軍艦マーチ
"同期の桜"と同じ位有が有名な軍歌がある。それは、"軍艦マーチ"と呼ばれる。帝国海軍の時代より伝わり、今は主に海上自衛隊の音楽隊等が演奏している。まぁ、海野にとっては、同期の桜も軍艦マーチも、何て事はない軍歌出しかなかった。特別な思い入れもなければ、何の感情もわいて来ない。
現代人が、大昔に作られた曲を聞いても、何とも思わないのは、当然と言えば当然である。しかしながら、この軍艦マーチを聞くと、身が引き締まるという事はあるようである。多くの帝国海軍軍人が、口ずさんできた歴史のある歌を、自分達も歌っている。それだけで、襟を正された様な気持ちになった。勿論、たったそれだけの事でしかないのであるが。
軍歌というものは、戦意や士気と言ったものを上昇させる為にある。何の意味もなく、カラオケの様に歌うために軍歌がある訳ではない。同期の桜も軍艦マーチも、全ては士気を上げる為に歌われる。それ以外に他意はない。諸外国の軍隊にも似たような歌がある。殺し合いをするだけなら、軍歌など必要無いのかもしれないが、一日にそうとも言えない。
軍隊における士気というものは、時として強力な武器に成りうるし、士気が下がった状態では、足を引っ張る要因にもなる。士気というものは、コントロールがしにくいものであり、中々思い通りにならない事が多い。そこで先人達が士気を安定的に上げる為に用いたのが、軍歌と言う訳だ。古代より人類は戦争を繰り返して来た訳であるが、音楽を用いて士気のコントロールを試みてきた歴史は案外古い。無論、士気の全てはコントロール出来ないし、軍歌によっては、士気がコントロール不可能になる事もある。歌なら何でも良いと言った訳ではない。
とりあえず、人の心に響くものでなければならない。戦意や士気を上げると言うと、派手でうるさい曲をイメージするが、軍歌として歌われているものの中には、静かで内なる闘志を秘めた曲も少なくはない。それら数種類のパターンから、適切な歌を選んで、皆で歌って行く。そうやって沈みがちな戦意や心を浮上させ、戦いに臨むのである。




