憧れの軍人
世界三大海軍軍人と言えば、東郷平八郎、ホレーショ・ネルソン、ディビッド・ファラガットの三英傑であるが、彼等以外にも素晴らしい軍人は沢山いる。海野の場合は、憧れの軍人として、真珠湾攻撃を指揮した、連合艦隊司令長官山本五十六を尊敬していた。
勿論、山本閣下の事は防大時代に山程の資料や文献を読み、海野の頭には叩き込まれている。とは言え、憧れの軍人は人それぞれ変わるものであり、1000人いれば1000通りのパターンがあるものではある。憧れの軍人がいる事で、理想的な軍人像と言うものが明確になる。そうなる事で、自分がどの様な幹部自衛官になるべきなのかと言う事も自ずと見えてくるのであるから、不思議なものである。
勿論、憧れと現実は異なる。実際に理想的な軍人になる事は不可能であるし、何よりも憧れの軍人と自分は全く別物で異なる。それらをきちんと理解した上で、素晴らしい海上自衛官になれる。憧れを持っている事は悪い事ではない。憧れと、現実は違うという事を理解した上で理想的な軍人に近付こうとする姿勢が大切である。
どの業界にあっても、憧れだけではやっていけない。しかしながら、憧れ無くして立派な業界人になれないのも事実である。海上自衛隊の幹部候補生とて、それは同じ事である。素晴らしい先人に範を習うと言う事は大切な事であるし、それ以上に自らそれらの素晴らしい先人を越えようとする事は大切な事である。
自分がどの様な海上自衛官に成りたいと迷った時は、先人に範を求めると言う事は、決して間違った選択肢ではないだろう。勿論、自助努力も大切である。己の努力無くして、素晴らしい海上自衛官にはなれない。目標や志は高く、自助努力を忘れない。それが理解出来てようやく一人前の幹部自衛官になれる。それが分からないうちは、まだまだ半人前の幹部でしかない。




