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第3話

目の前の人面の木、<ケルーシュ>の懐に飛び込んで斬り込む。

反撃である木の枝の攻撃を姿勢を低くして避けて、根元に突き刺す。


「ギギギギギギギギギギ」


ケルーシュが不気味な声を放ち、枝の葉っぱが鋭いナイフのように形を変えて此方に向かって来る。

それを後ろに跳躍してかわし、地面が足に着いた途端にまた接近、

俺は右手の片手剣を高速で投げて、ケルーシュに命中させる。この速度で投げられるといえばスキルくらいしかない。

ケルーシュの深くまで刺さった片手剣をわずかに遅れて抜き取り、下から上に斬り上げる。

そして上段から縦に一刀、下から剣を逆手に持ち替え右上斜めに斬り上げる。そして水平に片手剣を薙いで追撃、

このスキルのお蔭でケルーシュのHPはもう4分の1くらいだ。

最後に逆手で持ったままの剣をケルーシュの胸元に突き刺す。

――スキル、≪ペナルティブレイク≫、このスキルは片手剣専用スキルの上に訓練所で練習しないと習得できないスキルだ。驚異的な速度で片手剣を投げてから始まり、刺して終わる5連撃スキル。しかも全ての攻撃に<クリティカル判定>がつく反則的スキルだ。

これのお陰で俺の攻撃力は補われていると言っていい。


「剣の味はどうですか、って言っても聞こえませんか……」

「じゃあトドメで」


俺はケルーシュに向かって走り出し、片手剣の攻撃で残り少ないケルーシュのHPを全て消し飛ばした。

不気味な声を上げて倒れて砂となるケルーシュを見ながら俺はふと後ろの視線に気付く。


「で、貴方たち3人はなんで見てるんですか? 助けてくださいよ」


後ろの3人の方を向いて文句を言うと一人の女子が咄嗟に頭を下げてくる。


「ご、ごめんなさい。私はギルド、ルーンナイトのリーダをやっている咲道桜花さきどうおうかと言う者です。あの、見ているだけですいません」


桜花と名乗る女子はルーンナイトのリーダーで、んっ? リーダー? ルーンナイト? 

俺ってひょっとして今、すごい大変な人に謝らせちゃった?


「俺はギルド、サイズのリーダーで咲道漣さきどうれんだ」

「うふん、私はギルド、オカマンズのリーダー、ノリカよ」


スラッとした男と変なオカマ……そしてサイズ、オカマンズ、導き出される回答。


「すいっませんしたっっっ」

「なんで謝るんですか! 私達が手助けしないからいけなかったんですから」

「そうだそうだ~、何故助けなかったのだ桜花、全くお兄ちゃんは恥ずかしいぐぁ」


桜花は笑顔のまま隣の男に蹴りを入れる。男は腹を抑えたままうずくまってしまう。

正直、怖い


「それよりぃ、うふん、この子の剣捌きと足捌きの事を聞きたいわね。うふん」

「息継ぎにうふんって言ってる!」

「そうね……確かに変よね」

「ですよね息継ぎ、変ですよね」

「貴方、どこのギルドに入っているの?」

「そっち!?」


俺は心底驚いた、なんたってギルド3大勢力の2人と話しているのだから……

そして聞かれた質問に正直に答える。


「えっと。俺ソロなんですよね……」

「へ?」

「うふん?」


桜花とオカマは口をあんぐり開けて固まっている。

しまったぁ――! ソロなんて言うんじゃ無かったぁ~~!


「あ、あの~間違えました。ソロじゃ」

「ルーンナイトに入らない?」

「サイズに入らないか?」

「オカマンズ、来なさいよ」


……アレ? なにこの状況、もしかして俺、誘われてる? ギルドに? いやいや3大勢力だよ。ありえないでしょ、ないない


「あの~冗談とかあまり嬉しくないような……」

「冗談じゃないよ?」

「本気だ」

「オカマンズに来なさいよ。うふん」


マジで? どうしよう。俺これから一人で生きていくとか言ってなかったっけ?

でも待てよ? 俺が入れるのって元々一つじゃないか?


「でも俺、女じゃないのでルーンナイトには入れませんし、オカマでもないのでオカマンズも無理ですよね? そうなると結果的にサイズしか入れなくないですか?」

「……あ」

「……うふん、まさかオカマが障害になるなんて……」

「だろ? さぁ早く俺の所に来い。サイズに入ろうではないか」

「お兄ちゃん、ちょっと死んでてね?」

「ちょ、桜花? 待ごぉあ」


……うわぁ、マジでったよ。てかサイズのリーダーさん失神してるじゃん。

お兄ちゃん? 兄妹だったのか。それはそれで凄いと思うが、


「すいません、名前をお聞きしてもいいですか?」

「あ、ああ。俺は藤堂玲って言います。皆さん、初めまして」

「玲くん、そっか、玲くん早速だけど街に戻らない? 話はそれからでいいでしょ?」

「あ、まぁはい。いいですけど漣さんはどうするんですか?」

「ノリカさんが運ぶわよ」

「うふん、私の漣ちゃん。私が運ぶわ」


うわぁ、片手で担ぎ上げたよ。オカマの力、恐るべし……


「じゃあ出ましょう」

「はい」

「漣ちゃん、今目覚めのキスをぉ」

「おきてる! 別にしなくてもいいぞ! ノリカ」

「もう、漣ちゃんはぁ初心なんだからぁ」


俺、漣さんじゃなくて良かったと思う。うん俺生きる勇気が沸いて来たよ。

そんなこんなで町に辿り着いて、なんか途中でメンバーと合流して、大軍隊で町に帰還して、今は漣さん、桜花、ノリカとで話している訳だが……


「最初は」

「グー」

「じゃんけんポン!」

「……どうしてこうなった」


現在、3人は俺を何処のチームに入れるかのじゃんけん大会中である。

現在、23戦23引き分け、運がいいのか悪いのか分からない数字だ。


「あいこで」

「しょ!」

「またあいこ!」


そろそろ止めて欲しい。俺はまだギルドに入るといった訳じゃないんだが……


「勘弁してくれ……」

「またあいこ!」

「あ~お兄ちゃん、今後出しした! 反則負け~」

「違う! これはタイミングが」

「うふん、そろそろ負けを認めなさいよ。私が玲ちゃんを立派なオカマにするんだらぁ」


……最後の言葉を聞いた途端、悪寒が走ったのは気のせいか?

出来れば願おう! ……気のせいであってくれ!!

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