第1話 「異端者と始まり」
この世界では生まれて5歳になる前にほとんどの人生が決まる。なぜならこの世界には神からの加護があるからだ、、、、、
少女、リリアナ・グラントはとある城下町の一般家庭に生まれた。
父親と母親はそれぞれ良い加護を持っていて、それなりに生活をしていた。そして早くも少女はその生活に満足していた。
この世界では5歳になる年に教会やお城などで加護が与えられる儀式のようなものがある。
この儀式はとても重要で、1人の人生を決定づけると言っても過言ではない。
なぜなら、加護のない人とある人とでは天と地ほどの差があるからだ。
それゆえに大抵の人は加護を使うことができる職業などにつくことが多い。
そして少女は順調に育っていき周りの人に支えられたり親に助けられたりして無事に5歳の誕生日を迎えることができた。少女はずっとこのような幸せが続きますようにと願った。
今年も毎年こうれいの加護の儀式が行われる日が来た。少女と親たちは早速教会へと足を運んだ。
教会の真ん中には、白いローブを着て青鮮やかな宝石をはめた杖を持っている人がいた。
時が来ると同年代の人たちが次々と呼ばれていき、中にはすごく珍しい勇者の加護を持っているものもいた。そんな中少女の番になり呼ばれた。
ワクワクしながらもとても緊張した。
そしてそれを察したのか、お父さんが「大丈夫だよ」と声をかけてくれた。そのおかげで少し緊張がほぐれた気がした。
「それでは儀式を始めます。」
この言葉とともに儀式が始まった。
さっきの子と同じように謎の呪文を唱え終えると、
結果を発表し始めた。
「結果、、、、あ、ありません!」
「、、、か、、か、加護がありません!」
周りがざわつき始める。
加護がないなんて異例中の異例だし、それはこの世界においてとても重大なことだからだ。
だが少女は何が起こっているのかがわからなかった。
加護がないもの=異端者 この世界では死んでいるも同然で、ほぼ奴隷みたいなものだった。
そしてこの世界では加護を持たないものは、通報や差別などは当たり前の世の中なのだった。
それを知っている親たちはすぐに動き出し、自分の娘のところへ行き、その場から逃げようとした。
だがすぐに警備員や国の兵隊たちがやってきて、なんとか抵抗したが、結局捉えられてしまった。
「ほら、さっさと入れ!無能者!」
っという怒鳴り声と一緒に背中を押されて
牢屋に入れられてしまった。
そこは暗くてジメジメしていて不潔でとても嫌なところだった。しまいには押し飛ばされたところが痛む。
「お父さんお母さん誰でもいいから助けてよ、、、、」
と言っていると後ろから物音が聞こえた。
「誰!?」
奥から少し痩せた二メートルぐらいのおじさんが出てきた。少女はとても警戒し、怖がった。
だがその必要はなかった。そのおじいさんはいかつい怖そうな見た目をしていたが、物知りで、親しみやすく、加護を持たない少女のことを快く迎え入れてくれた。
そしてそのおじさんはまだ幼い少女に字の書き方やこの世界の仕組み、加護のことや歴史、そろばんまで何でも教えてくれた。だが、自分のことだけは何も話さなかった。少女は少し気になりつつも「人には言いたくないこともある」と考えあまり質問はしないのだった。
牢獄での暮らしは、大変で、親のことも気になったが、苦痛ではなかった。なぜなら、おじさんがいてくれるからだ。
だが、一つだけ難点があった。
それは、少女を後ろから突き飛ばして牢屋にぶち込んだやつだった。やつは、キレていたり、ムカついたりしていると、それを発散しようと蹴ったり殴ったりしてくるのだ。
最初はおじさんが守ってくれたが、やつは途中から、おじさんがついていない時を狙ってやってくるようになった。「本当にイカれている」少女は悲しみでもなく、苦しみでもなく、まずそれを思い浮かべるのだった。
そんなこんなで、時が過ぎていき、ちょうど牢屋に入れられてから、7年後の春がきた時、まだ深夜の寝ている時間に........
