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「さーて、またくだらない話で場を繋げる作業に戻るかな」
「だったら乗り物酔いについて語らないか?」
「当てつけか!? 広がんねえって」
「そもそも、馬車で移動してるのだから、馬車について語ればいいだろう?」
「そんなこと言っても馬車なんて乗ったことねえもん。揺れが酷いってイメージしかねえ」
「ならば新幹線に乗り換えるか?」
「最寄り駅を通り過ぎちまった。在来線で戻るのもな」
「そうか、新幹線のホームの特別感を楽しみたかったのだが」
「まあ、ゆっくり行こうぜ。最終話をどうするか、そろそろ考えなきゃだし」
「魔王の秘書を目指すのではないのか? あらすじに書いてあるぞ?」
「秘書になったところでハッピーエンドは迎えられないだろう。一話投稿時点で良いあらすじなんて思い浮かばなかったわ。こちとら即興で書いてるんだぞ?」
「ならば…………実は近々、近隣諸国と戦争が始まりそうでな。予言者を名乗る度胸があるのなら軍師もいけると思いスカウトしに来たのだ」
「……で、何で馬車でゆっくり移動してんの? その鈍行旅に魔王が同行してるのもおかしい。本当に軍師編が始まるのなら一分一秒も惜しいだろ。戦場の地形も自軍の戦力も把握しなきゃだし、俺は戦えないって言ったよな? ライブ中継で指揮は取れんし、せめて戦場の後陣には居なきゃいけなくなる。戦術は調べれば何とかなるが、データ頼りは負けると相場が決まってる」
「むう、助け船を出したつもりだったが」
「論破で簡単に沈められる船は泥船って呼ぶんだ。まあ、もうちょっと考えてみるさ。問題は魔王が馬車の旅に同行してる点と、予言者みたいな頭が切れる奴を探してる。……急いではいない。魔王が魔王城にいなくても問題がない状態―――」
「いや、急いでるぞ。一分一秒を争ってる」
「言ってみたかっただけだろ、それ。頓智かよ、どう終わらせればいいってんだ!」




