


「で、でも・・・」


 入れ替わった、『咲』の体でお風呂なんて・・・。

 俺は、料理を作っている咲を横目で見る。


「入ってきなよ。あがる頃には出来るから」


「・・・」


 いいのか。お前は、それでいいのか。

 本当に、戻りたくないのか・・・?


「ほら、入ってきなって!」


「う、うん」


 あ"。頷いてしまった。



 ◇ ◇ ◇



 ・・・。


 ・・・。


 今、脱衣室なう。

 すぐとなりには、お風呂がある。


「は、入るか・・・」


 俺は、服を一応畳んでから、お風呂場に入る。

 お風呂は既に湧いていて、熱気が立ち込めている。

 ・・・。

 俺はいつも体を洗ってから入るため、とりあえず、髪を洗うことにする。

 体は、髪の・・・後だ。

 髪を水に含ませ、シャンプー、リンスで洗う。

 髪が、長い・・・。

 洗うのが面倒だ。いつも咲はこんなの洗ってたのか。

 とりあえず、いつもより頑張って洗い、泡を落とした。

 そして、最後の決戦の時が来た。

 いや、俺は中二病じゃない。ただの例えだ。

 訳すると、『体を洗う』になる。


「・・・」


 スポンジにボディソープを泡が立つまで含ませ、まずは肩から洗う。

 そうです、目を背けているのです。下から目を背けています。

 できる限りゆっくりと体を洗っていたが、腕は洗い終わってしまった。


「よ、よし」


 ギリギリ、視線を外しながら、足、背中を洗う。

 腕と同じように、傷を増やさないように優しく洗う。

 触っただけで少し傷が分かる。


「はあ・・・」


 俺はため息をしてから、お腹を洗う。

 その他、二ヶ所以外は全て洗いきった。

 ・・・よし。やってやる。


「・・・っ・・・・・・・・・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 トイレの時と同様に何回か、変な感じがしたが、俺は洗いきった。

 達成感の中で、泡を全て洗い流す。

 そして、風呂に入った。


「はぁっ・・・」


 お湯の流れる音の中で、さっきよりも大きい、ため息を俺はつく。

 そして、体育座りをするようにして、肩までお湯に浸かる。

 今更だけど、本当に、入れ替わったんだよな。

 俺は確認するように小さな手をお湯から出す。


「・・・戻る方法も分からないのに、後のことを考えるのはバカなのかな・・・」


 答える人は誰もいないが、俺は呟く。

 どうすれば、一番いいのか。

 何が、正解なのか。

 分からない・・・。分かれない・・・。

 現に咲はノリノリだし、俺自身もたった一日で『咲』の体に違和感を感じない時があった。

 俺は、天井を見るようになる体勢になる。

 顔の後ろ半分に、お湯がつかる。

 どうすれば、いいんだろうな・・・。


 やっぱり。答えは見つからなかった。


健介「また、いないぞ?」


咲「スカウトって誰を・・・?」


健介「・・・叔母さんか?だとしても叔母さんが二話分も拒否するとは思わないけど・・・」


咲「確かに、叔母さんは乗ると思う」


健介「だよな・・・。じゃあ誰だ?」


咲「これから出てくるキャラ?」


健介「じゃあ、正也とか部長とか会長とかか?」


咲「他の人が分からないと思う」


健介「あ、そっか・・・って!あ!」


咲「どうしたの?お兄ちゃん」


健介「誰かがここに来たら話し方も変えなきゃいけないのか!?」


咲「パラレルだから・・・大丈夫じゃない。変えなきゃダメ。」


健介「・・・いや、パラレルだから───」


咲「ダメ。やるよ?」


健介「・・・ご免なさい・・・」


咲「そう言えば、次から新章」


健介「学校だよな・・・って、あ!」


咲「定番の着せ替え人形もいつかやる」


健介「せ、制服・・・」


咲「ストッキング忘れないでね」


健介「・・・」

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