第20話 ひとりで夕食
「さて、今夜は何にしようかな?」
仁は頼子のデートを終えて自宅へ戻る途中であった。そのまま帰宅してしまうと夕食がないため、自宅近くにあるコンビニに立ち寄った。
「らっしゃいませー」
コンビニに入店すると、ヤル気の無さそうな若い男性店員が声を掛けてきた。仁は特に返事することもなく、そのまま弁当などが置かれているところに向かった。
(コンビニ弁当も飽きたなぁ)
仁は価格は少し高くなるが、手軽に買えるため自宅近くのコンビニを利用することが多かった。夕食を調達することが多く、販売されている弁当類は、全種類制覇していた。そのため少々食べ飽きていたが、他の店に行くのも面倒であった為、仕方なくその中から選ぶことにした。
「温めはいかがっすか?」
「お願いします」
仁は無難な幕の内弁当を選びレジに持っていった。すると店員がマニュアルどおりに弁当の温めをどうするか尋ね、仁は温めをお願いした。
「袋は必要っすか?」
「いえ、いりません」
「では600円お願いします」
「これでお願いします」
仁は家がすぐそこなので、レジ袋に入れず温められた弁当をそのまま持ち帰ることにし、財布からお金を取り出して代金を支払った。
「ちょうどいただきます。あーざしたぁ」
仁は購入した弁当を持ってコンビニを出た。
「さて、夕食も確保したし帰ろう」
夕食を確保した仁は、そのまま帰宅した。
「ただいま」
仁の家は比較的新しい一軒家で、静かな住宅街の中にあった。ひとりっ子で、父は遠方で仕事をしているため、家に帰ってくることは盆、正月、大型連休くらいであった。母は父に同行し、仁は一人暮らしに近い生活をしていた。
「誰もいないのにも慣れちゃったけどね」
もともとは父が単身赴任という形で、仁は母と2人で生活していたが、高校に進学したことで自立して生活できるだろうと判断した母は、仁を置いて父の元に行ってしまった。このような生活が1年以上続いているため、仁は今の生活に慣れてしまった。
「さて、弁当を温めたのは良いけど、まだ食欲がわかないなぁ。先にシャワーでも浴びてこよう」
仁はコンビニで弁当を温めて貰ったが、昼食が遅かったためあまり食欲がなく、先に入浴や着替え、学校で出されていた課題を片付けることにした。
「いろいろしていたら弁当が冷めてしまった。仕方ない、そのまま食べるか」
仁はダイニングテーブルに冷めてしまった弁当を置き、椅子に座ってから蓋を開けた。
「あっ、あの店員、箸を付けていないじゃないか。はぁ、気付かなかった僕も悪いか」
仁は箸がないことに気が付き、椅子から立ち上がり、キッチンに箸を取りに行き、箸とついでにお茶を用意して再び椅子に座った。
「何か寂しいな」
仁は弁当に箸を付けたところで顔を見上げた。すると昼食時に笑顔を振りまいていた頼子の顔が思い出され、今まで1人でも平気であったはずが、寂しい気持ちがこみ上げてきた。




