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「アダムおじいちゃん、馬車乗り場はこっちだよ」
「待ってくれ、私の腰は曲がってなどいない」
「そうだぞ、妹よ。アダムはな、俺よりちょっと背が高い好青年なんだ。しかも、千年は生きてる魔族なんだぞ。頭から二本生えてる角がチャームポイントだ」
「そうなんだ。じゃあ、ボンキュッボンな体形の私とのラブロマンスに発展しちゃったり?」
「妹は見た目小学生のロリっこだぞ」
「許すまじ」
「俺はなあ……普通の青年と言いたいところだが、商人でもあるからな。はい、問題です――商人と言えば!?」
「お兄ちゃん、運動しなよ。それじゃ豚さんだよ?」
「随分ゴテゴテとした指輪を付けてるな。その体形では武闘家でもなさそうだが……?」
「商人のイメージが悪すぎる! まあ、忘れられたであろう薬剤師設定もあるから、ひょろがりのインテリ眼鏡くんで通すか」
「なんだ、薬の調合も出来るのか?」
「ああ、不老不死の丸薬だろうが作れるぞ。旅の怪我は俺に全て任せてもらっていい。だが、死者どころかかすり傷すら負わない予定だ。シリアス展開は無しなのでな」
「お兄ちゃん、私のお姫様設定はいつ活かされるの?」
「そんな設定はない、普通の村娘だ。テイマーを目指してるから料理が得意。特性ふゆう持ちで弱点は存在しない」
「そんな奴、どうやって倒すんだ?」
「知らん」




