柳を好きになったキッカケ
これは私が4歳の時、一つ違いの男の子に出会った時の話。
私は北海道から東京へと引っ越して来るお隣さんがいると聞いてワクワクしていた。
「....」
引っ越して来た男の子は新しい家を見つめていた。
「あれ?きみは?」
家の前で立ち止まっている男の子を見た私は男の子に近付いた。
「ぼくは、やなぎ、です。えと、きょうこっちにきて」
「へぇ!きみがあたらしくきたおとなりさん!なんだね!」
「ええと」
明らか戸惑う柳くんに気付かない私はは眩しい笑顔で柳くんに手を差し出す。柳くんはその手をそっと握った。
「わたしは【みうら はのん】!よろしくね!やなぎくん!」
「え、あ、うん」
けど、この出会いが良かったんだと私は心から思う。
「ほら、ほら!やなぎくん!だんごむし!」
「まるくてかわいいね」
柳と私は幼稚園が一緒だった。
私は一つ上だったから柳が5歳になるときに幼稚園卒園して号泣してたっけ?
「いやだよー!はのんちゃんといっしょがいい!」
「だいじょうだよ、やなぎ!わたしはようちえんをおしまいなだけでいえであえるから!」
「でも〜」
私に泣きつく柳を慰めるように保育園の先生が折り紙あげてたな〜
それで柳も小学生になって私と一緒の学校に入って大喜びしてたなぁ
「はのんちゃーん!」
「やなぎ、入学おめでとう!」
「また、いっしょにあそぼうね!」
「そうだね!いつもあそんでるけどね!」
「これからもずっといっしょがいいな!」
なんて柳は言っていたなと今、思い出す。
小学生になって、柳が5年生で私が6年生の時かな?
身体測定だったんだよね。
「私、身長147cmになったよ!」
「ゔっ、僕の方が16cm低い....」
「はっはっはっ!」
「いつか花音ちゃんより高くなるからね!」
「高くなったら私を守ってよ?」
「もちろんだよ!」
これから柳は毎日牛乳を飲むようになったんだっけ?おかげで太って付いたあだ名が【やなまん】。
けど、柳が中学に上がるときに身長がぐんっと伸びて痩せたんだよね。
「花音ちゃん!」
柳は勢いよく私の家の扉を開けてお母さんに挨拶をして私の元へ来た。
「僕、明日から中学生で身長も伸びて149cmになったよ!」
「残念、私は153cm」
「え、伸びたの?!ずるいよ!」
「成長期なのだよ♪」
中学も一緒でずっと一緒にいたもんだから
「お前ら付き合ってんのか?」
「違うよー、柳は幼馴染で弟みたいなもんだよ〜」
と笑いながら私はクラスメイトに言う。
「弟って....」
そんな事があって気付けば高校生。柳が高一で私が高二。
私は外から柳の窓に向かって声を出す。
「やーなぎー!」
柳と私の高校は家から少し離れていて自転車で行かないと行けない。
「おはよ、花音ちゃん」
柳が着替えを終えてリビングに降りる時には私は食パンを頬張っていた。
「おはよう、柳くん」
「琴波ちゃんも一緒だったんだ」
「うん、お邪魔してます♪」
琴波ちゃんは私が高一の時に出会った親友だ。
「にしても柳くん、大きくなったね?何cm?」
「今、今は165cmかな」
「気付いたら私の身長抜いてたもんね〜」
「そうだよ、やっと抜けたもん」
「花音ちゃんで何cmだっけ?」
「私は156cm」
「ふふん」
柳が自慢げに笑うから私は柳の頭をグリグリとする。
「痛い痛い痛い痛い!」
「さて、朝食も終わったし学校行こうか?」
「らじゃ!」
柳は私の自転車の後ろに乗っかる。
学校に行くまでは三人で雑談を楽しむ。
そして、柳が高二、私と琴波ちゃんが高三の時。
私達は移動教室で二階に降りているときだった。
柳が学級員の女子の手伝いをしていた。
女子の荷物を全部持ってあげる優しい柳にときめいたんだっけ