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第65話 3回目のデート(その6)

「月見里さん、ごめん。もう大丈夫だよ」

「本当に? 無理していない?」


 しばらくベンチに座って休憩した後、仁は動けるようになったと判断し、頼子に大丈夫だと伝えた。だが、頼子は心配そうな表情をして仁の顔を間近で見ていた。


「えーっと、そうだ。次はあれに乗ろうよ」

「回転木馬ね。ふふっ、兼田君も物好きね」

「回転木馬? ああ、メリーゴーラウンドのことか」


 頼子と仁は同じ物を指していたが、言い方が異なっていたため、仁は一瞬考えてしまった。


「これなら、大人しい乗り物だから安心して乗れるよ」

「そうね。ゆっくり上下運動をして回るだけから安心ね。ここは空いているから、すぐに乗れそうよ」


 仁と頼子はベンチから立ち上がると、メリーゴーラウンドのある円錐形の建物に向かった。


「いらっしゃいませ。お好きなところをご利用ください」


 入り口に行くと、愛想の良い若い女性スタッフが、仁と頼子を迎え入れた。


「馬の形をしたものと、馬車の形がしたものがあるけど、月見里さんはどっちに乗る?」

「馬車は上下に動かないから馬の方が楽しそうね。兼田君はどうする?」

「僕も馬の方にするよ」


 建物内には馬の形をしたものと、馬車の形をした2種類のものが置かれていた。仁はどちらに乗るか頼子に尋ね、相談した結果、2人とも馬の方に乗ることにした。


「月見里さんはスカートだけど、大丈夫?」

「ええ、これくらいなら少し上げれば大丈夫よ」


 仁は頼子がワンピースを着ているので、馬にまたがれるか心配だったが、頼子はスカートを少し上げて大丈夫だとアピールした。


「ふふ、大きさはお馬さんみたいね」


 頼子は黒光りした馬を優しく撫でながら言った。


「上手く乗れそう?」

「頑張って跨がってみるわ。あっ、ありがとう。優しいのね」

「でも、跨がるのは止めた方が良いかも。その、見えてる」

「あら、ごめんなさい。困ったわね」


 頼子はスカートを気にしながら、馬に跨がろうとしたが、なかなか上手くいかず、仁はそっと馬から落ちないように支えた。だが、スカートが捲れ上がり、白と水色のシマシマ模様の布が見えてしまった。


「サイドサドルって言う乗り方があるけど、それで乗ってみる?」

「横から乗るスタイルね。試してみるわ」

「支えるよ。気をつけて」


 頼子は一旦馬から下りて跨がず、横から乗るサイドサドルという乗り方に変更した。そのとき仁はそっと頼子に触れ、馬から落ちないように補助をした。


「ありがとう兼田君」

「何とか乗れて良かった。僕は隣の白い馬にするよ」


 仁は頼子を馬に乗せた後、隣に配置されていた白馬に乗った。


 ぷるるるるるる


「お待たせしました。それではスタートします」


 ベルが鳴ったあと、女性スタッフがマイクで案内をすると、メリーゴーラウンドがゆっくりと回転を始めた。


「月見里さん、動き出したよ」

「あんっ、下から大きなお馬さんが突き上げてくるわっ」


 仁は動き出したことを伝えて、隣の頼子の方を見ると、仁とは異なる動きで上下に動き始めていた。


「すっ、すごいわ。だんだん早くなってきたわ」


 メリーゴーラウンドは回転速度を上げ、それと連動するように馬の上下運動が早くなってきた。頼子はしっかりと体を支えるためのポールを両手で掴みながら、揺れに耐えていた。


「下からの突き上げが、ズンズンって私に伝わってきちゃう」


(月見里さん、凄く楽しそうにしてる)


 仁は、楽しんでいる表情をしている頼子を見ていた。

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