知らない町で、おじいさんにありがとう
この作品は私の再発したあの病気をAIに補完してもらって作成しているため、アイデアは考えてますが7~8割の文章がAI産です。
以上を踏まえた上で、どなたでも読んで頂き、感想を頂ければ喜びます。
何度目かの樹木のアーチをくぐったその時──
「……おっ?」
森の外に出たとたん、ぱあっと視界がひらけた。
遠くに見える赤みがかった空と沈みかけた太陽。
「……え、もう夕方?」
足元を見れば、靴底はしっかりと泥にまみれていて、ズボンの裾にも草がこびりついている。
どうやら、それなりに長い時間を歩いていたようだ。
「くっそ、気づかなかった……。視界が明るすぎて、時間の感覚ズレてるんだな……」
いつもなら、日差しの変化で「なんとなく時間」を感じ取れるはずなのに、
オレの目はずっと真昼みたいな明るさを保っていた。
明暗の変化に鈍くなってるせいで、いつの間にか日が傾いていたらしい。
そこにあったのは、小高い丘の斜面。その先には、石造りの壁と見張り台、そして行き交う馬車が見える。
「町……だよな、あれ。よっしゃ、当たり〜!」
ガッツポーズひとつ決めて、久遠は軽くジャンプ。思った以上に跳ねて、ちょっとだけビビる。
「わっ、高っ………俺ってこんな跳べたっけ?オリンピック目指せるんじゃね?」
それでもまあ、怪我もしてないし、元気ならオッケーということで、丘をくだって町へと向かい始める。
(さて……あの町、魔物でも入れる仕様だといいんだけど……)
「ん?逆じゃね?」
と首を傾げていると、森の奥から何かが見ているような気配がして、久遠は背中にぞわっと寒気を覚えた。
「いや〜な予感。さっさと門くぐって、人混みに紛れるのが吉かな!」
そう呟きながら、久遠は石造りの町へと駆け出していった。
門の近くまで来ると、町は想像以上ににぎやかだった。
低くくすんだオレンジの屋根がいくつも並び、煙突からは細い煙がのぼっているのが見えた。
道の両脇には木製の看板が吊るされており、読みづらいけど、絵で「靴屋」「食堂」「酒場」みたいなマークが描かれている。
行き交う人、走る馬車、露店の威勢のいい声──なんかもう情報量が多すぎて、頭がクラクラする。
「うわ、音が混ざってる……! 耳が勝手に拾うなって、マジで……」
鼓膜がビリビリするほどの騒がしさ。でも、不思議と嫌な感じじゃない。むしろ、「生きてる街」って感じで、ちょっとワクワクしてしまう。
見張りの門兵らしき人影がいるけど、特に止められることもなく、あっさり中に入れた。
中は……思ってた以上に活気がある。
子どもたちが荷車を押して走り回っていて、大人たちは店の前で立ち話をしてる。
広場には、噴水っぽい石の台座があって、そこに何人かが腰かけてパンを食べていた。
「うわ、リアル異世界の市街地ってやつ……テンション上がってきた」
そんな感動を噛み締めながら歩いていると、ふいに背後から声をかけられる。
振り返ると、少し眉をひそめた門番の兄ちゃんだった。
「おい、坊主。こんな時間に一人でどうした? 家の人とはぐれたのか?」
あー、そうなるよなぁ……と内心でため息。けど、適当に返す。
「違うよ。ギルドに行くんだ。新しく冒険者になる予定ってとこ」
「……身分証は?」
「持ってない。でも受付で話せば分かると思う。そういう話になってるから」
どこか余裕ある調子で言ったら、門番たちは顔を見合わせて、苦笑い。
「しっかりしてんな。ま、何かあったらすぐ衛兵詰所に駆け込めよ」
「うん、ありがと。気をつけるね」
軽く手を振って通り過ぎる。
あまりに堂々としていたせいか、門兵たちはそれ以上追及しなかった
──子どもっぽい見た目って、油断させるにはちょうどいいのかも
「さて、ギルドギルド……って、どっち?」
地図なんて持ってないし、町の名前すら知らない。完全に見切り発車で突っ込んできたことを、今さらながら後悔する。
「うーん、こういうときは……人の流れに乗れば、なんとかなるって聞いたことある!」
キョロキョロと周りを見回していたその時だった。
「迷っておるのか、坊や?」
ふいに背後から、柔らかくてどこか懐かしい声がした。振り返ると、そこには長い白髪とふかふかのヒゲをたくわえた、おじいさんが立っていた。ローブ姿に杖を持って、どう見ても“ただ者じゃない感”が出てる。
「んー、まあちょっと? 冒険者ギルドってどこか知ってます?」
そう気軽に聞いた久遠に、おじいさんは「ふむ」と小さく頷いた。
「なるほど。だが、坊や……気づいておらんのかもしれんが、もう宵の口じゃよ」
「えっ?」
思わず空を見上げる。人通りも徐々に減ってきており、店じまいを始めている店舗もある。だが、視界は驚くほど鮮明で、暗さを感じていなかった。
(あれ? 言われて気づいたけどこんなに薄暗かったの?)
