琴波ちゃんを好きになったキッカケ
これは僕が3歳の時、一つ違いの女の子に出会った時の話。
僕は北海道から東京へと引っ越して来て何も知らない土地へとやって来た。
「....」
僕は新しい家を見つめていた。
「あれ?きみは?」
家の前で立ち止まっている僕を見た女の子がやって来た。
「ぼくは、やなぎ、です。えと、きょうこっちにきて」
「へぇ!きみがあたらしくきたおとなりさん!なんだね!」
「ええと」
明らか戸惑う僕に気付いてなさそうな女の子は眩しい笑顔で僕に手を差し出す。僕はその手をそっと握った。
「わたしは【みうら はのん】!よろしくね!やなぎくん!」
「え、あ、うん」
けど、この出会いが良かったんだと僕は心から思う。
「ほら、ほら!やなぎくん!だんごむし!」
「まるくてかわいいね」
僕と花音ちゃんは幼稚園が一緒だった。
花音ちゃんは一つ上だったから僕が5歳になるときに幼稚園卒園して号泣したっけ?
「いやだよー!はのんちゃんといっしょがいい!」
「だいじょうだよ、やなぎ!わたしはようちえんをおしまいなだけでいえであえるから!」
「でも〜」
花音ちゃんに泣きつく僕を慰めるように保育園の先生が折り紙くれたな〜
それで僕も小学生になって花音ちゃんと一緒の学校に入って大喜びしたなぁ
「はのんちゃーん!」
「やなぎ、入学おめでとう!」
「また、いっしょにあそぼうね!」
「そうだね!いつもあそんでるけどね!」
「これからもずっといっしょがいいな!」
なんて僕は恥ずかしいことを言っていたなと今、思い出す。
小学生になって、僕が5年生で花音ちゃんが6年生の時かな?
身体測定だったんだよね。
「私、身長147cmになったよ!」
「ゔっ、僕の方が16cm低い....」
「はっはっはっ!」
「いつか花音ちゃんより高くなるからね!」
「高くなったら私を守ってよ?」
「もちろんだよ!」
これから僕は毎日牛乳を飲むようになったんだっけ?おかげで太って付いたあだ名が【やなまん】。
けど、僕が中学に上がるときに身長がぐんっと伸びて痩せたんだよね。
「花音ちゃん!」
僕は勢いよく花音ちゃん宅の扉を開けておばさんに挨拶をして花音ちゃんの元へ行く。
「僕、明日から中学生で身長も伸びて149cmになったよ!」
「残念、私は153cm」
「え、伸びたの?!ずるいよ!」
「成長期なのだよ♪」
中学も一緒でずっと一緒にいたもんだから
「お前ら付き合ってんのか?」
「違うよー、柳は幼馴染で弟みたいなもんだよ〜」
と笑いながら花音ちゃんがクラスメイトに言う。
「弟って....」
そんな事があって気付けば高校生。僕が高一で花音ちゃんが高二。
僕はスヤスヤ眠っていた。すると、外から声がする。
「やーなぎー!」
花音ちゃんの声だ。
僕と花音ちゃんの高校は家から少し離れていて自転車で行かないと行けない。
「おはよ、花音ちゃん」
僕が着替えを終えてリビングに降りる時には花音ちゃんは食パンを頬張っていた。
「おはよう、柳くん」
「琴波ちゃんも一緒だったんだ」
「うん、お邪魔してます♪」
琴波ちゃんは僕が中三の時に花音ちゃんか家に連れて来た。
「にしても柳くん、大きくなったね?何cm?」
「今、今は165cmかな」
「気付いたら私の身長抜いてたもんね〜」
「そうだよ、やっと抜けたもん」
「花音ちゃんで何cmだっけ?」
「私は156cm」
「ふふん」
僕は自慢げに笑うと花音ちゃんは僕の頭をグリグリとする。
「痛い痛い痛い痛い!」
「さて、朝食も終わったし学校行こうか?」
「らじゃ!」
僕は花音ちゃんの自転車の後ろに乗っかる。
学校に行くまでは三人で雑談を楽しむ。
そして、僕が高二、二人が高三の時。三年生が外で陸上をしている時だった。
僕は数学の授業で教室にいた。
そして、琴波ちゃんの順番が来た。
(あ、琴波ちゃんだ)
僕はたまたま視界に入った琴波ちゃんを見ていた。
(意外とスポーツ出来るんだ)
僕が感心して琴波ちゃんを見ていると花音ちゃんが琴波ちゃんに近寄って頭をクシャクシャと撫でた。
それを琴波ちゃんが仕返してまた、花音ちゃんに仕返しされる時に琴波ちゃんがいたずらに笑った。
(琴波ちゃんってあんな顔するんだ....)
僕の胸の何かがトクンと弾む。
(え?)
僕はそこから琴波ちゃんから目が離せなくなった。
これが僕が琴波ちゃんを好きになった理由だ。