好きです
季節は春を迎える途中の3月だった。
今日は卒業式だ。
僕は今日で高校を卒業する。
大学は二人とは違うけど、二人とも友達なのは変わりない。
けど、もしかしたら何かが変わるかも知れない。
僕は今日、告白するんだ。
「行ってきます」
僕は母さんに挨拶をして玄関を出る。
外の木には桜の蕾がついている。
「僕が大学生の時には満開なんだろうな....」
僕は桜の木を見つめて微笑む。
歩いているとやがて学校の校門が見えてきて前には【卒業式】と印された看板が建てられている。
ああ、卒業か....何ていうか寂しいな。
「よし!」
僕は頬を両手で叩き、学校に足を踏み入れる。
「えー第48回卒業式を行います。卒業生、入場」
僕たち卒業生は順に入場して行き席についた。
「続いて卒業生代表、田所 柳」
僕は卒業生代表として挨拶をする。
「えと、春も近づき暖かな風が吹き始め、桜の蕾がつく季節となって参りました。気が付けば私達はもう卒業です」
僕は事前に考えた挨拶を口にしていく。
「以上、卒業生代表。田所 柳」
僕は一礼して自分の席へと戻る。
次々と卒業式の行事が終わり校長の話となった。
「皆様、卒業おめでとうございます。ここで学んだことを社会でも活かし、また、社会で能力を伸ばしてより良い生活をお送り下さい」
そして、卒業式は終了。
僕は花音ちゃんと琴波ちゃんの大学に行って二人を呼びに行く。いや、どちらかを呼び出した。
「ーーーちゃんーーーちゃん」
「んぇ?」
「もー寝てたの?ほら、いつもの子が呼んでるよ」
「どうしたの?」
「ちょっと来てほしいんだ。つたえたい事がある」
僕は真剣な顔をして告白する相手を呼んだ。
「ごめん、急に呼び出して....」
「ううん、大丈夫だよ」
「ありがとう」
僕は深呼吸をして相手の顔を見つめる。
「好きです」
僕は言葉を口にする。
君が好きだ。授業中ふと外を見たら笑って髪の毛をくしゃくしゃし合う君の顔が大好きだ!その後もだよ。僕は二人を好きになった。けど、やっぱり君が好きなんだ!
「ありがとう」
相手は微笑んだ。
誰を選んだかは皆にお任せするよ。