第36話 2回目のデート(その12)
(兼田君を困らせちゃったかな?)
顔を赤くして言葉を発さなくなった仁を見て、頼子は思わず積極的な行動に出てしまったことを反省した。
「「・・・」」
それから2人は、どちらから言い出すこともなく、公園の中を歩いていた。その間は会話をする切っ掛けが掴めず、少々重苦しい雰囲気になっていた。
(もしかして怒らせちゃったかも。今着ている服の代金とか請求されたらどうしよう?)
仁の様子を見ながら、頼子は徐々にネガティブな考え方になっていた。
(さっきまで自然に会話できていたのに、月見里さんと触れ合ったら意識して話せなくなってしまった)
仁は頼子が思っていたようなことは考えておらず、ただ、魅力的な女性として意識してしまい、今更ながら緊張してしまっていた。
「「あっ、あのっ」」
このまま仁と頼子は会話もなく歩くことは好ましくないと感じ、話しかけようとしたが、運悪く2人のタイミングが重なってしまった。
「かっ、兼田君の方からどうぞ」
「いや、こういうときはレディーファーストだから月見里さんから話すべきだよ」
「そっ、そう? わかったわ」
どちらが先に話すか、仁と頼子は互いに譲り合ったが、結局、頼子の方から話すことになった。
「あの、さっきはゴメンなさい」
「えっ?」
頼子は仁に対して頭を下げて謝罪した。突然のことで仁は思わず声を上げてしまった。
「その、えっと、兼田君にキスしようとしたことよ。あれから何も話さなくなっちゃったよね? 気を悪くさせたかなって思って」
「そっ、そんなことはないよ。月見里さんが抱きついてきて、女性として意識してしまって話せなくなったんだよ」
「なんだぁ、そういうことだったのね。嫌われてしまったかと思って、どうしようか悩んでしまったわ。それで、兼田君は何を言おうとしていたの?」
「もう解決したから大丈夫」
お互いの気持ちを打ち明け、仁と頼子はお互い話さなくなってしまった理由を知った。
「兼田君、そこのベンチに座って話そうか?」
「そうだね。のんびりと話をして過ごすのも良いかな」
2人は近くに設置されていたベンチに腰掛けて話をすることにした。
「静かで落ち着くね」
「そうね。もう少し日が経つと、この公園も紅葉で様変わりしそうね」
「あまり気にしていなかったけど、この公園って広葉樹が多く植えられているね」
「ええ、紅葉シーズンに入ると赤や黄色になった葉で、とても綺麗になるわよ」
今の季節は秋。紅葉シーズンに入るには少し早い頃であった。広葉樹の葉もまだ緑色であり、色付くまで、もう少し時間が必要であった。それからしばらく、仁と頼子は自然についていろいろなことを語り合った。
ぐるるる
「あっ!」
程よい時間が経過したところで、昼食が少なかったことが影響し、頼子のお腹が大きな音を立てて鳴った。頼子は慌ててお腹を押さえながら恥ずかしそうに顔を赤らめていた。
「もしかして、お腹がすいちゃった?」
「えへへ、そうみたい」
仁は、頼子がお腹が空いたのか確認するために尋ねた。頼子はお腹を擦りながら恥ずかしそうに、お腹が空いたことを正直に伝えた。




