夕闇の街をギルドへダッシュ
この作品は私の再発したあの病気をAIに補完してもらって作成しているため、アイデアは考えてますが7~8割の文章がAI産です。
以上を踏まえた上で、どなたでも読んで頂き、感想を頂ければ喜びます。
昼過ぎのギルドは、ほどよく人が出入りする時間帯だった。
「はいこれ、魔核三つ。っと、もう一個あったな。ほらよ、若造」
ぶっきらぼうな男が、受付カウンターに布袋をどさっと置く。装備こそ中等級だが、どこか面倒事を雑に片付けてきたような雰囲気をまとった中堅冒険者だった。
「あ、ありがとうございます……ええと、これは……?」
新人職員ロイが、おそるおそる袋を開ける。彼は配属されてまだ数日しか経っておらず、実物の魔核を扱うのは初めてだった。
中には四つの魔核――そのうちの一つが、どこか不自然に鈍く赤黒い輝きを放っていた。
「ん? こいつは……少し反応が強いような……?」
ロイが手を伸ばしかけた、その瞬間だった。
カウンター奥から、軽い靴音とともに緑髪の少女が駆け寄る。
「ロイ、下がって!」
セラという、ギルドの魔法鑑定士であり、知識の探究に余念のない才女だ。
「これ、構造が不安定よ。どこで拾ったの?」
「……さあな。森の奥に転がってたから持ってきただけだ」
男は鼻を鳴らす。
「あなた……! 魔核は“拾えばいい”ってもんじゃないの。危険性の確認もせずに……」
そのときだった。
――キィン、と空気が震えた。
魔核が、ぶわりと赤黒い光を放ち始める。
「うわっ! 魔核が……!?」
ロイの叫びがあがった。
浮かび上がった魔核が小さく脈動しながら、周囲に不穏な魔力を撒き散らす。
結界を張る間もなく、暴走の兆候が広がっていく。
「結界展開――っ……間に合わない!?」
セラが杖を構えるが、魔核の反応はそれをあざ笑うかのように膨れ上がる。
赤黒い光が、カウンターから天井へと伸び、空気が圧迫感を帯びていく。
「くそっ、爆ぜるぞ!」
「全員、下がれぇぇッ!」
「誰か、抑えられねぇのかよ!?」
「やばいって、これマジでやばいッ!」
冒険者たちがどよめき、椅子が倒れる音と怒号が飛び交う。
数人が即座に退避し、一部は武器を抜いて警戒するも、目の前の魔核に成す術がない。
誰かがロイを庇い、セラは結界を無理やり発動させようと集中するが――魔核は暴れ出す寸前だった。
――そして。
ギルドの扉が、軋みもなく開く。
昼下がりの光が一筋、混乱の渦に差し込んだ。
入ってきたのは、黒髪の小さな少年――クオン。
その肩には、ウサギ耳に巻き角、猫のしっぽを持つ奇妙な小動物――シェイドが乗っていた。
ギルド内は、張り詰めた空気と冒険者たちの動揺に包まれている。
空中に浮かび、赤黒く脈動する魔核が、不安定に揺れていた。
クオンの視線が、その魔核をとらえる。
「……何あれ?……魔核?」
呟いたその瞬間、彼の足元――影の中が、不自然に“揺れた”。
――すっ。
誰にも気づかれることなく、黒い“糸”が影の中から伸びる。
狙いすましたように魔核へと届き、吸い込むように絡みついた。
その影の奥、クオンの肩にちょこんと乗っていたシェイドが、ぴくりと耳を動かした。赤い瞳が一瞬だけ魔核を見つめ――次の瞬間、ふいっと顔を背ける。
一瞬――魔核が、ふっ……と音もなくその場から“消えた”。
