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俺の正体は知らなくていい  作者: とととくール
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昼過ぎの街でおじいさんにただいま

この作品は私の再発したあの病気をAIに補完してもらって作成しているため、アイデアは考えてますが7~8割の文章がAI産です。

以上を踏まえた上で、どなたでも読んで頂き、感想を頂ければ喜びます。



……黒い糸。

あれ、俺が命じたわけでもないのに――勝手に飛び出して、スライムを貫いた。

しかも、なんていうか……妙に、生きてるみたいだった。

「……なんなんだよ、あれ」

ぽつりと漏れた声に、答えなんか返ってくるはずもない。


でも、肩にちょこんと乗ってる小さな影――シェイドだけは、こっちをじっと見てるように感じた。

スライムのぐずぐずに崩れた残骸を見下ろしてると、ふと奥のほうから……ぞわり、と肌が逆立つ気配がした。

「……来た、か」

木の根の向こう、揺れる木陰から、ぬるりと現れたのは――さっきのスライムより二回りは大きい奴だった。

質感は同じ灰色。でも、動きが違う。鈍いどころか、重々しい圧をまとってるみたいな、迫ってくる威圧感がある。


中央に沈んでる魔核は……うっすら赤く脈打ってるように見えた。

「これが……“親玉”か?」

思わず身構える。反射的に足が動いてた。

シェイドもそれに合わせるように、俺の影の中をすべるように移動していく。

気づけば、俺の背後から周囲へ、影がふわっと広がっていた。まるで地面を這う闇のラインみたいに。

親玉スライムは迷いなく、まっすぐ俺に向かって滑ってくる。突進に近い速度。間合いが近い――!


「っ、こっちはさっきより手強いな!」

俺は跳ねるように後退して、近くの木の幹を背にして視線を切る。

その瞬間、シェイドが影から飛び出して、スライムの反対側へ跳躍した。

よし、誘導は成功。スライムの進路がわずかにブレた――そのすきに、俺は駆ける。

「いくよ……!」

ナイフを構えて、スライムの側面を一気に斜めに走り抜けながら、振り上げた――

……が、まただ。

手が止まる。


「また勝手に……!」

ナイフよりも先に、黒い糸が飛び出していた。

糸は鋭く、正確にスライムの体表をなぞるように滑り、一直線に魔核を狙って収束していく。

触れた瞬間、スライムがのたうち始めた。

ぐにゃぐにゃした体が波打って、地面をバンバン叩くように暴れ回る。

だけど、シェイドがその周囲を跳ね回って、影の跳躍で撹乱し続けるから、動きが定まらない。


そして――

黒い糸が魔核を包み込んだ瞬間、スライムの全身がバシャ、と崩れ落ちた。まるで泥みたいに。

俺は少しだけ息をついて、足元を見下ろす。

……でも、違和感が消えなかった。


「……。おかしい。なんか、多くない?」

こんな短時間に、しかも魔核持ちのスライムが二体。

ギルドの依頼には、出現率はかなり低いって書かれてたはずだ。

(討伐依頼じゃなくて、薬草採取だったよな、これ……)

気のせいか、森の奥からまだ変な気配が滲んでる気がする。

足元を見ると、さっき倒したスライムの身体から、まだ黒い糸が残滓を吸い上げようとしてた。


「魔核、吸収……たぶん、してる。……いや、してなくてもいい。戻ろう、今は」

妙な異変が起きてる。そんなときに無理して深入りするのは――よくない。

シェイドを見下ろして、声をかける。

「シェイド、帰るよ。もう少し調べたい気もするけど……念のため、ね」

影がぴくりと反応して、俺の足元に沿って滑るようにまとわりついてくる。

そのまま、俺は森の奥へ背を向けた。慎重に足を運びながら、ギルドを目指して森を抜けていく。

……森の中にはまだ、鳥の声が戻ってなかった。




   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




森の奥、まだ昼には少し早い時刻。

 がさ、と草を踏み分けながら、ひとりの男が踏み入ってきた。肩に傷だらけの革のマントを羽織り、腰にはよく手入れされた片手剣。背丈はクオンの倍はあろうかという大柄で、年の頃は三十を超えていそうだ。


「ふぅ……スライムにしちゃ重てぇ獲物だったな。まさか魔核なんて持ってやがるとはな……最近の魔物はどうなってやがる」

 男は、片手にぶら下げた麻袋を軽く振った。袋の中では、つい先ほど討ち取ったスライムの魔核が、かすかに光を漏らしている。

 そして彼の視線は、ふと少し開けた地面へと向いた。


「……ん?」

 そこには――黒く焦げたような、奇妙な痕跡が広がっていた。地面に染みついたような模様。まるで何かが燃えた後のような、あるいは力を失って溶け崩れたような残滓。

 しかも、その中心に――

「……おいおい、まじかよ。こいつぁ……」

 転がっていたのは、赤黒く鈍く光を放つ魔核だった。

 通常のスライムの魔核よりも、一回り以上大きい。それに、赤みがかった魔核など、そうそう見る機会はない。異常個体の可能性がある……それはつまり――ギルドで高く買い取ってもらえるということだ。


