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「勇者の発見を予言してみせる!」
「大人しく店番しなよ」
「地球滅亡を言い当てたところで誰も褒めちゃくれないが、勇者を言い当てたとなれば神の所業。間違いなく大予言者になれる!」
「あっ、いらっしゃいませー」
……人が演説をかましてるって時に、空気を読まない来店者。だが、好都合だ。
「そんなわけで、あんた勇者な。おめでとう」
「お客さんに絡まないで」
「私は勇者だったのか。そうだと思ってたんだ」
「うわあ、ノリがいい人だった」
もちろん勇者認定など適当――だが、それならこいつを勇者に仕立て上げさえすればいいのだ。悪いが名も知らぬ旅人よ、魔王の元へ行ってもらう。
「勇者がこんな店で油を売ってていいのか? 急いで魔王城へ向かわないと」
「……そうしたいのは山々なのだが、道に迷ってしまってな。幸いにも道案内兼仲間とは何とか巡り合えたのだが……」
「それは幸運だったな」
「頼む、一緒に来てくれ」
「断る」
「魔王城の手前まででいいから」
「絶対やだ」
「道案内くらいしてあげなよ、お兄ちゃん。薬草のストックも足りなくなってきたし、採取ついでの観光だと思えば」
「…………はぁ、しょうがねえな。あんた、妹に感謝しなよ」
「助かる。これで三人パーティー結成だな」
「「……えっ!!?」」