残されたのは、空中のかすかな残滓と、誰もが飲み込めない沈黙。
「……消えた?」
「え? どこ行った? 見失ったか?」
後方の冒険者が声を漏らす。
それを皮切りに、ギルド内がざわつき始める。
「今、確かに浮いてたよな?」
「誰か、回収したのか? ……そんな動き見えなかったぞ」
「魔核って……暴走したら爆ぜるんじゃねえのか?」
「誰の仕業だ!? 今、何が起こった!?」
数人が再び腰の武器に手をやり、周囲を警戒する。
けれど誰も、“何が起こったのか”を理解できていない。
魔核が消えた理由すら、誰一人として――。
その中で、ただ一人、セラだけが目を見開いていた。
先ほどの“反応”――見逃すはずがない。
魔力の流れ、空間の揺らぎ、そして影の中から伸びた糸のような魔力が、鋭く、そして冷徹に魔核を捉えていた。
(……今の反応、あの子から……間違いなく)
セラの視線が、無垢な顔で首をかしげるクオンに向けられる。
その少年は、まるで“自分が何をしたのか”を分かっていない様子で、ただ空になった空間をぼんやりと見上げていた。
クオンの足元で、シェイドがくるりと尾を巻き、ひっそりとその影の中に潜り込む。
誰にも気づかれぬまま、ぴたりと気配を消して。
騒然とするギルド内。冒険者たちはざわめきながらも周囲を警戒し、武器に手をかける者までいた。
「今の……爆発しかけたよな?」
「いや、でも音も衝撃もなかったぞ……」
「魔核が、消えた……? 嘘だろ……?」
重苦しい空気が残る中で、その中心にいた少年――クオンは、まるで何事もなかったかのようにすっと受付へと歩いていった。
「ねえ、今朝の薬草の依頼、報告していい?」
その無邪気な声に、ロイは思わず目を見開いた。呆然としたまま、ぎこちなく頷く。
「え、ええ……はい、報告……お願いします」
クオンが差し出したのは、小綺麗に束ねられた薬草だった。量も質も申し分ない。ロイは動作を思い出すようにそれを受け取り、形だけの確認をして報酬を手渡す。
しかしその間、セラの視線はクオンの背中に釘付けだった。
(今の魔核……ただの消滅じゃない。跡形もなかった……)
セラの魔力感知には、あの瞬間、“糸”のような細く鋭い魔力が確かに引っかかっていた。そして直後に、赤黒い魔核は空間ごと消えた。痕跡も残さずに。
(吸収? でもそんな単純な現象じゃない……まるで、“飲まれた”みたいな……)
完全な消滅。制御や封印ではなく、“存在そのもの”を奪うような異質な魔の働き。
そしてその力の源を追うと――彼の影からだと、確信した。
クオンが報告を終え、受付を離れようとしたその時だった。
「そこの君、ちょっと待って!」
鋭さを含んだセラの声が、場の空気を裂くように響く。
「え?」
クオンが振り返る。
セラは、一歩前に出ながら微笑んだ。だがその笑みの奥には、探るような視線が潜んでいる。
「今の……見てた?」
「うーん……入ったら浮いてて、すぐ消えたって感じ?」
無邪気に首をかしげるその姿が、どこか不気味にさえ感じられた。
クオンの肩に、いつの間にか戻っていたシェイドがぴょこんと顔を出し、ふにゃ、とした鳴き声を漏らす。
「……なるほどね」
セラはそれ以上、何も言わなかった。言葉にするにはまだ早いと感じ、ただ微笑みだけを残してその場を後にした。
(いったい、何を――いや、“何者”なの……?)
