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第四話

 白衣を着た一人の男が、長い長い廊下を歩いている。

 ある一室の大きなドアの前に立つと、男はドア付近の壁に左手をくっつけると、ピピと電子音が鳴り、ドアが開いた。指紋パスワードらしい。


 ドアが開くと、前方に巨大モニター、その向かいにソファーとテーブルがある。


「こんにちは、博士、いや、地球の神」

「ふふふ、博士で構わない。織田和也はどうだ」

「現在、街に向かっています」

「何?あいつも血迷ったか?」

「いや、親友を殺されたそうです」

「織田和也に特別な想いを持つ者は洗脳されないんだったな」


 地球の神はテーブルにあるグラスにワインを注ぎ、少し口に含み喉に流すと、ニヤリと笑いながらモニターを見た。


「救ってくれよ、世界を」




 




 高いビルが幾重にも重なっている。ビルの頂点を見上げると、直射日光が当たる程高い。


 数え切れない程の人が、どこに向かっているのかわからないがひたすら歩いている。

 誰も、俺に気付かない。


 

 ある音楽番組で有名ミュージシャンがこんな事を言っていた。街を歩いても誰も気づかないと。

 だが、それなりには変装しているなら当たり前だ。存在感が薄い奴はわからないけど。


  

 暖冬と言われている今年は、直射日光がチリチリと肌にあたる。さらにこの人口密度だ。


 助かった。

 偶然ダチが置き忘れたサングラスと、コンビニで買っておいた立体マスクがあってよかった。


 俺は街に出たものの、どこへ行こうか迷っていた。とりあえず帽子屋へと向かった。

 帽子さえあれば変人に見えるが、変装に関してはパーフェクトに近い。俺は剛の勧めである帽子屋を見つけ、中に入った。


「いらっしゃいませぇ」

 おしゃれな木造の店の中には、綺麗に並べてあるキャップと、店のBGMとして流れるELLEGARDENの曲が特徴だ。


 店の中には店員一人と俺だけ。いつもは何人かいると剛が言ってたんだけどおかしい。


 うん、これだな。

 俺は緑と白の帽子を手に取り、レジへと向かう。古着屋らしい匂いが鼻に来る。


「いらっしゃい」

 帽子についているタグをバーコードスキャナーで読み取る。


「3500円です」

 俺が財布から一万円札を出そうとしたら、店員が俯き加減になっていた。


「あの…どうしたんですか?」

「ふっ、変装しても無駄だぜ、織田和也」


 えっ?


 店員は店内にある椅子を持ち上げ、俺めがけ投げてきた。


「うぉ、あぶね!!」


 よけた拍子に外に出たら、店員が出てきて俺の足を蹴る。それにバランスを崩してコケる。


「織田がいたぞー」

 すると左右それぞれ50人ぐらいの老若男女が武器を持って俺目指し走っている。


 ヤバい、真面目に死ぬ!!

 俺はさっきの椅子に手を伸ばし、店員の背中に椅子をおもいっきり当てると、店員と俺の場所が入れ替わり、合わせて100人程の人が店員を殴っている。


 夢中になって殴っている人々を椅子で殴り倒す。

 そして、左手に鉄バット。右手に竹刀を持ち、どんどん人を殴る殴る。

 まるでデビル・メイ・クライやバイオハザードをプレイしてるみたいで凄いスッキリ感がする。いつ殺されたっておかしくない。ならこの際俺がスッキリするまで人を殺そう。


 だがそんな考えもすぐに吹き飛んだ。

 誰かが取ったのだろう、サングラスと立体マスクという変装グッズが無い状態で俺に気づかない馬鹿なんていない。


「オダヲコロス!!」

 何者かに操られたように、武器を持ち、俺に向かって走って来る。全員白目だ。

「これはやべぇ」

 俺はバイオハザードごっこは中断して必死に逃げた。勿論、武器は離さない。


 だが、逃げれば逃げる程、俺の行動範囲が広がり俺の命を狩る人物が増えていく。

 織田の命はここで尽きるのか…?






「あれ、なんで俺こんな所にいるんだ…?」

「てか、どこで手に入れたんだろ、このバット」

 人々が我に返り、川の土手からのそのそと都会に向かう。鬱蒼と生い茂った雑草をかき分けながらさらさらと流れる荒川を眺める。

 ふぃー…。ザ・田舎。


 サーッと荒川を見渡すと、キャンプ用のテントや、ブルーシートが乱雑と置いてある。

「なんだこりゃ?」

 俺は土手を降り、テントの出入り口をペラッとめくる。

「すいませーん」

 

 すると、髪をボサボサに生やし、ボロボロの服を来た人がいる。

 ヤバい!!殺される。



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