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「お兄ちゃんは予言者を諦めたんですか?」
「何を言ってるんだ、妹よ。バリバリ予言してるじゃないか。明日には魔王城に着きまーす」
「それは予言と言いません。予定と言うんです」
「……最初はそんなキャラ設定だったんだ。広場にはジョセフィーヌの他にも馬車が停まってたのに、何でこの馬車が魔王城行だと分かったと思う? 予言――と言いたい所だが、魔王城行って看板が立ってたんだってドヤ顔するような奴だった」
「それを私は白い目で見つめるんですね?」
「だから止めた。予言者も最初は探偵の予定だった。でもファンタジー世界で探偵目指すのもなって」
「迷探偵になるのがオチですね」
「まさにそれだ。だけどな、観察力に優れてるって設定は引き継いでるよ。だから妹が悩んでいることも分かってる。猫耳も落ち込んで垂れてるしな。本当、分かりやすいよお前は」
「適当言わないでください! 猫耳なんて生えてませんよ!?」
「…………ツッコミ力が完凸してる猫耳幼女。あんまりイメージが湧かないな。やっぱりチェンジで」
「だから生えてませんって!」
「それじゃあ何の属性を付けるかな。……どんな設定を付け加えれば――――妹がこんなわけわかんない旅に同行する理由になるかな?」
「……それを悩んでたんですか? そんなのいいじゃないですか。独りで留守番は嫌だったからとかでも」
「いいや、ちゃんと考えてやる。それで、この旅は最高でしたって想わせてやるから――ハッピーエンドを期待しとけ!」