その問いだけが、セラの胸に、静かに重く沈んでいった。
ギルドの喧騒がようやく落ち着きを取り戻しつつある中、受付裏――その奥の職員控え室では、カップに入れたハーブティーの香りがふわりと漂っていた。
「セラちゃ〜ん、お疲れっ! ほら、お茶淹れてあるわよ!」
声の主はティリス。淡い緑のローブに身を包み、ふんわりした髪をゆるく結った女性。明るい笑顔と、ほんのり心配性なお節介で、ギルドのムードメーカー的存在だ。
「……それ、誰かと話してた途中じゃなかった?」
控えめに尋ねるセラに、ティリスはにっこりと笑った。
「うん、だけどあたしの“セラレーダー”が反応したの。なーんか、眉間にしわ寄せてるし?」
「そんなにわかりやすかった……?」
「わかりやすいっていうか、バレバレっていうか。で? 何かあったの?」
セラはため息をひとつこぼしてから、ティリスの向かいに腰を下ろした。
「……魔核が、消えたのよ。さっき、受付の前で。誰も触れていないのに、浮かび上がって、何か黒い“糸”に巻かれて……そのまま、消滅した」
ティリスの手が止まる。
「魔核が? 消えるって……そんなん、初耳よ?」
「でしょ。私も初めて見たわ。そして、あの時感じた魔力――黒くて、細くて、鋭くて……」
「……ああー……もう、はいはいはい、それってアレでしょ!」
セラが思わず目を丸くする。
「アレって、何よ」
「その子! クオンって子でしょ? ちっちゃくて、仮登録の。黒髪で可愛くて、ちょっと影ある感じの」
「……知ってるの?」
「知ってるも何も、もう気になって気になって仕方ないのよ! ほら、あの子、何かほっとけない感じあるじゃない? 絶対ほっといたらダメなやつよ! もう保護したい! 保護して毎日ご飯作って、ちゃんと寝てるか確認したい!」
「……あんた、見た瞬間から全力だったのね」
「当然でしょ? あれは“ほっとけない子”センサーにビンビン来たわけよ!」
セラはこめかみに手を当てながらも、悪くない反応だと思っていた。
「……とにかく。あの魔力、普通じゃない。異能の可能性が高いし、本人も気づいてないか、隠してる。だから、調べる必要があるの。ティリス、あんた……協力してくれない?」
「言われなくてもやるってば! もう接触は任せてよ、あたし、ああいう子と距離詰めるの得意だから! でもセラはどう動くの?」
「私は観察と記録。直接的な問い詰めは避けたい。逃げられたら面倒だから」
「OK! じゃああたしがさりげなく近づいて、ご飯に誘ったり、さりげな〜く話聞いたりして……」
「さりげなく、ね?」
「さりげなくよ! こう見えて、空気読むの得意なんだから!」
そう言って胸を張るティリスに、セラは小さく笑った。
ギルドの片隅――にぎやかでお節介なヒーラーと、冷静な情報管理者による“極秘調査”が、ひっそりと始まりを告げた。
夕焼けが町を茜に染める頃、俺はいつものようにエルダの家を訪れていた。
肩の上では、シェイドがふにゃりとあくびをしながら尻尾を揺らしている。
「おう、来おったか。今日はまた、顔つきが引き締まっておるようじゃのう」
扉を開けた途端、エルダは湯気の立つ湯飲みを片手に、じっと俺を見つめてきた。どこか、様子を探るよう な目だ。
「……そんな顔してる? ま、今日はちょっといろいろあってさ」
俺が曖昧に答えると、肩のシェイドがきゅうと鳴いて俺の頬に鼻先を押しつけてきた。慰めてくれてる……のか?
「……それで、お主。森で“何かがおかしい”と感じたと言っておったが……?」
「あ、うん……なんか、空気が澱んでるっていうか……スライムも変だったし、魔核も……」
そのとき。頭の中で何かが弾けたような感覚が走った。
……あっ、やばっ。
「あっ!!」
俺の肩で眠りかけていたシェイドがびくっと跳ね、ふよふよと浮いて俺の顔を覗き込む。
「気づいたか。そんな気がしておったわい」
エルダがため息まじりに茶を啜った。
「……ギルドに報告してねぇ……」
「異変を感知しておきながら、報告を怠る冒険者は信用を失う。軽視すれば命を落とす者が出るぞ」
「うわ、そうだ……それ、ヤバいじゃん……!」
がたん! と音を立てて椅子を引き、俺は半ば飛び出すように立ち上がる。
すると、シェイドが俺の影へとするりと溶け込むと、その姿はもう見えなくなっていた。――まるで最初からいなかったかのように。
エルダの目が一瞬だけ細められる。
「……んん?」
そう呟いて、彼は軽く片目をこすった。
「……わしも、老いがきたかの。……今、妙なものが見えたような気がしたが……」
「ごめんエルダさん! すぐ行ってくる!」
「う、うむ。走れ、クオン。すぐに、じゃ」
その言葉に背中を押され、俺は玄関を飛び出した。
夕闇が町を包み始めるなか、俺は通りを駆け抜ける。足元では、俺の影の中を、シェイドが音もなく滑るように追ってくる。
目指すは、ギルド。
――森に異常がある。放っておけば、きっと誰かが巻き込まれる。
あの場を去るときに感じた、言いようのない違和感。
……あれが気のせいだったなんて、思えない。
「ちゃんと、伝えなきゃ……!」
頬を切る風が冷たい。
けど、今はそれどころじゃない。
変な改行があったので修正しました。