指摘されたことで薄暗さを認識し、久遠は軽く戸惑っていた。
そんな戸惑いを隠しながら振り返ると、おじいさんが優しく目を細めていた。
「わしの目には、坊やが……昔の孫によく似て見えてのう」
「え?」
「髪の色も、背丈も、なんというか……迷子になって、泣いておったあの頃の姿を思い出してしまったわいハハハ」
そう言って笑うおじいさんの瞳は、どこか懐かしさと優しさを湛えていた。
「名乗るほどの者ではないが、“エルダ”と呼ばれておる。気ままな隠居暮らしじゃ」
「久遠です。旅の途中でちょっと立ち寄っただけで……本当にただの新参です」
「クオンか。うむ、よい名じゃ」
エルダは杖を軽く鳴らして立ち上がると、クオンに向き直った。
「どうじゃ、クオン。今夜はうちに泊まっていかんか? この年になると、久々に誰かの世話を焼きたくなるものじゃ。孫が大きくなってからというもの、からきしでのう」
「……それって、けっこう寂しいやつじゃないです?」
「ふふ、かもしれんのう。だが悪くはない。少なくとも、今夜は久しぶりに楽しい晩になる気がする」
クオンは少しだけ笑って、そして頷いた。
「じゃあ、お言葉に甘えて。どのみち寝床はノープランだったし」
「よし、決まりじゃな。さ、こっちじゃ」
(こんなにヒョコヒョコ着いて行くとか日本じゃありえないなぁ……ま、いっか日本じゃないし)
そんなことを考えながらエルダに着いて行くクオンだった
エルダの家は、外観はくたびれた木造の平屋だったが、中に入ると意外にも整理整頓が行き届いていて、ほんのりとした薬草の香りが漂っていた。
「さあ、気にせず入りなさい。飯も炊いてあるし、野菜もある。簡単なものでよければ夕餉にしよう」
「え、いいんですか? ほんとにお世話になりっぱなしで……」
「ふむ。構わん構わん。どうせ一人分作るのも二人分作るのも変わらんしな」
エルダはそう言いながら、鍋に火を入れ、戸棚から干した野菜や豆を取り出して、手際よく調理を進めていく。手つきが慣れていて、どこか懐かしい家庭の匂いが漂ってきた。
出されたのは、豆と野菜の煮込みに、薄く焼いたパンのようなものと、ほんのり甘い根菜のスープだった。
「うわ、あったかい……いただきます!」
久しぶりの温かい食事に、クオンは夢中で食べ始めた。体の芯まで温まるような味で、食べ終える頃にはほっと息をついていた。
「うまかったぁ……ごちそうさまでした!」
「ふふ、気に入ったなら何よりだ」
エルダが優しく笑う中、クオンは満腹になったお腹をさすりながら、椅子にもたれて小さくあくびを噛み殺した。
(……あれ、なんかすっごい眠い)
昼間はけっこう動いたし、精神的にも気を張っていたせいか、食後の安心感でどっと疲れが押し寄せてくる。目をこすって頭を振るが、瞼がやけに重い。
「……ふあぁ……まだ、お礼とか……ちゃんと……」
「無理に起きておることはない。そんな顔で頑張られても、こちらが気になって落ち着かん」
苦笑しながらエルダは立ち上がり、クオンの肩にそっと手を置いた。
「こっちに客間がある。布団も干してあるから、遠慮なく使うといい」
「え、でも……」
「遠慮はあとにしなさい。ほら、立てるか?」
「……はーい……」
ふらふらと立ち上がったクオンは、エルダの案内で小さな部屋へと通される。敷かれた布団はふかふかで、木の床から立ち上るわずかな温もりが心地よい。
「ゆっくり休むといい。話の続きは、明日の朝にでもな」
「……うん、ありがと……ござ……」
言い終える前に、クオンは布団にぱたりと倒れ込んだ。まぶたが閉じるよりも早く、意識は夢の底へと沈んでいく。
「まるで、昔のあの子そっくりじゃな……」
ぽつりと呟くエルダの声は、静かに夜の家に溶けていった。
……ほんのりとした木の香りが、鼻先をくすぐる。
「ん……ぅ……あれ……?」
クオンは、もぞもぞと布団の中で身を起こした。やわらかい陽光が木枠の窓から差し込んでいて、部屋の中が優しく照らされている。
(あ……泊まったんだった。昨日、おじいさんに……)
ぼんやりとした頭の中に、夕べの出来事が断片的に浮かび上がる。暖かい食事、眠気に勝てず布団に沈んだ記憶。心地よさに包まれながら、ゆっくりと体を伸ばす。
(……あれ、寝すぎた?)
