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妹と俺が入れ替わった  作者: どんどこどん
第一章◇入れ替わり
6/10

前振りな定番


「咲ちゃん、咲ちゃん」


 俺と向かいの椅子に座る、叔母さんが話しかけてくる。

 ちなみに、咲は今料理中だ。

 もちろん。昼ごはん。ていうか、何だかんだで朝から何も食べてない・・・。


「な、何・・・?」


 俺は叔母さんには敬語を使っていたが、咲はなぜかタメ口だった。

 ・・・男女の差か?

 それはそれとして、俺は咲の口調───タメ口───で返答する。

 違和感すごいある・・・。

 それは、体も声もだが。


「どうやって、告白したの?」


「え?」


 俺が、つまり『咲』が告白した、と思ってるのか?

 確かに、俺は兄妹として咲が好きだが、咲は男女として俺が好きだと言った。

 まさか。


「解消してよかったよ。聞いてた甲斐があった」


 やっぱり、咲は叔母さんに相談してたのか・・・。


「で、どうやったの?」


「そ、それは・・・」


「それは?」


 俺は目を泳がせ、考える。

 本当は、本当のことを言いたい。

 だけど、それはできない。

 ・・・。

 咲がいるから、それはできない。

 元に戻るすべが見つかってないのに、今の咲は刺激できない。

 もし、刺激してさっきみたいになったら・・・。


「っ!」


「?」


 俺は思わず、赤くなる。

 まずい、叔母さんに不思議がられる・・・。


「まぁ。それは野暮ってことで聞かないでおこっか」


「・・・ふぅ・・・」


 俺は安堵のため息をつく。

 叔母さんはやっぱり、察しがいい。


「ところで、さ。どこか行きたいとこない?」


「・・・?どこ、か?」


 叔母さんは頷く。

 どこか行きたいとこ?

 今日行くのか・・・?


「いつ?」


「whereで聞いたのにwhenで返してくるか・・・」


「あ、えっ───」


「まぁ、今日の午後だよ」


 今日の午後・・・。今日の午後・・・。

 入れ替わったこの状況で、できる限り外に出たくないのが本音なんだが・・・。

 うーん。強いて言うなら・・・。


「服屋」


「に、行きたいの?」


 頷き、答える。


「最近服が小さくなったから」


「・・・?咲ちゃん、身長変わったっけ?」


「っ───!」


 やばい!俺のことを答えてた!

 俺は最近買ってなかったし、サイズが小さくなってもしょうがない。

 だけど咲はお世辞にも前々身長が伸びてないため、服は小さくならない。


「あ、ごめんね?・・・もしかしてっ!」


「え?」


 叔母さんは俺に手招きする。

 ・・・?

 俺は、机に乗り出して叔母さんに耳を貸す。


「・・・もしかして・・・大きくなった?」


「?」


 俺は首をかしげる。

 大きくなった・・・?


「惚けないでね、胸だよ。胸」


「ぅ、うぇあっ!?」


「咲ちゃん!?」


 叔母さんの発言に、俺は驚き椅子から滑り落ちる。

 むむむむっ、胸って・・・。


「ど、どうしたのさ?大丈夫?」


 俺は叔母さんに頷く。

 確かに、今の咲は小さい。小さすぎる。

 だからと言って、胸は胸だろ・・・?

 俺に話していい話じゃない・・・。


「この前、Aだったから、今回はBいけるかな?」


 なんの話ですか。わかってます、わかってますけど。なんの話ですか。

 ていうか、妹の情報を握りたくない。

 俺は元に戻るんだ。


「なんの話ですか?」


 咲が昼食を運びながら、叔母さんに訪ねる。

 もう、できたのか・・・。


「今日、出掛けようって話」


 しっかりと、胸の話を止めて答える叔母さんを見るに、バレてないようだな。


「服屋にでも行こうかなぁ・・・と」


 服屋が採用されている・・・。


「服屋、ですか」


 すると、咲は足を止めて俺のことを見る。

 なんだ?一体。


「定番。いいですね。」


「定番?」


 叔母さんが訪ねたが、確かになんのことだろう・・・。

 あんまり、服屋とかには行ったことないが?


「な、なんでもないです」


「?」


「ま、いっか」


 叔母さんは相変わらずの適当・・・。

 そう言えば、珍しく咲が動揺してたな。

 なにかあるのか?



