リクエスト 紫耀の始まり
リクエスト頂いた紫耀の最初の頃です。
βテストを終え、遂に和洋折衷オンラインが正式にスタートした。
紫耀はβテストの時と同じ、メインジョブを陰陽師にサブを幻術士で開始した。
ちなみに種族はエルフだ。
早速スタートした紫耀はファストの街のエルフ地区に出た。βテストの時は地区に別れていなかったため、紫耀は『おぉ』と小さな声を出した。
とりあえずセルがないので街の外、ファストの平原でレベル上げ兼セル稼ぎを始める。
『おいで…小鬼。』
[任せろ主ー!]
紫耀は最初の式、小鬼を召喚する。そして、小鬼にちょっとした幻術を纏わせる。
そして狩りがスタートした。
ファストの平原のモンスターは突如現れた〝恐ろしい姿の小さな怪物〝に怯んでいる。その隙に小鬼がモンスターを攻撃して倒していく。
しかし小鬼の攻撃力は高くないため、HPの低いモンスターや防御力が低いモンスターを狙い、効率的に小鬼のレベルを上げていく。
この戦法はβテストの時に紫耀が考案したものだ。小鬼でもモンスターを倒せる様に。
しかし小鬼が臆病なため、一度戦闘が終わる度街に戻り、怖かったと泣く小鬼を慰める必要がある。他のプレイヤーなら途中で投げ出すかもしれないが、紫耀は小鬼を弟の様に感じているため気にしていない。それに、この過程で付喪神を式に加える事も出来た。
さて、この戦法だけだと紫耀のレベルが上がらない。なので紫耀も戦う。
戦うといっても幻術を使い、モンスター達を同士討ちさせるだけだ。
そうして(紫耀にとっては)大した苦労をせずレベルを上げていき、セルがある程度貯まると、紫耀は安い横笛を購入した。演奏スキルと付喪神を使うためである。
まずはエルフ地区の適当な場所で横笛を吹き、スキルレベルを上げていく。
何人かのNPCが足を止めて聞いていき、少額のセルを紫耀に渡してきた。紫耀はありがたく貰う事にした。
そうして地道にコツコツとレベルとスキル、式を鍛えたり増やしたりしながら先に進む。
四花村付近は紫耀にとって天国だった。地味に懐を圧迫する式紙の素材がモンスターからドロップするし、妖怪系モンスターも多い。
紫耀はしばらく四花村に居着いた。
四花村には陰陽師NPCが多かったため、紫耀は完全に紛れていた。
陰陽師NPC達は紫耀にとても親切だったが、弟子にしてくれと頼まれた時は驚いて断ってしまった。
紫耀は弟子を育てる自信がなかったのだ。
紫耀は知らない。自分がいづれ飛び抜けて強いプレイヤーになるなんて。
この時は想像もしていなかった。
(紫耀的には)あんまり苦労してなかった。
他のプレイヤーだったら陰陽師辞めるくらいには式ガチャ大ハズレだったんですよね。