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Red brick story~赤レンガの青春~  作者: 佐久間五十六


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アンケート(遠洋航海)

 海野が赤レンガに入学して3ヶ月頃の事だった。海野等幹部候補生に1枚のアンケート用紙が配られた。そのアンケートには、4つの行き先が示されていて、その中でどの行き先が良いかを問うものだった。それは幹部候補生学校卒業後の遠洋航海のコースに関するものだった事は、言うまでもない。海野は人気の南米コースではなく、世界一周コースを選択した。理由は単純である。多くの国を回りたかったと言う事だけである。

 アンケートが回収されてから、半月後にコースは決定した様である。大方の下馬評通りコースは、南米コースに決定したようである。海野としては不本意だったが、正直なところどの様なコースでも良かった。それに遠洋航海は遊びでも、旅行でもない。あくまで実習なのである。そこのところをわきまえる必要はあると感じていた。

 練習艦に乗り、操艦するのは防衛大学校学生の頃には何度かあった。しかし、遠洋航海の様に長期間艦を操艦する機会は無かった。海上自衛官が艦の一つもろくすっぽ操艦出来ないのは、いささか格好が悪い。遠洋航海で試されるのは、そうした技術面だけではない。精神面、肉体面においても厳しくチェックされる。

 練習艦の中には現役の幹部自衛官である教官も乗艦しており、新米幹部自衛官たる者のチェックをする。海野は長期間の航海は苦にしないが、中には、艦上での長期間の生活に耐えられない人間もいる。そうした人間は海上自衛官には向いていない。狭いスペースでも、ストレスを克服出来る者こそ海上自衛官に相応しい。潜水艦等はその最たるものである。

 風呂にもろくすっぽ入れない環境であっても、耐えなければならない。まぁ、その適性を見極めるのが遠洋航海の主たる目的なのであるが。幹部自衛官にも、色んな職種がある。あらゆる演習をして、将来活躍するフィールドを見つけ出すと言う作業が時間的に可能なのは、幹部候補生時代位かもしれない。部隊に配置されてからでは、そんな悠長な事を言っている余裕も時間もない。何故なら部下がいるからである。

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