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第13話 初デート(その9)

「兼田君、人がいっぱいね」

「本当だ。この水族館のイルカショーは人気があるみたいだから、早くから場所取りをしている人が多いみたいだね」


 イルカショーが開催されるプールは屋外にあり、仁と頼子は建物を出てイルカが展示されているプールに向かった。そのプールは扇形になっていて、プールの外側に階段状の客席が設けられていた。既に多くの家族連れやカップルが場所取りをしていて、空いている席は僅かであった。


「兼田君、1番前の席が空いているわ。ここにしましょう」

「そうだね。この席ならよく見えそうだ」


 客席は奥に行くほど高くなっていて、その最前部の席がちょうど2席分空いていた。仁と頼子はその席に座り、イルカショーが始まるのを待った。


「私達の前を泳いでいるイルカが芸を披露するのよね?」

「多分そうだと思う」


 頼子が目の前にある大きな水槽の中を、優雅に泳いでいる3頭のイルカを指さして仁に尋ねた。


「始まるのを待っているだけなのに、何だか緊張しちゃうわね」

「そっ、そうだね。あっ、緊張するなら手でも握ろうか?」


 イルカショーが始まるのを楽しみに待っている頼子に対し、仁はちょっとした出来心で手を握ろうかと尋ねた。


(うわっ、ちょっと調子に乗りすぎたかも。気を悪くしちゃったかな?)


 仁は思わず口から出てしまった言葉に後悔してしまった。今回のデートは上手く行っているのと自己判断し、男女で手を握ると、どのような感じがするのか興味が湧いたからであった。


(そうよね。こうしていると本当のデートみたいだからね。兼田君には、たくさんお金を出して貰ったし、手ぐらい握ってあげてもいいかな)


 頼子は、今回のデートで仁に多くのお金を使わせてしまったことに対し、申し訳ない気持ちになっていた。娘を脅したことは許せない行為であるが、学生の小遣いでは、大きな出費になるだろうと思い、少しくらいは仁の要望を叶えてあげたい気持ちになっていた。


「いいよ。はい、どうぞ」

「あっ、ありがとう」


 頼子はそっと手を差し出すと、仁はビクビクしながら彼女の手に触れた。


(あたたかい。でも、指先と手のひらは少し固くてゴツゴツしてる。うーん、思っていたのと少し違うけど、何だかドキドキするなぁ)


 仁は頼子の手を握ると、手の温かさを感じた。だが、それと同時に、彼女の手はとても荒れていて、少し固くてゴツゴツしていた。柔らかい感触を予想していたが、それとは異なるものであった。


(ふふっ、男の子と手を握っちゃった。兼田君の手って柔らかくて温かいわね。少し汗ばんでいるのは緊張してかしら。なんだが初々しくて若い頃を思い出すわ)


 頼子は学生時代の甘酸っぱい記憶を思い出していた。仁と頼子は手を握りながらそれぞれの考えを巡らせていた。

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