戦争・平和・軍隊とは?
~第2章~ようそろの精神
戦争と平和、これは対立概念ではない。戦争は外交の手段であり、平和は国内外の状態の事であるからだ。戦争の対義語は交渉、平和の対義語は無秩序である。
「軍隊は国家が独占する暴力装置であり、平和とは秩序ある状態の事である。秩序を維持させるものは権力であり、暴力装置である。」
戦争と平和、軍隊についてきちんと整理して書けばたったのこれだけである。トロツキーは、「全ての国家は暴力の上に基礎付けられている。」とまで、言い切っている。国内において権力を行使するのは、警察であり国外において、権力を行使するのが軍隊である。これらの組織が機能していない、あるいは意図的にその様な機能不全になる状態の事を「アナーキー(無政府状態)」それらを望む人間の事をアナーキストと言う。
主義思想に関わらず、全ての国家が存続していく為には、暴力装置であると分かっている軍隊を持たざるを得ないと言うのが、現状だろう。また、兵器産業も戦争に大きく関わっている。
トップから順にボーイング、ロッキードマーチン、BAEシステムズ、ノースロップグラマン、レイセオン、ゼネラルダイナミクス、三菱重工業、川崎重工業、三菱電機、NECと言う顔ぶれになっている。これらの兵器メーカーの発展が、国際的な紛争の要因となり、また抑止力にもなっている。兵器を用いない軍隊など現代においては、有り得ない。
人間という生物の本質を考えるならば、暴力を完全否定するのは不可能だ。少なくとも、国家が暴力を否定してしまっては、近代文明を否定するのと、同意である。暴力を完全に根絶する事が出来ない以上、現実的な平和とは、秩序ある状態を目指そうと言うものであり、暴力の無い理想郷の様なものを目指そうと言う訳ではない。
世界平和と簡単に言うが、実はその目的は戦争そのものを無くす事ではなく、あくまでも穏便に事を治めるというものでしかない。そこを理解しておかない事には、どうも人類が平和をつかめない様に思えてしまうのは、自分だけではない筈だ。




