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Red brick story~赤レンガの青春~  作者: 佐久間五十六


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これで良いのか?

 海野は、卒業を目前にしてこれで良いのかと、自問自答する様になっていた。それは別に彼が日々の日課や課業を怠ると言った、そのような類いの事では無い。これから幹部自衛官になるにあたって、果たして今の自分の実力で、務まるのかと言う自信の無さから来る、不安とでも言えば良いのだろうか?その様な感覚に近いものがあった。

 恐らく、陸海空と3つの幹部候補生学校(陸:久留米、海:江田島、空:奈良)があるが、そこを巣立つ人間は大抵の者が、海野の様な不安に一度はかられる事であろう。勿論、その反対に自信に充ち溢れていて、何の心配もないと言う人間もいるだろうが、そういう人間に限って任官し幹部自衛官になってから、部下に嫌われる幹部自衛官になる可能性が高い。

 部下だけならまだしも、上官の受けも悪くなる。分からない事は、素直に聞く位の正直さが無ければ、上官からも部下にも好かれない。無論、上官や同僚や部下の顔色ばかりを伺うのもどうかと思うが、要するに大切な事はバランスが重要だと言う事である。人間的に完全無欠の人間などいない。幹部自衛官とは言え、神様ではない。

 一人の人間である事に違いはない。海野の不安は真っ当なものであるが、あまりその気持ちに振り回されるのは、得策ではない。その不安を解決するには、現場で慣れるしかない。頭であれこれ考えても、まだ幹部自衛官になっていない中で不安に思うのは、その不安を増大させるだけである。

 新品三尉になってから、学ぶものがあっても悪くない。その前にまずはしっかりと幹部候補生課程を修了する事が大事である。赤レンガを卒業する事が、先決である。とにもかくにも、幹部候補生学校(江田島赤レンガ)を卒業しない事には、先は開けない。それを本末転倒と呼ばずして何と呼ぶか。

 赤レンガに入校すれば、自動的にエスカレーター式に卒業出来ると思われるが、落第する候補生も全くいないと言う事は無い。あくまで公にしていないだけで、危うい成績のまま温情人事で卒業する者もいる。

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