ドーン!!、、ドカーン!!!、ガラ、ガラ、、、
「なんだなんだ!?」
周りの囚人が騒ぎ始める。
噂によると、ある囚人が、脱獄を試みているのだった。近くにいた警備員たちが、全て爆発を起こした場所に行き、警備がとても薄くなった。そこをみかねて、一緒にいたおじさんが牢屋の鍵と手錠を壊し、少女を連れて、走った。おじさんはここに入ってきたばかりの頃に、脱獄をしようとしたため、出口や道をよく知っていた。なのでまっすぐに裏口へ走った。
途中で1人の警備員に見つかってしまったが、警備員が声を出す前に不意打ちで、気絶してしまった。
そして運良く警備員が持っていた拳銃と裏口の鍵を盗んで、再び走り出した。
とうとう少女たちは裏口のドアに着き、鍵を回してドアを回して開けた。
外は土砂降りの雨。
そこには三メートル、あるいは四メートルある壁がたちはかわっていた。下の方には、ドアがあったが、分厚い鉄でできており、鍵があれば開けられそうだったが、あいにく少女たちは持ち合わせていなかった。
そんな時、、、
バン!!
「あれぇ〜 おかしいな〜 心臓を狙ったはずなのにぃ〜」
後ろから警備員が来た。しかもいつものいかれ野郎だ。
最悪の気分だ。
そんなことより、おじさんの足が撃たれた。
「はぁ、はぁ、おじさん!!」
(やばいこのままだとまた打たれてしまう。)
「早く逃げないと、、、」
(だけどおじさんはこの足じゃ逃げれないし、なに しろこの壁を突破することができない!)
(どうしよう!)
少女がそんなことを考えていると、、、
「お、俺がお前を壁の外まで投げてやる。はぁ、はぁ、、」
「そのあとは自由に生きろ、、、」
、、「大丈夫だ、外には自然のクッションがある。」
「でも、それだとおじさんが助からない!」
「いいんだ俺はもう先が短いし、どのみち俺は助からない。それに比べ、お前にはまだ未来がある。はぁ、はぁ、、」
バン! っう、、ガハッ!
「お〜今度はあったた。」
今度は心臓にあたり、おじさんが血を吐いた。
「おじさん!!」
「お、俺に素敵な時間をありがとう!」
おじさんはそう言うと、少女を手に乗せて、壁の外に投げた。
「キャーー」
投げ飛ばされている中、最後に一瞬だけ見えたおじさんの顔は、笑みを浮かべていた。
ガサ、、、
おじさんの言うとおり、外には自然のクッションがあった。少女はおじさんの命を無駄にしないためにも、走った、、全力で走った。森の中を、、、
その頃刑務所の壁付近では、、、
「最後に少女をかばって命を捨てたか、バカめw」
おじさんが後ろを振り向く。
「お前は重症だ!時期に死ぬ。だがそれだと俺の気がすまねぇ、だからここで殺してやるよ!!」
バン!!、、、、、、
バン!!、パン!!
「これで死んだな、、、、」
、ぽた、ぽた、、、血が滴り落ちる。
おじさんが血を垂らしながら歩いてくる。
「し、死んでいない!?」
「バカな、そんなことがあるか!」
ぽた、、ぽた、、
「くっ来るな!ここへ来るんじゃない!打つぞ!」
カチャ、、カチャ、、、、
「たっ弾がない!」
おじさんが近づき、右手を挙げる。
ドン!!、、メキメキ、バキバキ、ドン!!
おじさんが振り下ろした全力の右手がクソ警備員の頭にあたり、頭蓋骨が粉々になり、そのまま吹っ飛んでいった。即死だった。
そしてそこでおじさんも力尽きて死んでしまった。
その頃少女は真っ暗な雨の降る森の中をさまよっていた。
「ハア、ハア、ハア、」
「キャッ」木の根に足を引っ掛け転ぶ。
「ハア、ハア、、」
少女は泥まみれになりながらも、立ち上がり森の中を進んでいった。
走って行くと、一軒の小屋を見つけた。
少女はそこで休むことにした。
「ハア、、、ハア、、、」
「ふぅ〜」深呼吸をする。
「おじさん、、、、、、」
少女は小屋の端っこでうずくまっていた。
「おじさんが、死んじゃった、、」
「私をかばって、、」
「なんで、なんで、なんで、なんで!」
「なんでおじさんは死んだ!」
「なんで、私には加護がないんだ!」
「なんで加護がないだけで何もしていない私が牢屋に捕まっていないと行けないんだ!」
「クソ!クソ!クソ!何なんだこの世界は!!!」
「理不尽すぎんるだろ、、、、、、」
「世間は嫌なニュースばかりを流し、洗脳し!」
「人は人を貶しあって!」
「本当にいいことを言っている人を潰して!」
「何が正義だ、、、、、」
「こんな世界、、こんな世界、、、」
「ぶっ壊してやる。」