パブロフのポチ
パブロフのポチとは、中国が怒れば米国に頼ると言う意味の言葉である。要するに戦後日本の安全保障情勢は、言ってみれば米国頼みの危うい状態であり、それは今も変わりがない。
一説によれば、日本は米国抜きでは、フル火力戦闘において、3日間しか戦えないとも言われている。きっとそれ以上は過剰防衛にあたるのだろう。それはともかくとして、日本程の国力がありながら、主権国家として一人前になりきれていないのは、パブロフのポチ状態から、抜け出せずにいる事が多いに影響していると考えられる。
日本の総兵力は約30万人で、これはおよそ韓国の2分の1、中国の5分の1であり、海上、航空兵力においても、大きな開きがある。もし仮に中国が日本に侵攻してきたとすれば、それだけの実力差のある部隊と対峙しなくてはならない。
確かに現状では、兵器や練度の差によって実力差は、数字ほどのものは無いのかも知れない。しかしながら、フル火力で3日間しか戦えない自衛隊だけで国家を守り切れるのかと言う事は、恐らく現場の自衛官が感じているはずである。このままでは危ういと。
ただ、例え現行の憲法を変えて自衛隊を国防軍にしたところで、今の自衛隊以上の練度を保てなければ、意味が無い。そこで重要なのが幹部教育である。自衛隊でも他国軍と同じ様に階級社会である。最終的な決定はシビリアン(文民)が行う事に成るが、それでも部隊の最高責任者である幕僚長が部隊としての意思を伝える。海上自衛隊ならば、海上幕僚長たる海将の人間が行う。諸外国ならば海軍大将がそれを行う。中堅の尉官、佐官の教育もしっかりせねばなるまい。要はバランスなのだ。将官から一兵卒まで、徹底した人間教育をする事で、日本の海上自衛隊は練度を保って来た。陸上自衛隊や航空自衛隊もそれは同じだ。
人間力によって大きな兵力に対峙する抑止力を有する技術を日本は持っている。その事実に関しては、国民に伝える必要がある。少なくとも日本国民が自衛隊について何をやっているのかを知っておく位の事は、やっておくべきである。