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Red brick story~赤レンガの青春~  作者: 佐久間五十六


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卒業式②

 幹部候補生学校長の式辞と時の海上幕僚長の長く辛い訓辞を終えて、来賓の祝辞が終わるとようやく式典は終わる。

 せいぜい二時間ちょっとの式典なのだが、幹部候補生達にとっては、人生の大切な節目である事に変わりはない。幹部候補生達にとっては江田島の一年は決して楽な一年では無かった筈である。

 怒られ、泣いて、笑って、失敗も沢山する事だろう。良い事も、悪い事もあった。そんな困難を乗り越えて、卒業まで漕ぎ着けられた事は誉めても良いだろう。帝国海軍以来の伝統がある"赤レンガ"で学べる資格があるだけでも、立派な事である。

 しかし、選ばれた者であるからこそ、与えられる使命もある。海上自衛隊は、日本の領海を守る為の実力部隊である。時には部下を死地に追いやってしまう命令を下さねばならない事もあるだろう。幹部自衛官ともなれば、苦渋の決断をする必要もある。自分の思い通りにはならない事も、想いとは異なる行動を強いられる事もある。

 そんな時にこそ、この赤レンガで学んだ事を活かすべきであろう。海上自衛隊の幹部自衛官として、どうあるべきか教育された事が生かされるのは、間違いなく現場である。現場では、自分以外に判断を下す人間がいなくなる事もある。部隊長として、艦船を指揮する艦長等は良い例だ。いちいち防衛大臣や総理大臣に確認は出来ない。現場で判断を済ます事は多々ある。赤レンガで学ぶ事は、自分がどうあるべきか、どの様な判断を済ませば良いか、判断材料を得る為のものがほとんどである。

 自分の判断が正しいか、間違っているかは世間の判断だろう。しかし、スポーツではレフェリーの判断が絶対だが、現場で指揮する幹部自衛官もそれと似ている。階級が上の者の判断は、絶対であるからだ。その責任は幹部自衛官が引き受ける。それが陸海空各自衛隊に関わらず伝統である。

 今日の卒業式をもって海上自衛隊の幹部自衛官に任命された訳である。これからが本番だ。一国の行く末を左右する行動をとらなければならないかもしれない。しかし、これまでやって来た経験がきっと役に立つだろう。赤レンガの卒業生が海上自衛隊を支えているのは戦後の日本の常識だ。

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