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第27話 2回目のデート(その3)

「月見里さん、乗ろうか」

「はっ、はいっ。お、お邪魔します」


 仁と頼子は、他人の家に入るかのように遠慮しながらエレベーターに乗り込んだ。


「お客様、何階をご利用でしょうか?」

「えっと、確か5階だったと思います」

「かしこまりました。では5階にご案内いたします」


 仁は、エレベーターガールに目的の店がある階数を伝えた。するとエレベーターガールは、仁と頼子に背を向けて、扉の横に設置されている操作ボタンの中から「5」と記載されたボタンを押した後、他に乗ってくる人がいないことを確認してから「閉」と記載されたボタンを押し、ドアを閉めた。するとエレベーターは上昇を始めて目的の階まで移動を開始した。


(えーっと、5階って何を売っているのかな?)


 頼子は売り場案内が記載されたプレートを読もうとしたが、エレベーターガールの体に阻まれて、5階に何が売られているのか確認できなかった。


「お待たせしました。5階女性服売り場でございます。どうぞ店内をゆっくりとご覧くださいませ」


 エレベーターが目的の階に到着し、仁と頼子はエレベーターから降りた。するとエレベーターガールが2人を見送るように、ドアが閉まるまで頭を深々と下げていた。


「エレベーターに乗るだけで、こんなに緊張したのは初めてだったわ」

「そっ、そうだね」


 頼子は丁寧すぎるサービスに緊張し、仁はエレベーターという密室で、女性2人から発せられる甘い香りを意識してしまった。


「ねぇ、兼田君、女性服売り場に来てどうするの?」

「今日、月見里さんが会ってくれたお礼がしたくてね」

「もしかして服を買ってくれるの?」


 頼子は、5階に到着した時点で薄々感じていたが、確認するように仁に尋ねた。


「そのつもりだけど」

「そうなんだ……。で、でも、前回、たくさんお金を使わせちゃったし、今回はあの件とは関係なくて私も会いたかったから、お礼なんていらないわ」


 頼子は仁が服を買ってくれると言った時点で、現在保有している服を考えてしまった。彼女が最後に服を購入したのは消耗品扱いの下着を除き、独身時代に購入した物だけであった。現在は、それを娘の音羽と共用で着回し、家計の節約に繋げている。オシャレがしたい年頃の音羽に、新しい服を着せてあげたいという親心が働き、仁の厚意を受けようと考えてしまった。だが、前回のデートで多額のお金を使わせてしまったことが後ろめたく感じ、買ってくれると言ったことは嬉しく思ったが、学生の仁に無理をさせてはダメだという結論になり断ることにした。


「遠慮しなくても良いけどなぁ。あっ、そうだ。見るだけなら良いよね?」

「ええ、それならいいわ」


 頼子は見るだけならお金はかからないので、仁の提案を受け入れることにした。

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