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ドンと恋!〜 私たちのStarting Block 〜インターハイで日本新記録を出したら表彰台で公開告白されました。  作者: 空知美英
2章:静寂と揺らぎ

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エピローグ「小鳥の微熱」

「最高ー……」


 1年生マネージャーの水瀬美羽は、千尋たちの部屋を出ると堪らずに呟く。

 なにが「最高ー」なのか?


(篠原先輩、すっごく嬉しそうだった……)


 水瀬美羽は玲奈を尊敬し、その秘めた恋心を全力で応援していた。

 そんな彼女からしたら、公式恋人の明日香はただの邪魔者であり、あの部屋でのやり取りを目撃できたことは最高のご褒美だった。


(あの、お粥を冷まされているときの篠原先輩の顔、すごく期待に満ちてた……)


 美羽は部員で賑わう談話室のソファーに腰を下ろし、スマホを取り出して動画を開く。

 それは丁度、千尋がお粥を掬い、フーフー冷ましている瞬間から始まる動画だった。

 そう、美羽はあの一部始終を動画撮影していた。


(ふふふふ……やっぱり、『ちひれな』こそが正義(ジャスティス)……)


 美羽はワイヤレスイヤホンを耳にはめ、動画を再生する。


『ほら、玲奈。あーん』

『ちょ、千尋!? い、いいわよ! 自分で食べられるから!』

『いいから、口開けて』

『え、ええ。じゃあ……』


 一時停止。

 スクリーンショット。


 美羽は玲奈のFC【BlueScript】のVIPページを開き、グループチャットを開く。


『超超超! お宝画像!』

【(千尋&玲奈のあーんの画像)】

『これが世界の真実よ!』


 美羽はどや顔で投稿する。


『すご!』

『ついに!』

『鼻血出た』

『ちひれなは至高』

『今年の一枚』

『もう公式カップルは玲奈先輩』

『保存しました』

『これだけでご飯10杯はいける!』

『ありがとう!』


 美羽はそのコメントに次々と返信し、VIP会員たちと交流していく。


(やっぱりそう。篠原先輩こそ、キャプテンにふさわしい……)


 一通り交流して満足した美羽はチャットを閉じ、動画に戻る。

 再生。


『ん……』

『どう? 熱すぎない?』

『ん……大丈夫、丁度良いわ』

『良かった。フーフー……はい、あーん』

『あーん』


 一時停止。

 スクリーンショット。


(幸せそう……)


 動画を最初から再生。


『あーん』

『あーん』


 また最初から再生。


『あーん』

『あーん』


 ループ×10〜。

 一時停止。


(キャプテン……千尋先輩、やっぱりカッコイイなー)


 千尋の顔をズーム。


(もし私が倒れても、同じように『あーん』してくれるのかな?)


 美羽はアップ画像をズラし、玲奈のアップにする。


(……きっと、篠原先輩が特別だから『あーん』したんだよね。こんな恋する顔を向けられたら、誰だってイチコロだもん)


 ズームを戻して最後まで再生。

 玲奈が照れながらお粥を咀嚼しているシーンで途切れる。

 動画が中途半端なのは、明日香が美羽の動きに気付き、視線で牽制してきたから。

 それがなけば、美羽は二人の相瀬を最後まで見届けていた。


(篠原先輩を幸せに出来るのは千尋先輩だけ。千尋先輩を幸せに出来るのは篠原先輩だけ)


 目を閉じ、二人のウェディングドレス姿と結婚式を想像する。


(よし! これからも『ちひれな推し』を頑張ろう!)


 美羽は拳を握り、気合いを入れ直すのだった。

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