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第119話 母娘の話し合い(その3)

「へぇ、兼田君って、ずっと私だと思って、お母さんと付き合っていたんだ」

「そうなんだ。別人だと気付いたのは昨日なんだ」


 仁と頼子は2人が付き合うようになった経緯を音羽に話した。


「それで急に私に対して優しくなったんだ。もっと早く私が気付いていたら、兼田君と付き合うことになっていたかもしれなかったなぁ」

「音羽でも仁君はあげないわよ」


 先ほど仁に告白した音羽は、母親に先を越されてしまったことに対し残念な気持ちになったが、同時に苦労して育ててくれた母親に対し感謝をしていた。音羽が仁に寄せていた気持ちは、頼子ほど大きな気持ちではく、少し好きかもくらいであった。そのため2人の関係を崩してまで割り込もうという気持ちまでは起こらず、素直に2人の仲を認めて応援したいと思った。


「事情はわかったわ。娘として反対するつもりはないけど、年齢が離れすぎているけど大丈夫なの?」

「そこは仁君が満足できるように頑張るわ」

「「な、何を?」」


 音羽は年齢が離れていることに対し、社会的な面で少々思うところがあり尋ねてみたが、頼子はそれを別の意味で解釈し、元気だと言うことをアピールして見せた。違う方向に自信を見せた頼子に対し、仁と音羽は顔を見合わせて何に対しての自信なのか考えてしまった。


「えっ? もしかして違う意味で言ってたの? あらやだ、私ったら早とちりしてしまったみたいね」


 頼子は仁と音羽の反応を見て、自分の考えが違うところにあったことに気付き、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていた。


「改めて聞くけど、音羽は私と仁君が付き合うことは反対しないのね?」

「ええ、2人を見ているとお似合いのように思えてきたわ」


 頼子が改めて仁と交際することに、音羽が反対しないことを確認した。


「とりあえず夕食の支度がしてあるから、3人で食べようよ」

「仁君のも用意してくれたのね。音羽ったら気が利くわね」

「ま、まあ、本当は軽い気持ちで夕食を誘っただけだったけど、顔合わせの会食になってしまったわ」


 音羽はついでくらいの気持ちで仁を夕食に誘ってしまったが、これが親子顔合わせの会食になってしまった。



「この前、お母さんが買ってもらったっていう服とかだけど、これって兼田君が買ってお母さんにプレゼントしたものよね?」

「そうだけど」

「こんなにお母さんに貢いで兼田君は大丈夫なの? 前から聞こうと思っていたけど、もしかして兼田君の家ってお金持ちなの?」


 音羽は頼子が最近家に持ち帰った品々は、仁が購入したものではと思い確認を取った。すると仁は隠すこともせず正直に頼子にプレゼントしたことを話した。そこで音羽はお金の出所が気になり、金銭的な苦労を頼子にかけたくない気持ちから、仁に詳細を尋ねた。


「うーん、特に金持ちではないと思う。ただ僕自身が少しお金を稼いでいるから、そこから頼子さんにプレゼントしたんだよ」

「へぇ、アルバイトをしているんだ」

「していないよ」


 仁がお金を稼いでいる話を聞き、音羽は真っ先にアルバイトをしているものだと思った。だが、仁の口からはそれを否定する言葉が出た。



「へぇ、株取引ねぇ。私にはサッパリわからない世界だわ。でも、普通に働くよりも多く稼げるなんてすごいわね」


 仁はそれから、収入を得ている株取引について音羽に話した。だが、まったく次元の違う話に音羽はついていけず、何となくイメージを掴む程度しか理解できなかった。

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