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ははーん。さては全員このパターンだな????



いっそこれは夢だったりしないのだろうか?


よくある夢オチ。王道パターン。

モブが夢を抱きすぎて、寝てる時の夢まで暴走しちゃった、てへぺろ☆

夢から覚めればいつも通りの酒場で、いつも通りのモブメンバー。いつも通りのメニューに、いつも通りの何気ない日常会話。


結局、普通が1番。

おうちがいちばん。ほんとそれ。


私だって自分の物語に憧れはあったが、こういう命に関わる激しい物語の想像は一切してこなかった。


モブが夢みていた物語は、いつか白馬に乗った王子様が迎えにきて、光り輝くバラ色ラブラブ生活☆

でもちょっとヤキモチ焼きな王子様に困っちゃってぇ、たーいへん♡「お仕置きだよ♡」ってベッドに縛り付けられちゃったぁ!これは一日中あはーんうふーんでいやーんばかーんな展開かしら?やだ私ってば、どうなっちゃうのぉぉ??!


次回、「モブ女!ベッドで強制断食!」デュエr



まで考えたところで冷静になる。これ、怒られるやつかな??表現の自由にも限度があるよね。



状況が状況だ。よくわからないブッ飛んだ現実逃避もしたくなる。



誠に残念ながら、私を迎えにきたのは白馬ではなくワイバーンだったし(あと、すでにこと切れてるし、)王子様位置なはずの勇者さまは天然を通り越して絶滅危惧種なハイパー脳をお持ちの勇者だ。今も「じゃあ一緒にいこう!スピスピ鳥食べに!!」と私を引っ張り起こそうとしている。


なぜそうなる勇者よ。ああ、勇者よ。


「あの、勇者さま、すみません。

私は負傷しておりますので、ご同行はできかねます」


やんわりと勇者の手甲に手を添えると、彼は目を見開く。


「え?負傷???」


いや、みてわかるだろうがこちとら血みどろだコノヤロウ。


「え?まって、負傷??どこが?」


この冒険者たちはパーティメンバーがこの勇者で大丈夫なのか。


イケメン勇者のびっくりしてもイケメンな顔を眺めながら、全く関わりのない彼のパーティに同情する。

気苦労が絶えないだろうなぁ。お疲れ様です、みなさん。


私が心の中で合掌していると、鎮火や周りの負傷者の手当てをしていた仲間に勢いよくに向き直ると、大声で呼びかける。


「ねぇ!ねぇ!?ヒューベルテュス・ラーンスキー!!!ちょっとモナ診て!俺の閲覧範囲ではステータス異常なしなんだけど」


「あァ?うっせ、フルネームで叫ぶなバカ。

誰だよモナって。絶滅した鳥かよ」



それはモアです。ヒューベルテュス・ラーンスキーさん。


さすが、モブ!絶対噛む名前も、絶対一度では覚えていられない名前も余裕のよっちゃん。


ひょろ長すぎるくらいの長身を揺らし、ゴツいステッキの上部を地面で削り落としながら、ヒューベルテュス・ラーンスキーと呼ばれた男が眉間のシワを山脈のようにして近寄ってくる。

頭から足の先までひたすら赤色だ。髪も目も身につける防具も靴も魔法道具アクセサリーも、ステッキに輝いているはずの宝石も(砂埃でくすんではいるが、)赤色だ。

めっちゃ赤好きなんだろうな、この方。

逆に青は好きなんだろうか、嫌いなんだろうか、めっちゃ気になる。

身につけている防具や魔法道具アクセサリー的に、魔法使いなんだろうな。もちろん攻撃メインの。



「あァ?えーっとォ??お前か。鳥」

「いえ、モナです。鳥ではないです」


私の否定を「あっそ」と華麗にスルーしたあたと、レッドマンは手をひらひら。

あ、彼もステータスを閲覧している。


「んァ?別にヒーラーのオレ様がみても異常はねぇな」


え?ヒーラー??

この方ヒーラーなの???

バリッバリのゴリッゴリにあのごんぶとステッキで一撃に伸すか、ガンガン殺傷力のある魔法で死んでるのにまだ食らわす感じなのに?!?!

ギョッとしたのが目にはいったのか、ヒーラーレッドマンは「なんだよ」と舌打ちする。


「あっはっは!この見た目だしねー。

あと、ヒューベルテュス・ラーンスキーはヒーラーだけど脳筋で最前線で殴りに行くし、回復スキル低いし。滅多に回復しないドSヒーラーだもんね!」


「うっせぇな!オレ様は産まれる職をミスったんだよ、来世はステ振り真面目にやり直すわ!」


「そういいながら、来世もミスるんだろうねー」


「再来世に期待するわー」とケラケラと笑い転げる勇者にヒーラーレッドマンは蹴りをいれている。



あーーー。はいはい。あー、はいはい。そうですね。

ヒューベルテュス・ラーンスキーでヒーラーなるほど。




ヒューと、ラー



ヒューラー



ヒーラー



ははーん。さては、これ全員このパターンだな????





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