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第4話 脅されてる?(月見里家にて)

「「いただきます」」


 音羽と頼子は居間兼寝室としている6畳間で、ちゃぶ台に置かれた夕食を前に手を合わせた。


「美味しいわ。音羽、また腕を上げたみたいね」

「そう? でも、まだ、お母さんみたいに上手くないよ?」

「そのうち追い越されそうね。ふふふ」


 2人は会話を交えながら夕食を味わっていた。一汁三菜で献立を作りたいところであるが、予算の都合で一汁一菜になっていた。だが、音羽の料理スキルがそれをカバーしていて、少々寂しい献立を味でカバーし、満足できるものに仕上げられていた。


「音羽、学校はどう? うまくクラスの子達と馴染めてる?」

「え? う、うん、まあ何とかやってるよ」

「あなた、何か悩んでいない? 良かったらお母さんに話してくれないかな?」


 音羽は頼子の質問を聞いたところで、兼田との約束を思い出してしまった。それが顔に出てしまい、心配した頼子が優しく尋ねてきた。


「なっ、何もないよ」

「お母さんには、あなたが何か悩んでいるように見えるわよ」

「はぁ、お母さんには敵わないなぁ」


 頼子は音羽の母親と言うこともあり、娘の表情で困っていることを察した。音羽はこれ以上隠し通せないと思い、頼子に悩みごとを打ち明けることにした。


「実は、クラスの男の子に弱みを握られてしまって、次の日曜日にデートすることになった」

「なっ、何ですって」


 音羽から悩みを打ち明けられ、弱みを握り卑劣な行動をした顔も知らない男に対して、頼子は怒りの感情を露わにした。


「あっ、でも、家の事情もあるから、彼にデート費用を全額出して貰うことで話を付けたわ」

「そうなのね。でも、弱みを握られてと言うのが引っ掛けるわね」


 音羽はデートの相手が費用を全額負担することを伝え、家計に響かないことを伝えたが、頼子は弱みを握ってデートの約束を無理矢理させられたことが気にかかった。


「今まで話したことがない男の子だから、何をされるかわからなくて怖いの。もし、襲ってきたりしたら私……」

「そうよね。若い男の子だから、何をしてくるかわからないわね」


 未知の恐怖に震える音羽を見て、頼子はどうするべきか考えていた。


「断ることはできないの?」

「たぶん無理。その人って後ろの席なんだ。断ったりしたら、授業中に何かしてくるかもしれない。凄く怖いよ」

「そうなのね」


 頼子は恐怖で震えている娘を見て、親として何があっても助けなければならないと強く思った。


「わかったわ。頼子がデートに行くのが怖いって言うのなら、私が身代わりでいくわ」

「えっ?」


 頼子の発言に音羽は驚きの声を上げた。


「お母さんと音羽はまわりから姉妹みたいってよく言われるでしょ? だ、か、ら、私が音羽に変装してデートに行けば良いのよ。襲われそうになったら母親だって明かして、娘に話しかけないように強く言うわ。守らなければ襲われたって警察に被害届を出すのをチラつかせるわ。それに、こんなおばさんを襲うような勇者は、音羽くらいの年代ならいないはずよ」


 頼子は思いついた作戦を音羽に話した。


「確かに私とお母さんって、一緒に居るとよく姉妹って間違われるけど、年齢が離れすぎているから、無理があるような気がするよ」

「大丈夫、大丈夫。娘を脅すような輩にはオシオキも必要よ。その子の小遣いをスッカラカンにするくらいの勢いでお金を出させてあげるわ」


 頼子の自信はどこから来るのかわからないが、そのような感じで兼田とのデートは音羽の代わりに頼子が行くことになった。

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