慌てて跳ね起きると、ちょうど扉の向こうから「起きたかの?」という穏やかな声が聞こえてきた。
「あっ、はい! 今起きました!」
「ふむふむ、若いのに気持ちのいい返事じゃ」
扉が開いて、昨日と同じくふかふかの白髪と柔和な顔をしたエルダが現れる。手には湯気の立った木の器を載せたお盆を持っていた。
「簡単な朝食じゃが、腹に入れていくといい。ギルドに向かうんじゃろ?」
「えっ、あ……ありがとうございますっ!」
差し出されたお盆には、焼きリンゴのようなものと、穀物入りのスープが載っていた。目が覚めきらないままにも、胃がほっとする匂いがする。
「落ち着いて食べるといい。昨日より顔色もええようじゃ」
「はい、なんかすっごいよく眠れました」
「うむうむ、若い者がぐっすり眠れるのはよいことよ。――あの布団は、うちの孫がまだ小さかった頃に使っていたものじゃが、どうやら君にも合っておったようじゃな」
エルダは懐かしそうに笑みを浮かべる。その笑顔にどこか安心感を覚えながら、クオンも自然と口元を緩めていた。
(なんだろ……この家も、この人も、初めてなのに落ち着くなあ)
そんな思いを胸に抱きつつ、クオンはあたたかい朝食を口に運んだ。
朝食を終え、器を丁寧に下げると、クオンは座布団の上で背筋を伸ばした。
「ほんとに、お世話になりました!」
元気よく頭を下げるクオンに、エルダはにこやかに頷き返す。
「礼などいらんさ。クオンがぐっすり眠れて、朝飯をうまそうに食ってくれただけで、わしも満足じゃよ」
「……あの、それでも……」
何かお礼をしたい気持ちで言葉を探していると、エルダは杖を軽く床に突いて立ち上がった。
「さて、それじゃあ案内してやろうかの。ギルドの場所くらいは教えておかんと、また迷子になってしまうやもしれんしな」
「えっ、ほんとに? 助かります!」
小さく笑ってエルダが玄関を開けると、朝の冷たい風が一陣、すうっと家の中に滑り込んできた。クオンは肩をすくめながらも、昨日とは違い、足取りが軽い。
街はすでに活動を始めており、行き交う人々の中に商人らしき者や冒険者風の装備をした者の姿が混じっていた。
エルダはゆっくりとした歩調で街の道を進みながら、時折振り返ってはクオンの様子を確かめる。
「この先の広場を抜けた角にな、木造で二階建ての大きな建物がある。それが冒険者ギルドじゃ。看板もあるからすぐわかるはずじゃよ」
「うん、ありがとう! エルダさん!」
クオンはぱっと顔を上げて、晴れやかな表情でお礼を告げる。
エルダは微笑みを浮かべて、ふと手を振った。
「ギルドは出会いと始まりの場じゃ。君のような若者が、新しい一歩を踏み出すにはちょうどいい――そう思える場所であるといいのう」
「……うん、行ってくる!」
そう言って、クオンは小さく手を振ってから、駆け出した。朝日を浴びながら、冒険の幕が静かに上がる。