充足率
現在の自衛隊員の充足率は90~92%程度だと言われている。自衛隊に志願する者は多いにも関わらず、定員割れを起こしている、と言うのが現状である。これは何故かと言えば、防衛費削減のせいで、採用したくても採用出来ないと言う現象が発生している状態にある。
自衛隊をキャリアアップの為の場所だと考えている昨今の若者にしてみれば、自衛隊と言う組織は好条件の揃っている場所ではある。衣食住は全てタダ。様々な資格を取るのもタダ。全て税金で賄われている。資格の取得を目指すだけならば、こんな好条件の仕事は無い。
自衛隊のあるべき本来の姿とは異なるが、それでも国民から受け入れられる為には、苦肉の策とも言えなくはない。
自衛官は大きく2タイプに分けられる。三曹以上の非任期制自衛官と、士長以下の任期制自衛官である。若く精強な兵隊を確保したい自衛隊にしてみれば、どんな理由でも若者が来てくれる事には歓迎する。多くの任期制自衛官が、毎年入れ替わる中においては、多少のデメリットは飲み込んでも致し方ないと言うムードは確かにある。
タダでさえ、周辺諸国の軍隊とは兵力の差がある中にあって、頼りになるのは隊員の質と精強さだけである。その為か、自衛隊の根幹となる非任期制自衛官の充足率は100%に近い。要するに頭でっかちな組織であると言える。だが、今の国家財政を考えれば任期制自衛官を、悪戯に増やす事は出来ない。米中のような巨大兵力を持つのも現実的ではない。
自衛隊の充足率と言うデータから分かる事は、少なくともこれだけある。日本の安全保障環境は決して芳しいものではない。だからといってこのままで良いかと言うと、そうとも言えない。日本の自衛隊は、諸外国に負けないだけの精強さを持っている。
しかしながら、それがきちんと発揮される為にはきちんと法的根拠を整えてあげる事が必要なのは、言うまでも無い事なのであろう。




