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Red brick story~赤レンガの青春~  作者: 佐久間五十六


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さらば赤レンガ

 旅立つ日は近い。赤レンガに海上自衛隊幹部候補生として、海野が入校して一年が経とうとしていた。忙しい事はかりでは無かった。いや、海野にとっては苦しく辛い辛いものばかりだったのかもしれない。それでも、信頼出来る良き仲間に出会い、多くの人間に支えられてここまでやって来た。赤レンガを去る事は、名残惜しさもある。

 それでも次のステージである部隊配置も決まった。海野はイージス護衛艦「あたご」の航海士として、4月から配属される事が決まり、任地は横須賀地方隊である。ようやく憧れの艦乗りになれる訳であるが、しかし手放しで喜んでもいられない。部隊配置となれば、いきなり多くの曹士隊員が部下となる。とは言え、自分より年上の曹士隊員もいる。自分より若い人間は、ほぼいないと思った方が良い。

 若くして幹部自衛官になると言うのも、楽ではない。責任が伴うからだ。そのプレッシャーに打ち勝てれば、まずは初任幹部自衛官としては、合格だろう。部下に迎合する必要は全くない。自分が学んできた物を、きちんとパフォーマンス出来れば、悩ましい事は何もない。海野はその様な事ばかり考えるようになっていた。

 まぁ、これは幹部自衛官を控えた幹部候補生にとっての壁なのかもしれない。今までは幹部候補生だったが、これから先は違う。新品三尉と呼ばれたりする初任幹部なのである。三等海尉は諸外国で言えば、少尉にあたる。立派な下級将校であり、一兵卒の兵士が一生をかけても掴めない様な地位である。

 しかし、海野は運良く防衛大学校を卒業して。エスカレーター式に赤レンガで学ぶ事は出来た。それが出来たのは、自分が人より少し勉強が出来て、運が良かっただけの話である。そうする事で要らぬエリート意識が無くなる。エリート意識など百害あって一理なしである。稀に幹部候補生の中には、過度なエリート意識を持っている輩がいる。

 そういう隊員が居ても良いのかも知れないが、海野にしてみれば、それはおごりであり、そういう隊員は部下や上官から嫌われる事をよく分かっていた。

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