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第118話 母娘の話し合い(その2)

「その前に、昨日はごめんなさい。本当は夕食の支度をしなければならなかったのに、連絡もなしに外泊をしてしまったわ」


 頼子は話をする前に、昨日の事を謝らなければならないと思い、音羽に対して深々と頭を下げて謝罪した。


「お母さんは今までそういうことをしたことがなかったら、帰ってこなくて本当に心配したのよ。一体どこで何をしていたの?」


 音羽も昨日から心配していたが、元気な頼子の姿を見て安心していた。だが、無事なことと、連絡も無しに帰ってこなかったことは別件であるため、理由を聞いておきたいと思っていた。


「実は昨日、仁君の家に遊びに行っていたの。本当は夕食の支度までには戻るつもりだったのよ」

「ふーん、そのつもりだったけど兼田君の家に泊まってきたと?」

「うっ、結果で言えばそうなるのだけど……」


 頼子は仁の家に遊びに行った後、親友の恵子と再会して昔を懐かしんで飲み明かしてしまったことを話した。その過程で音羽のことを忘れてしまったことを話した。


「事情はわかったわ。まあ、私も小さな子供じゃないし、放置されても何とかできるから良いのだけど、許すのは今回だけだからね。次からは絶対に連絡してよね」

「でも、困ったわね。連絡するとしても家には電話もないわ。そうだわ。ねぇ仁君。携帯電話が欲しいなぁ。私と音羽の分、2台くらい何とかならないかなぁ?」

「ちょ、お、お母さん、なんで兼田君にそういう話をするのよ」


 連絡手段の話になり、月見里家には固定電話も携帯電話もない話になり、何を思ったのか頼子は仁に携帯電話を買ってくれないかとおねだりした。それを見ていた音羽は驚いた声を上げた。


「いいよ」

「やったー。仁君、大好き」

「おーい、私抜きで勝手に決めないでおくれ」


 仁は頼子と気軽に連絡が取れる手段が欲しかったために、お互いの利害関係が一致し、頼子の提案にすぐに乗ってきた。話に置いていかれてしまった音羽は、どこから入って良いのか困ってしまった。


「音羽も仁君にお礼を言うのよ」

「うっ、ありがとう。兼田君」


 音羽も本当はクラスメイト達が携帯電話を使用しているところを見て羨ましく感じていた。買って貰えるものを無碍に断れず、それを受け入れてしまった。同級生に携帯電話を買ってもらうという心境はなかなか複雑なものであった。


「なんだか頭の中が混乱してきたわ。朝帰りの件はいったん置いておきましょう。で、どうして兼田君とお母さんが付き合うことになったの? そこのところを詳しく聞かせて貰いましょうか?」


 話が一旦逸れてしまったが、音羽は本来聞こうと思っていた話題に戻し、改めて2人から事情を聞くことにした。

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