 辺りを一応見回したが、誰かが落とした気配はない。痕跡は古くも新しくもないが……おそらく、ごく最近。

「……運が回ってきたか」

 ぶっきらぼうな顔が、わずかにニヤリと緩んだ。

 男はしゃがみ込み、魔核を布に包むように拾い上げた。

「……拾い物にしちゃ上等すぎるが、文句言う奴はいねぇよな」

 言い訳めいた独り言を残して、彼は再び森の奥から抜けていく。片手に魔核入りの袋、もう一方の手で枝を払いながら。


 やがて木々の間から町の輪郭が見え始めた頃、男は鼻を鳴らす。

「この調子なら、今日は酒代くらいは浮くかもな」

 そう言って、彼はギルドのある通りへと向かっていった――自分の運の良さを信じながら。





   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━





 昼を少し過ぎた頃の町は、ようやく落ち着きを取り戻しとった。朝の活気もどこへやら、穏やかな風が薬草の匂いを運んでくる。わしは軒先の椅子に腰を下ろし、道行く人をぼんやりと眺めとった。

 ――と、見慣れた銀髪の頭が石畳の道に現れた。

 

「おやおや、やっと顔を見せおったな、坊や」

 手を振って呼びかけると、クオンは少しだけ気の抜けた顔で近づいてきた。

 「ん……ただいま」

 軽く頭を下げるその様子を見て、わしはつい、じろりと目を細めてしまう。

 「まったく、泊まりに来んとは、どこぞの宿に入りびたりかと思ったぞい。わしの飯がそんなに恋しくないか?」

 

からかい半分で言ったつもりだったが、返ってきた言葉に、わしは思わず顔をしかめた。

 「え、あ、いや……その、気づいたら森の中で朝になってて……」

 「……森で、寝た?」

 我ながら、声が一段階低くなったのがわかった。思わず椅子から立ち上がり、クオンを睨みつける。

 「お主、正気か? そんな物騒な場所で、平然と寝るとは何を考えとるんじゃ! それで魔物に襲われでもしたらどうする気じゃ!」

 ところが、当の本人は肩をすくめて、

 「んー、でもスライムくらいなら別に……」

 と気の抜けた返事をよこしてきた。

 

「……まったく、怖いもの知らずもここまでくると、ただの無謀じゃな」

 ため息をつきつつ、額を押さえる。どこまで本気で言っておるのやら。

 「いいか、クオン。そんな無防備なことを続けてたら、ほんに命がいくつあっても足りんわ。危険を感じとらんだけで、死ぬ時は一瞬なんじゃぞ?」

 「はーい……反省しまーす」

 口だけの返事に、思わず杖を持ち上げたが――力なく、それを下ろした。

 

「……まったく。そんな無茶するくらいなら、素直にうちに泊まりに来んか。わしの家なら、布団もあるし、飯も出すし、なにより安全じゃ」


 すると、クオンは少しだけ苦笑して、ようやくまともに頷いた。

 「……うん、今度はそうする」

 ――やれやれ。どこか放っとけん子じゃの。

 「で、どうじゃ。依頼ってのは、うまくいったのか?」

 その一言に、クオンの表情が引き締まる。どうやら、何か気がかりがあったようじゃな。

 「うん、一応は……でも、ちょっと変だったんだ」

 クオンは、森で遭遇したスライムの話を語り始めた。魔核を持つ個体、それも二体。片方は異常な大きさ――ふむ。

 

わしは腕を組んで黙り込む。話を聞けば聞くほど、嫌な予感が深まっていく。

 「……ふむ。通常、魔核を持つスライムは、そうそう何体も一度に出るもんではない。出るとしたら、それは“群れ”を成しているか、あるいは……」

 「あるいは?」

 「“棲み処”を荒らしたか、誰かが意図的に仕掛けたか、じゃな」

 その言葉に、クオンの眉がぴくりと動いた。

 

「そんなの、普通の新人に当たる?」

 「普通なら当たらん。……お主、ま〜た妙なもんを引き寄せとるんじゃないじゃろうな?」

 冗談めかして言ってはみたが、わしの目が笑っておらんのは自分でもわかっておった。クオンもまた、それを察して真剣な顔に戻る。

 「……やっぱり、ちゃんとギルドに報告したほうがいいよね」

 「当然じゃ。どんなに些細なことでも、“数が合わぬ”ってだけで、後の命取りになる。ましてや魔核持ちのスライムが複数。これはもう立派な異常じゃよ」

 わしはクオンの肩をぽんと叩き、微笑みを返す。

 

「報告が済んだら、今日はわしの家に泊まっていけ。飯くらいは出してやる」

 「……ありがと」

 クオンはそっと笑って、静かに頷いた。

 ――まったく、どこまでいっても油断ならん坊やじゃ。それでも、こうして戻ってきてくれたことが、わしにはなにより嬉しい。

 彼の背中を見送りながら、わしはそっと呟いた。

 「……ほんに、無事でよかったわい」


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