「じゃ、これ食べたら着替えて行きますか」


「はい」


「っ!?」


 俺は、叔母さんの言葉で思い出してしまった。

 着替え・・・。

 この体で、着替え?


「どうした?咲」


 『咲』を強調して言う咲。

 俺に、普通に着替えろと言うことだろう。

 だけど・・・それは・・・。


「な、何もない・・・」


「じゃ、食べよっか」


 咲の作った料理は、いつもの俺が作ったものより美味しかった気がした。



 ◇ ◇ ◇



「・・・」


 俺は、咲の部屋の鏡と対峙する。

 その鏡には、もちろんジャージを着た『咲』が写っている。

 顔を少しひきつらせ、顔を少し赤らめた『咲』。

 それが、今の俺・・・。


「よ、よし。着替えるか」


 俺はジャージのファスナーを降ろす。

 そして、ジャージを脱いでベッドの上に畳んで置く。

 それにより、鏡には上が下着姿の『咲』が写っていた。

 俺と鏡の中の『咲』が目をあわせた瞬間、俺と鏡の中の『咲』。両方がさらに赤くなる。


「こ、これは咲だ。咲だから、何もない・・・」


 俺は、『咲』の体にあの言葉から妙に意識するようになってしまった。


 『自覚させるためさ。肉体的優位。そして、その体が誰のものかを』

 『本当に、するから』


 他にも、咲から何度も放たれる催眠的な言葉に、俺は抗うため、咲の体と自分の心を過剰に意識してしまい、今まで何ともなかった咲の体に、俺は無意識に意識してしまっていた。


「・・・俺は、俺、なんだよな・・・」


 鏡に手を伸ばし、触れる。

 俺は鏡の中の咲と手を合わせる。


「俺は、健介なんだよな・・・」


 確かに、俺はこの体に意識してしまうようになった。

 だが、どこかでこの体にしっくりきているところもあった。

 俺が、咲のように抗おうとしなければ、こんな風になんの違和感も感じない。

 だけど。


「俺は、健介───」


「咲?」


「ひゃっ!わわわわっ!?」


 俺は、予期せぬ声に、思わず足を滑らせ、尻餅をついてしまった。

 音もなく開かれた扉に、『俺』───咲───が立っていた。


「だ、大丈夫か?」


「う、うん。大丈夫」


 俺は咲に差し出された手を取り、立ち上がる。


「・・・」


「?」


 俺は一点で止まった咲の視線を辿る。

 その先は、俺の胸だった。


「っ・・・!」


「あ、その・・・」


 俺は、声にならない声をあげ、咲は俺に背を向ける。

 気まずい空気が、辺りを支配した。

 不覚にもまた、恥ずかしいと思ってしまった俺は、咲に出ていってもらった。

 ◇ ◇ ◇


健介「・・・」


咲「?」


健介「作者がいない?」


咲「静か」


健介「これじゃ俺たちがどういう状況なのか分からないよな」


咲「!」


健介「ま、普通に座りながら話してるんだけど」


咲「何を、しても原作とは関係なく、作者がいないから他の人には知られない・・・」


健介「さ、咲?なんか怖───!」


咲「これ、前はお兄ちゃんのだったんだよ?」


健介「さ、咲?早くそれをしまってくれないか?」


咲「もうこんな大きくなっちゃったよ」


健介「咲・・・?冗談だよな?」


咲「冗談じゃないよ。はやく、しゃ───」


健介「咲っ!」


咲「・・・。なに?はやくして」


健介「いやそれを、ちらつかせないでくれ・・・。それより、なんだ?それ」


咲「だから、元お兄ちゃんのち───」


健介「違う!お前の後ろだ!」


咲「?紙」


健介「貸してくれ・・・・・・なになに?『もし、これを君たちが読んでいるのなら、きっと妹ちゃんがグロと別の意味のR18の世界に行こうとしていたんだろうね』」


咲「・・・」


健介「『ま、それはさておき。ある人のスカウトに行ってくるぜ(笑)』だと。ってよかった・・・冗談だったんだな?やっぱり」


咲「え、あう・・・う、うん。そ、それより、裏」


健介「ん?えっと・・・『この手紙は読み終わると同時に』?これで途切れてる」


咲「ちょっとライター」


健介「炙り出しか。あ、出てきた。えっと『妹ちゃんはR18を諦めるだろう』?だとしたらハズレだな。冗談だったんだから」


咲「・・・うん。そうだね」


健介「?」

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